萌芽更新による街路樹の再生試行(国道ボランティア/羽州街道のイチョウ/能代市への提案)
2019年03月29日

自宅近くの国道にある、羽州街道の標柱脇に植えられたイチョウの木。
平成の中頃に植樹されたと思われる、樹齢20年ほどの木です。
能代市内の国道にはこうしたイチョウの木が5本ほど見られますが、支障剪定などで時々こんな姿になってしまうため、何とかしてあげたいと思っていました。
ただ、実質の作業は道路維持管理を委託された土木屋さんが行うため、剪定による自然樹形再生は困難。
そこで、この木はケヤキの再生ボランティアをしている国交省の管理だったことから、管理事務所に掛け合い、『萌芽更新』による再生を試行したらどうかと提案していました。


これが、その時に示した資料。
私が庭で行ったイチョウの木の更新(直幹を株立ちに変える方法)と、能代駅前にある株立ちのイチョウ、伐採された街路樹でベンチを作ったことや、桜日本一の弘前公園の桜でも同様の例があることなどを紹介しながら、私がこの木の里親となって今後の面倒を見ることを約束したところ、この度、萌芽更新を実施するとのお返事をいただきました。

実施当日の朝のイチョウ。
冒頭写真は10年前のものなので、幹も一回り太くなっています。

事前に連絡をいただいていたので、私も途中から参加。
切り口を確認しつつ、用意されていた墨汁に持参した殺菌剤を混合し、作業員の方に塗ってもらいました。

作業後。

今後は、今年一年間は木を休ませて、次年度以降、発生したヒコバエの中から勢いとバランスの良い枝を選びながら間引きをし、
図のように、数年後には株立ちになるよう誘導していきます。

また、伐採した幹は、今後、まちづくりなどで活かせるように、管理事務所で保管されます。

こちらは、昨年に伐採された市道街路樹のプラタナスですが、前年にも行われていた伐採木の根元からヒコバエが出てきていました。
担当課の話によると、抜根後に若木と植え替える予定が、根が大きくて対処できず、そのままになっているとのこと。
であればこのヒコバエを活かし、その成長過程を観察することはできないかと、今回の国交省の例を示しながら、街路樹の新たな再生方法の研究を勧めました。
プラタナスのヒコバエ再生については2010年のブログで紹介していますが(街路樹再生観察開始)、この木は毎年の下刈りでダメージを受けていたのか、翌年に枯れてしまいました。
健康木であれば可能性は高く、ダメ元でも観察してみる価値はあるでしょう。
行政は前例を重視しますが、それは、安全性や確実性を担保するため。
萌芽更新は昔ながらの里山の循環方法であることや、実際の成功例があること、樹齢のいった木に対しての確信が持てない場合は、誤伐採した木等でダメ元の実験観察をしてみればいいこと、そうした観察や手入れへの積極的な協力をこちらが示していけば、公共樹木でも、萌芽更新による自然樹形再生への道が開けていくように思います。
様々な可能性を探ることで、木々を街なかで生かしていくための活路が見いだせるかもしれません。
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