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土の手入れ

ComebackRoot(越境根の呼び戻し)

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作庭10年目のお庭の点検。
赤丸は、昨春に埋設した通気管ですが、地中に空気が入ることによって土がやわらかくなり、根の張りやすい環境ができていきます。

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10年前の施工時。
既存土を1m近く掘り返すなど、天地返しを行って土に空気を入れました。

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施工前に土質調査をした時の様子。
調査は3月中旬に行ったため、地下にはまだ雪解け水がありました。
表土は排水の良い砂ですが、地下60cmほどの所から粘土層となり、土が硬くなります。
この水は施工時の6月には引いていたものの、気になったのは、底から青い土(グライ化した酸欠土)が出てきていたこと。
天地返しは、この、地中の酸欠状態を解消するための措置でもありました。

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この時の樹木の植え付けは、耕運後の地盤に根を置き、その周りに土を入れていくというもの。
土を耕して地盤に高低を作り、高く植えるという方法は、分かりやすく言うと、畑に畝をつくって苗を植えるのと同じです。
庭も畑も植物を植える所なので、同じような環境をつくってあげればいいということです。

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施工前。
境界際の板塀基礎の地上部は30cmほどですが、植栽時は基礎の天端ギリギリ、まで、やわらかな良質土を盛っています。
ということは、天地返しを含めると、1.3mの土を耕運したことになり、樹木にとっては、根が十分に張っていける環境が整備されたということになるでしょう。
ただ、庭は仕上がってしまうと、畑や田んぼのように毎年の耕運はできなくなり、雪圧や踏圧などで年々締まっていきます。
その対策として、昨年、地中に空気を呼び込む仕掛けをつくり、硬化していた土のマッサージを行いました。

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こちらは、通気管(黒い筒)を埋設した隣地境界付近ですが、赤矢印の下に、波状の物が見えると思います。
これは、田んぼに使う畦板。
実は、樹木の根が基礎下を越境したために、深さ1m程度の所まで根止めを施しました。

隣地はコンクリート土間となっていて、庭地盤よりも30㎝低く、境界基礎は砕石転圧部分を含めると50cm近くあるため、根は地下80㎝より深い所を超えていったことになります。
なぜ、水も空気も無いコンクリートのほうに根が向かっていったのかと不思議に思いますが、向かったということは、その先に根が向かいたくなる何かがあるということ。
その何かとは、コンクリートの中にあった排水桝で、そこにある水と空気に根が呼ばれて行ったということでしょう。
排水桝も、古くなれば継ぎ目部分の強度が弱まります。
そのわずかな隙間から根が侵入すれば、やがて管詰まりを起こすことがある。
作庭時、根がコンクリート隣地に向かうという想定はしていなかったため、今回の越境にはとても驚きました。

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ということで立てたのがこの図の対策。
空気や水は樹木にとってのごちそう。それが庭の中にたくさんあれば、根はわざわざ下水のほうに行かなくてすむ。
螢は「ホ、ホ、ホタル来い。こっちの水は甘いぞ♪」と呼びますが、樹木の根にも「こっち(庭)の水と空気は美味いぞ♪」と呼びかけ、根を庭に引き戻そうという作戦です。

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青○が、庭に埋設した通気管のある箇所。
溝掘りをして良質土と入れ替えれば結果は早く出ると思いますが、そうすると、木々の根を大幅に切ることになる。
樹木に無用な負荷を掛けたくなかったので、ここは、「点が線になる」と捉えて、青○が庭内部に繋がっていくように配列しました。

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イメージとしては、こんな感じでしょうか。
『根、根、根っこよ来い♪』
と歌いながら、根がマイホーム(庭)に落ち着いてくれるように願いました。

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通気管は、竹やコルゲート管など、時々の都合に応じて選択していますが、今回は即効性が求められるため、通気性に優れたコルゲート管を使用。
ただ、庭の中ではあまり人工物を目立たせたくないとの思いがあり、管の上に石や砂利、苔や下草をかぶせたりなど、隠すための工夫をしています。
これは、ある意味、管の「かくれんぼ」でもあり、庭のどこに何個あるのかを探してみるのも面白iいかもしれない。
実際、お子さんが楽しそうに管を数えているのを見た時は、こんなことが、庭や生き物の生理に興味を持つ契機になるかもしれないと思ったり。

というわけで、Comeback Root!(根よ戻ってこい!)。
恒久的に土壌が良い状態を保てるようにしてあげること、樹木が庭の中で生きられるようにしてあげることなど、いろんなことを学べた、とても有り難い機会です。
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