杜の木漏れ日

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作らないという選択肢

毎年のことですが、4月は雪囲いの取り外しから始まり、雪で傷んだ樹木の手入れや竹垣の修理などに回ります。

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今月初めに囲いを外した庭。
蹲踞の筧がひび割れてきたので、青竹に改めました。

2(20年前)

作庭後20年が経過したこの庭、つくった当時は、通路と前庭の仕切りとして、四ツ目垣を設けていました。

3(10年前)

竹垣の更新時期を迎えた6,7年後、この四ツ目垣は金閣寺垣として蘇ります。
丈夫な柱を使ったため、その後10年以上持ちましたが、そろそろ更新の時期を迎えました。

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そこで、今回、施主さんにお話ししたのが、竹垣をやめるという提案。
はじめは寂しかった蹲踞後ろの木々が大きくなり、仕切りの役目を果たすようになってきたからです。

4-1(10年前)

10年前の写真。
この頃すでに、竹垣の格子の中から木の枝が伸びて、毎年、通路側に飛び出す枝を剪定していました。
これはこれでいいのですが、樹木にとっては少し窮屈な感じがします。

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竹垣を外した様子を通路側から見てみます。
樹木が伸び伸びとして、こんもりとした林冠がより引き立ってきたようです。
この木立はリビングからの目隠しと蹲踞の背景として植えたものなので、庭の視点(表)はリビング側。
竹垣のある通路側は庭の裏側部分になりますが、これまで垣根の蔭で見えなかった下草が姿を現したおかげで、「裏」を感じさせない景色となりました。
竹垣を外したことで、表裏の無い庭になったということです。


樹木は生き物なので、年々成長し、姿を変えていきます。
竹垣は、この庭の構成上、必要なものとして作りましたが、樹木がその役を果たすようになった今、木に窮屈な思いをさせてまで作る必要は無い。
庭の造作(竹垣)と樹木のどちらを優先させるかと言えば、もちろん、生き物である樹木の方。
竹垣を作らないことで、樹木も下草ものびのびと過ごせる庭になった。

樹木も、庭の剪定をお願いされたからといって、切らなくてもいい木の枝を剪定する必要はありません。
竹垣もまた同じ。
庭の成長に合わせて形を変えたり、あるいは、作らないという選択肢もある。
作る技術よりも大切なのが、そこに作ることが必要なのかどうかという見極め。
庭には、そんな臨機応変さが求められるということでしょう。

なんにしても、植物が伸び伸びとしている庭は気持ちのいいものです。

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