イチョウの交代
2018年01月13日

9月に書いた、『庭の更新と樹木の更新』という記事で紹介したイチョウ。
今年は4年ぶりに、この木の剪定を行いました。

剪定前。

剪定後。
枝のアタリを少し外しただけなので、ほとんど姿は変わりません。
切る量が少なければ徒長も起こらず、この木はこれからも自然な姿でいられます。
このイチョウに萌芽更新を行ったのが7年前。
1年後には10本程度の芽が吹き、それが枝となり幹となるにつれて、徐々に間引いていきました。
現在は大小4本の幹が立つ「株立ち」になっていますが、そのうちの2本が特に大きく、大きい幹(右)よりも小さい幹(左)の枝張りの方が広くなっています。
これは、右側から吹く風が強いということで、風の強さに木が順応しているということです。
右と左の枝張りが違うと左右対称にはなりませんが、左側を切り詰めて左右を同じ長さにしても、いずれまた元同じようになります。
これは、この形が、木がここで生きやすい「自然樹形」であるということなので、それを尊重して手を入れています。

萌芽更新から今までの樹形の遷移です。
更新は、一度成長した樹木を根元から伐り詰める方法ですが、樹木にとっては最もダメージの大きいやり方。
それを軽減するためにも、樹木が活動を休止する落葉期間に行います。
萌芽更新を繰り返す里山の雑木は多幹になりますが、その幹が薪の太さ程度になった時に伐り、次回の更新までには15年ほど木を休ませるそうです。
これは、このぐらいの太さが樹木を弱らせない限界だということでしょう。
ただ、夏にこの更新を行うと芽を出せなかったり、落葉期間でも樹齢がいった木に行うと、たとえ芽が出ても数年で根が枯れるといったこともあるようです。
これは衰弱した木なども同様です。
このイチョウは健康な若木に対して適期に行ったから成功しましたが、それでも100%の確率を保証できるものではなく、そうした意味ではリスクの高い方法です。

こちらは、弘前公園で見かけた枝垂桜です。
弘前公園では、老幹や老枝を元気な若枝と交代させることで木の若返りを図っていますが、その交代を行うために幹吹きやヒコバエを残し、そうした小枝が樹体を維持できるだけの体力ある枝に成長した頃を見計らいながら交代を行っています。
萌芽更新は伐採後に芽を吹かせるやり方ですが、弘前公園のように、枝が育ってから交代させたほうが確実性も高い。
時間的な余裕があるのであれば、こちらの方が安全策と言えるでしょう。