イチョウの水道(みずみち)

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イチョウの木に元気が無いとのご相談を受け,下見に出かけてきました。
敷地内には2本のイチョウがあり、どちらも数年前に強く剪定されたようです。
イチョウは丈夫な木。
街路樹などはもっと極度な切り方をされても大量の芽を吹かせて再生しますが、小さい方の木は枝数も少なく、剪定以外の原因がイチョウを弱らせているように感じました。

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植栽環境を見てみると、小さな木の前には池があり、木は築山の下に位置している。
後ろには倉庫があって、屋根から落ちる雨が根元にたまり、地面がグチャグチャしている状況。
おそらくは、土中の水も停滞していて、根が呼吸しにくい状態となっているのかもしれません。

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幸いなことに、敷地は一段高くなっています。
水がたまっていていいことはないので、まずは周囲に溝を掘り、外に出してあげる作戦を立てました。

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溝は倉庫の雨落ちを兼ねるので、必然、外壁のそばを掘ることになります。
となると、基礎地盤の強度が落ちるので、その対策として、既存の石を利用して護岸をつくりました。
土留めの縁石ですが、ここは水が通る道になるので、護岸。

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溝は終点から掘っていますが、半分掘り進んだ所で左右から水が。
池の漏水と倉庫下にたまった水が、栓を抜かれたように勢いよく集まってきました。

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それでもめげずに掘り進み、掘り上げたところに暗渠管を設置。

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そして管周りには、溝壁の崩落防止として、敷地に置かれていたイチョウの剪定枝を敷き込みます。
枝は流れに沿うように置いているので、集まった水は管の中ばかりでなく、管周囲の枝間も流れていくことができるという仕掛けです。
この日はあいにくの雨天。
それにもかかわらず作業が捗ったのは、事前に枝払いをしてくださっていた施主さんのおかげです。

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枝の周囲には炭を入れ、停滞水の浄化と、枝が腐食した時の有機ガスを吸着させます。
その中には、溝堀りで出てきたガラや石ころ、出入りの水道屋さんが持ってきてくれた砕石等も混ぜ込んで、歩行に耐えられるような強度を持たせていきます。

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最後は、瓦チップを敷き込んで仕上げます。
瓦はもともとは土。
土との馴染もよく、透水性や保水性にも優れるので、植物の周りに適します。

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イチョウの方向から見てみます。
暗渠は水の道でもありますが、空気の通る道でもある。
土中の酸素を察知して、根を伸ばしてくれることを期待します。

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暗渠の途中には、倉庫屋根の雨水を導く管が降りています。
ここから大量の水が出てくるため、溝の中には水圧に耐えるような石ころを敷きました。
この石も溝堀りで出てきたものですが、これもまた、施主さんが土とより分けて、丁寧に敷き詰めてくださいました。
掘削土はまだあるので、土が乾いたらまた石を拾って、水道に敷いてくれるようにお願いをしています。


ということで、一時作業の終了。
これで、来春の雪解け水の対処にはなるでしょう。
試し掘りしたところ、地下にはやはりグライ層がありました。
今後は、このグライ化した土に空気を送り込み、根の張りやすい土壌環境をつくることが求められていきます。
状況を見守りつつ、必要な手を講じていければと思います。