FC2ブログ
街の緑1(勉強及び視察)

街路樹は微笑む

4
IMGP3161.jpg

2月も終わりの昨日は冬とは思えないほどの快晴。
一昨日から再びイチョウに取り掛かったのですが、これはかなりはかどるなと思いきや、2本仕上げたらもう夕方でした。

木に登っているのは若い衆です。
青空の下、高い所から街並みを見下ろすのは気持ちのいいものですが、実は、かなり必死の状態です(笑)。
この時、私は何をしているかというと、下で枝の片付けと歩行者の誘導をしながら、今度はどの枝を抜こうかと右往左往しています。
一枝抜く度に唸ったり腕組みしたり、道路の反対側に行ったり、木に登ったり降りたり・・・。
これでは、はかどる仕事もはかどりません。
もう、採算のことなどはなから頭にないというか、本当に、研究以外のなにものでもありません(笑)。

IMGP0530.jpg

木に登っていく途中に上を見上げると、こんな感じです。
まるでクモの巣。
このクモの巣に捕らえられた若い衆は頭が真っ白になったそうですが(笑)、こんな状態を前にすると、熟練の職人でも手が止まります。
役所仕事は何かにつけて「資格、資格」ですが、実際の現場では、資格や教科書など、何の役にも立たないということを思い知らされます。
やはり職人は、現場で鍛えた勘と技が一番の資格です。
頑張れ、若い衆(笑)。

IMGP3159.jpg

芯抜き。
どれを抜くか、どれを残すかでまた、木の上の人も下の人も、ひとしきり悩みます。
近くにいる人でなければわからないこともあるし、離れて見ている人でなければわからないこともあります。
二人の意見が一致したら、その枝を抜きます。

悩む時間がもったいないと思うかもしれませんが、この時間は、木に対する礼儀です。
この会の規約の「会員資格」には「人と樹木の共生について一生懸命考え、悩むことを惜しまぬ者。」とありますが、悩むことこそ研究、ということで、思い切り悩むことにしています(笑)。

どの枝を抜くかで悩む時は、本当に真剣です。
自分の剪定で木の一生が左右されるのかと思うと、鋏やノコギリを持つ手が震えることがあるのです。
でもそれが、生き物を相手にするということ。
てっぺんで指示を待つ若い衆にそんなことを感じてもらうためにも、わざと時間を掛けて悩むフリをしていたりします(笑)。

IMGP3166.jpg

ということで、ようやく1本仕上がりました。
木が大きいのと場所も広いので、剪定前の枝張りはそのまま残すことができました。
車道側の下枝が夏季剪定で短く切られていたのは残念でしたが、ここは七夕が通る所なので仕方ありません。
能代の街路樹は50年ぐらいの歴史ですが、七夕は千年の歴史があります。
七夕も街の緑も大切な能代の文化。
市民の方がそう思っていただけるまで、我々が身を持って頑張らなければなりません。

④このぐらいの柔らかさで剪定できたら素晴らしい

この街路樹は、同じ市内にある、一度も手を入れていない自然樹形のイチョウです。
この柔らかな枝振り、惚れ惚れしますね。
今回はかなり枝を残したつもりでしたが、この木と比べるとかなり仕上がりが硬いです。
一度ブツ切りされた木だということをおいておいても、まだまだ何とかできたのではないか、もっと柔らかく出来たのではないかという思いもあります。

今回の私の研究テーマは、「切ったか切らないかわからない手入れ」。
露地の雑木などの自然な姿を、街路樹でやってみたいのです。
どう切るかではなく、どう活かすか。
いかに木に、切ったことを気付かせないか。
木が伸ばした枝は全て必然。
枝を切ることにより「木を作る」のではなく、枝を残すことによって「木の自然な力を活かす」、というやり方を模索しています。
どうやったら枝を切らずにすむか、そんなことを考えながらの剪定ですが、なかなか難しいです。


本日発売の庭誌186号の「街路樹は泣いている⑪」のタイトルは「街路樹は微笑む」でした。
http://www.ksknet.co.jp/book/search_detail.asp?bc=05002186

悩む私たちに、この街路樹たちは微笑みかけてくれるでしょうか。
関連記事

4 Comments

There are no comments yet.
慎吾パパさんへ

紅の葉  

2009-03-04 05:44

ブログデビュー、誠におめでとうございます。
早速、お祝いに出かけてきました。
今後のご活躍に期待しております。

>能代に歴史あり
能代市民3年生の私には、能代の歴史は非常に重たく感じますね。
人間の歴史は人のエゴの歴史でもありますが、木はそんな歴史を見てきた生き証人でもあります。
人からの迫害を黙って受けてきた木たちは、我々人間をどう見ているでしょうか。

人と樹木との共生は、人が、木の自然な営みを尊重し、全てを受け入れる覚悟を持つことから始まります。
まず、人が、自然に対して謙虚な気持ちと畏敬の念を持つことが大切ですね。

能代のスローガンは「水と緑の環境の街」。
自然との共生を目指す新生能代市の歴史は、これからです。

EDIT  REPLY    
しんぼうさんへ

紅の葉  

2009-03-04 04:48

平井さん、素晴らしい方ですね。
雑木の剪定法についてのお話、感銘を受けました。

剪定は本当に奥が深いですね。
私はまだ、深い道のりの入り口に立ったばかりなのかもしれません。
見習いの頃の気持ちを忘れず、いろんな方から学んで、その中から、木に合った、能代に合った、自分に合ったやり方を探して行きたいと思うこの頃です。

EDIT  REPLY    
頑張ってますね

慎吾パパ  

2009-03-03 20:28

能代に歴史あり
その重さを感じてお仕事してください。
期待してます。

でも、あなたの重さを感じた木々は
あなたの人生の重さを分かっていると思います。
ところで、最近パワーアップしましたか?

新しい職場でのブログデビュー本日いたしました。
遊びに来てください。

EDIT  REPLY    

しんぼう  

2009-03-02 12:40

石正園の平井孝幸さんのおっしゃる「木の成長を抑える剪定方法」を是非とも見習いたいですね。

EDIT  REPLY    

Leave a reply