庭の機能美

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暮れのご挨拶かたがた、庭の点検に。
この日は、これまで積もった雪が雨で融け、空堀(枯れ流れ)に少し残っている程度でした。

雪が融ければ水になる。
この雪はアプローチに積もった雪を寄せたものですが、空堀は雪寄場でもあり、雪解け水を通す道。
空堀の石積みには、深さ1.5m程度の通気管を所々に埋設しているので、地中からの熱も融雪に作用していることでしょう。
雪が融ければ通気管を通って浸透し、大量に融ければ空堀を流れていく。
この雪の下ではそんなことが行われています。

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施工前の状態。
たまった水の半分は屋根からの落雨ですが、一般的にこうした排水対策は軒下にU字溝を設けることが多く、造園を行う側としては、庭の中にコンクリート製品を目立たせるのは避けたいところです。

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作庭後。
空堀は、地表面の雨水だけでなく、地面から堀底までの30cmの土層に浸透した水も呼び込んで、庭奥へと誘導しています。
そうした機能をコンクリートを使わない自然素材でつくり、実用性を景観に高めていくのが『庭』。

庭奥に見える芝山は、駐車場の床掘りと空堀を掘った時に出た残土を盛ったものですが、そこにある物は捨てずに使います。
残土は植物が育てない酸欠状態のグライ土ですが、土中に水と空気が通るようになれば改善されます。
土自体が悪いわけではなく、土が悪くなるような状況になっていただけなので、庭の中で改善に導く。
今の状態が悪いから捨てるのではなく、元の機能を取り戻させてあげることも、庭づくりのひとつだといえるでしょう。


庭は、人と植物が暮らしやすい環境機能を備えていることが大切で、それを美しく整えてあげるのが造園の仕事。
これからも、そんな設計と施工を心掛けていきます。

※参照 雪と共生する庭