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街の緑2(緑の提案と啓蒙:地元紙・専門誌掲載記事)

身近な樹木を大切に(地元紙寄稿)

2019 819 hokuu

今日の地元紙(北羽新報)文化欄に拙文が掲載されました。
樹木の保護育成に関することを「市民の安全」という観点で書いています。
下記に原文を紹介いたします。
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身近な樹木を大切に~市民の努力で創る緑豊かな街~

今年の3月に、平成最後の能代市議会を傍聴しました。緑地管理についての一般質問があり、答弁では、施設の樹木にも適正剪定(樹木の腐朽を防ぎ、切り口を早期再生させる剪定方法)を行うことを明言、この冬から市内各地で実施されています。全国で街路樹のブツ切りが問題になっている中、市は数年前に桜日本一の弘前公園(青森県弘前市)等が行うこの方法を街路樹と公園管理に導入、今後は市管理樹木全般に範囲を広げることを示しました。これを徹底している自治体は国内でも少なく、この良好管理が継続されれば、能代は『ブツ切りの無い日本一のまち』になるでしょう。

◇樹木の保護は市民の安全を守ること
 「ブツ切り」は樹木の枝を不適正な位置で切ることですが、それを行うと切り口から腐朽して幹内部まで進行し、衰弱した樹木は強風等の衝撃で倒木するなど、大事故に繋がります。これは道路や公園、施設等、市民が利用する公共スペースの全てで起こり得ることから、ブツ切りの全面禁止は市民の安全を守る措置でもあります。
樹木の腐朽や損傷は剪定ばかりではなく植栽支柱や幹に取り付けられた看板類の放置からも起こりますが、支柱や看板の取り付けが長期に渡ると硬い支柱が幹をえぐって折れやすくなり、結束縄や針金が幹に食い込むと養水分が遮断されて枯死に至るなど、いずれも倒木の原因になります。看板は幹に釘で固定されている時もあり、これも樹木を腐朽させる元。倒壊支柱の古釘を踏んで大怪我をした例もあるなど(古釘は破傷風感染の危険大)、これらの放置は樹木や人体に大きな害を及ぼす危険な行為です。樹木に取り付ける時に、木が人間と同じ生き物であることや、樹木の損傷が巡り巡って人に返ってくるということを強く意識したいものです。

◇現状と対策
 街路樹への看板や張り紙等は、秋田県の屋外広告物法や国の道路法で禁止されていますが、取り付けで樹木が傷むことと併せて周知が不足しています。能代市内で見かける物には、住所の地番札や交通安全、防火、犬の糞尿禁止、ゴミの分類表等、公共機関が作製提供しているものが多く、市民に配布する際に適切な取り付け方を説明し、事後の確認もしっかり行うことが肝要です。
 こうしたことへの指摘や改善の提案を十年前から行っていますが、関係課への情報提供を行ううちに、住所の地番札は姿を消し、ゴミ看板のほとんどが立札に移設されました。しかし、木製の立札は数年で腐り、取り換え時にまた街路樹に戻るというケースが多発しています。市では注意は行うものの、看板移設は市民責任としていることから、木から外れるのに半年一年の時間を要する時もあります。夏場は樹木が最も成長する時期ですが、これ以上は危険と判断した時は応急に立札を自作し、付け替えてもらうなどのこともしてきました。ただ、狭い植え桝への看板杭の打ち込みは根を傷める恐れがあり、歩道に自立するタイプが理想的だと考えます。市内の国県市道を管轄する諸官庁はこの問題についての協議を持ち、最善策を検討する必要があるでしょう。

◇樹木を守る取り組みと啓発
 秋田市は独自に屋外広告物条例を定めて看板類の規制をしていますが、道路法による取り締まりも徹底しており、設置者名が無く届け出の無い看板類は『不法』とみなして撤去するなど、日々の点検や毅然とした対応が奏功しています。茨城県などは、『人為的な誤りによる樹木の衰退・枯死』という記事を県のサイトに上げており、紐が幹に食い込んで枯死に至った事例を紹介するなど、初歩的な知識の学習が樹木の保護に繋がることを説いています。能代市にも動きはあって、4月10日の市広報で樹木を傷付ける行為についての注意喚起を行いました。この記事は30年前の旧能代市広報の復刻ですが、こうした啓発の継続周知を市サイトや庁内掲示等で行うことも再発防止になります。
 また、能代市では今、「のしろクリーンパートナー」制度を設けて公共地の美化ボランティアを募集していますが、その役務の中には『公共物の異常を発見した際の情報提供』があり、専門知識を持つ事業者や市民が点検作業を担うことで、知識・人員ともに不足がちな行政をフォローできます。思いのある方はぜひ、参画されてください。

◇終わりに
先の市広報では、『緑豊かな街づくりは長い年月を掛けた努力が必要』と結んでいます。旧能代市の晩年に起こったブツ切りは平成最後の年に終りを告げましたが、30年来の課題も次代に持ち越すことなく、令和の元年に解決したいものです。問題は、解決すれば街の価値に変わる。『人と緑の安全を守る美しいまち』の実現は、日本に誇れる能代の価値。価値ある故郷にしていくためにも、身近な緑を大切にしましょう。

福岡徹 杜守Club(街の木ボランティア・のしろクリーンパートナー) 能代市二ツ井町

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