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冬季剪定

梅の木の三面縮小~支障に対処する自然樹形~

雪囲いも一段落。
これからの庭仕事は、枝折れ防止の軽剪定(常緑樹)や、落葉樹の冬季剪定などがメインとなります。

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こちらは、昨年に発刊となった『庭暮らしのススメ』に書いた記事ですが、見出しにもあるように、大きくなった木を小さくするのも今の時期です(落葉樹)。
樹木の縮小は全体的に切り詰めることが一般的ですが、本で紹介しているのは、支障のある方向を小さくして余裕のある空間に伸ばしていくというやり方。

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樹木が枝を広げる空間を「前・後・左・右・上・下」の6面立方体として見た時、本の事例では「後・左・上」を縮小して、「前・右」の枝は切らずに残しています。

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こちらは先月紹介した「モクレンの樹高下げ」。
ここでは「上」を大きく縮小して「後・左・下」を軽剪定に留めていますが、上に支障があるのなら左右を残し、左右がダメなら前後を残す。
空間の空きが一方向にでもあればそちらに活路を見出して冬芽のある枝を残し、それによって、樹木が養分を作れる力を確保する。
樹木に余力を残してあげるための方法でもあります。

全体的に樹形を整えなければ自然樹形にならないのではないか、などと思われるかも知れませんが、自然樹形とは、樹木が環境に適応した姿。
自然界の樹木は、崖があれば崖側には枝を伸ばさず、岩があればその上から枝を伸ばし、大きな木があれば下の木は伸びるのをあきらめて前後左右の空いている空間に枝を伸ばす。
支障があれば支障のない空間に枝を伸ばすということは、自然界でも人間世界の木でも同じこと。
この方法は、こうした樹木の不変の理を庭に活かしたものと言えるでしょうか。

(参考 庭の中の自然樹形 街路樹講演会

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この方法で今回行ったのが梅の剪定。

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まずは、今回の剪定でどのような樹形にし、将来的にはどうしていくかなどの方針を事前にお伝えします。

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剪定後。
広く枝を張らせていた梅の木が、片側に枝を張らせる姿になりました。
この木の形は、これまでも何度かブログで紹介してきましたが、『片枝樹形』というスタイルです。

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こちらが、剪定前後の樹形や樹高の比較。
伸ばす方向の枝は切り詰めずに枯枝のみの剪定としていますが、それでも、支障対処の枝だけで半分以上の枝が減りました。
『庭暮らしノススメ』には、一度に切れる目安を『1/3程度まで』とし、縮小は数年掛けて段階的に行いたいと書きましたが、隣地支障などは早期に対処しないとご迷惑になります。
今回はそうした事情もあって、通常よりも剪定度合いが大きくなりました。

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自然形は維持していますが、剪定量が多いと、徒長や紅葉の遅れなどの異変が生じるかもしれません。
上の図は、そうなった時にどうしていくかという今後5年間の管理計画。
予備知識を持っていただくことは安心感にも繫がります。
ご自分でできることをやっていただきながら、必要な時に植木屋を呼んでもらればいいと思います。

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こちらは、梅の剪定枝を利用して作った棚。
実はこの梅の木にはアケビの蔓が絡んでいて、秋には見事な実を付けていました。
でも、アケビが幅を利かせすぎると梅の木が弱る。
共生の道を探した結果が木々の「住み分け」を行うという方法で、梅の木の下が居場所となりました。

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ただ、梅とアケビの住み分けには人の協力が要るため、人ができることを記したのがこの資料。
庭暮らしのススメ』には、こうした『住み分け』や『空間の分け合い』なども記していますので、興味のある方はぜひお目通しください。


木が大きくなると、伐採や強剪定による全体縮小を行うケースが多いようですが、状況が許すのであれば、できるだけ自然な姿で、木に無理のかからない方法を取ってあげたいものです。
弊社ではそうした方法を研究しつつ、日々の仕事で実践しています。
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