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戯言

一人親方は大変?

最近よく、初めての仕事や下見に行った時など、『一人』で仕事をしていると話すと驚かれる。
「大変ですね」とも言われるが、一人でできることをやっているので、特段、大変だと思うことは少ない。
人数が多ければ良い仕事ができるというものでは全くないし、高い技術と創意がなければ、ハイレベルな庭はつくれない。
大きな会社では設計と施工・管理をする部門が分れていて、イメージをつくる設計者の多くは現場で作業を行う技術を持たない。
その点、たとえ一人ではあっても、自分がイメージしたものを自分の手で形にできるということは、職人であることの大きな強みだ。

世間では、一人で仕事をする職人のことを「一人親方」と呼ぶが、うちは現在、一人体制で庭仕事をしているので、自分もまた一人親方ということになるのだろう。
ネットで調べてみると、建設業の職人は、見習い→職人→一人親方→親方という、4つの職階に分けられるそうだ。
国の括りでは造園業もまた建設業になり、一般的には、見習いとして造園会社に入り、技術を習得して職人となる人が多い(どこにも所属せずに独学でなる人もいる)。
その職人が独立開業して職人を雇い、企業としての経営や工事の差配等のマネジメントを行うのが「親方」という段階。
大相撲で言えば、弟子として相撲部屋に入り、関取となって引退した後に親方となって、師匠として弟子の育成や部屋の運営に関わることと同じだ。

一人親方は親方のひとつ手前の段階とされているが、師事した親方の元から独立したものの、まだ職人を抱えるまでには至っていない状況ということになる。
そういう面では、往事、うちには5人程度の職人がおり、数年前までは、立派な?親方稼業をしていた。
となると、厳密には一人親方ではなく、「職人が減って、一人で仕事をしなければならなくなった親方」、ということになる。
そう見られるとなんとも格好が悪いが、実は本人は今の状況が割と性に合っていて、心身共に充実した仕事ができている。

話を戻すが、造園業が一人で大変だと思われることには、昔は造園業者自体が、仕事をするには最低3人程度は要ると思っていたこともあるだろう。
手入れなら一人でできるけれど、石組や植栽を行う庭づくりとなると、①離れて見て指示をする人(親方)、②重機を操作する人、③石や木の設置をする人等が必要になるから、「3人」というわけだ。
しかし今は、リモコン式のクレーンが主流となり、この3つの作業を一人で同時に行えるから、「一人になった親方」でも十分庭はつくれる。
というよりも、親方は職人よりもレベルが高いから、すべての作業を親方自身がやるということは、当然の如く、仕事の効率も完成度も高くなるということ。
親方は、現場で自分の仕事をしながら、職人の監督や見習いの育成に気を配るが、それが無くなった今は、目の前の庭づくりに集中できるということだ。
そんな意味では、「一人になった親方」状態は、モノづくりをするには最高に恵まれた環境ともいえる。

ただ、この、「一人になった親方」状態の自分は、造園に専念できているわけではなく、うちのもともとの家業である種苗業も手伝っている。
朝市などは日時が決まっており、自分の出番は朝の出店と昼の片づけだけではあるが、そうなると一日現場にはいられず、現場が遠い時などは休まなければならない。
造園の仕事は、1時間や2時間で終わることは少なく、最低でも、半日や一日単位の仕事になる。
移動時間が無駄にならないよう、なるべく朝市会場に近い現場を当てたいところだが、いつもいつも、そうできるとは限らない。
となれば、現場入りが遅れるばかりか、現場をまた抜けることになり、そうした事情を快く思わない施主さんの所では仕事ができない。

朝市は北秋田市の2会場と藤里町の3か所を回るが、春から行ったお寺の庭づくりは北秋田市だったため、移動時間的にはあまり支障がなかった。
おまけに工期が無くお任せの仕事だったので、のびのびと、納得のいく仕事ができたのはとても有り難かった。

「一人になった親方」で朝市の手伝いもしていると、必然的に、日時指定の仕事はできない。
そうなると、現場の進行状況に合わせて入らなければならない建築現場等の仕事はできないし、日数の掛かる遠出の仕事もできない。
現場に常駐できないと作業も遅れるから、工期のある仕事もできないし、緊急の仕事にも対応できない。
一人しかいないから、もちろん、人手のいる仕事や危険作業が伴う仕事もできない。

できないことずくしだが、「それでもいいからお願いします」という仕事はできる。
そんな理解ある施主さんに支えられながら、丁寧に丁寧に、いい仕事をしていきたいと思うこの頃。

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