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戯言

石畳の思い出

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松の木の上から見る石畳。
男鹿寒風石をランダムに畳んだ玄関前の通路は、長さが8m。
幅は広い所で1.5mほどもあり、総面積では10㎡以上ある。
石張りは手間が掛かるから、なかなかこれほどの面積をやらせてもらえる機会は少ない。
でも、人を迎える玄関の道がコンクリートではあまりにも無粋。
庭の中の道にしたいと思って提案をした。

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薄い鉄平石では石の質感が出ないので、大判小判とも、10cm以上の厚みのある石を使っている。

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周囲の庭石や草花とも馴染んで、庭の道になってきたのが嬉しい。


作庭が2004年だから、あれから14年が経つ。
ちょうど不惑の頃、自分の庭づくりの転機を迎えていた時の庭だ。
『職人は仕事から育てられる』とはよく言うが、これほどの仕事とはなかなか出会えない。
現場で考え、現場の緊張感の中でつくる経験は、日頃の練習とは比較にならないほどの力になる。
自分を向上させてくれる仕事と出会えるのは本当にありがたい。

思えば、この年の春に事務所が火事になった。
道具も車も焼けて、入ったばかりの見習い二人を抱えて途方に暮れた。
おまけに家族4人が入院。
それでも何とかなるもので、この石張りの仕事には、100円ショップで買ってきたドライバーを焼いて目地ゴテにした。
拾った釘や竹の切れ端でも作った。
立派な道具やお金が無くても知恵があれば大丈夫。
この時はそんなことを学んだ。

石畳は5段ある。
一段仕上がるのに5日、5段作るのに1か月は掛かったろうか。
大変な時は、早く仕事を完成させてお金をもらいたいのが人情。
でもそれをやると、職人としては一生悔いが残る。
庭は後々まで残るもの。
苦しい時こそ、いい仕事を残さなければならない。
大変でも、いつもと同じ仕事をするのがプロフェッショナルというものだ。
そんなことを思いつつ、この仕事を仕上げた。


脚立の上から石畳を見ていて、あの時のことを思い出した。
仕事が職人を育て、苦労が人を人にすると言う。
でも、「言える苦労は苦労ではない、」と言うから、まだまだこの植木屋は人になっていない。

名人曰く、『人格以上の庭はできない』。
人格を磨くこと。
それが一番難しい。

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完成直後のアプローチ(2004年)
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