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庭の設計

庭づくりの根幹

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法面下に設けられたスポットに植栽を行いました。
背後の雑木林と繫げるため、樹高3mほどのエゴノキを植えています。
この程度の大きさだと、樹木の運搬から地下支柱の取り付け、灌水や整地も含めて、植え付けは2時間程度で終わりますが、今回はその10倍の時間を土壌改良に費やしました。
たった1本の木を植えるのに3日も掛かるのか!と思われるかもしれませんが、この後、この場所で木が何十年と元気に生き続けてもらうためには必要な手間と時間。
やらずに枯れて何度も植え替える経費や、後から土壌改良をする二度手間を考えれば、最初に掛けておきたい大切な保険です。

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施工前。
この状態で何がわかるかというと、左の擁壁の水抜きから土中にしみ込んだ水が流れてくるということと、約1m四方の植桝周囲はコンクリートとその下の転圧砕石も含めて30㎝程度の層が硬く、この部分には根が入り込めないこと、樹木が成長すれば根は植桝をぐるぐると周り、やがて根詰まりを起こすこと、など、街なかの街路樹のような状況に陥ります。


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土壌調査。
10㎝ほどの黒土層の下は白みがかった粘質土で非常に硬く、手掘りなのでこれ以上深くは掘れませんが、この層が延々と続いているように思います。

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1.3mほど掘って1日置いた状態。
やはり、擁壁側から水がしみ込んできて、10㎝ほどたまっていました。
お天気が3日ほど続いていたので水抜き穴から水は出ていませんが、それ以前の水が地中にたまり、掘った穴に吸い寄せられて流れてきたということです。
土が酸欠状態になると青くなりますが、そうなっていないということは少しずつ地中に浸透しているということで、表面の雨水も2,3日で引くようです。
雨の日にはこの穴に、擁壁からの水と法面からの水が流れ込んで来ると思いますが、周囲の状況からその水を左右に移動させることはできないので、ここを浸透桝にして、その上に木を植えるということになります。

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ということでまずは、穴にたまる水を浄化させてから深層に浸透させるために、木炭を敷き詰めます。

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木炭は水に浮くので、それを抑えつつ水を吸い込ませ、かつ、作業しやすい場所をつくるために軽石を敷きました。

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事前に角杭を打っていましたが、これは、有孔管を自立させるためのもの。

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根が健康に伸びるためには酸素が必要。
それを供給するために、縦横に配管していきます。

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作業中の周囲の崩落防止として、杭周りにヨシズを巻いて土留め。
ヨシズを使うのは根が伸びていけるようにですが、ヨシズの外には、既存土に軽石と木炭をすき込み、土壌改良をした土を埋め戻しています。
また内部には、浸透力と浄化作用を高めるために、粗目の軽石と木炭で埋め戻し。
ここまでの層が浸透桝になり、この間を水が上下します。

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この間、残土の搬出もしているので、ここまでで2日。
場所が広ければ残土もすべて改良して使いますが、ここは浸透桝となるために今回は撤去。
重機が効かない谷底で仕事をしているようなものなので、軽トラック3台分ほどの残土を土嚢袋に詰め込んで運びました。

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ということで、今度は根鉢の下の床土づくり。
細かくした軽石と木炭にバーク堆肥を混合し、根が伸長できる環境をつくっていきます。

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深さ30㎝まで、この配合土をかさ上げ。

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植桝の上部は枕木で仕切られていますが、植桝を回る根を法面側に逃がしてあげるために、枕木の一部を撤去させてもらいました。
これを前面の土留めに使いつつ、法面側の土も土壌改良。

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そして、根を法面側に誘導するための通気管を設置。
根は酸素のある方、土のやわらかい方に進むので、そのための道です。
もし、四方を囲まれた植桝であれば植栽の中止を勧めましたが、法面側に根を伸ばせる余地があったので、何とかやってみましょうかということになりました。

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周囲の景石や枕木を直しつつ整地。
これでようやく、樹木を植える準備が整いました。
ここまでで3日。

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植え付けは2時間で仕上がり。
根周りには良質土を入れて、でき得る限り高く植えています。

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植わってみれば何事もなかったようですが、植えた後も何事もなく育ってほしいものです。
庭は見える所にばかり目が行きがちですが、樹木の地上部が良く見えるためには、見えない地下をしっかり作ることが大切。
その手間を惜しめば、庭はその時だけのものになるでしょう。
樹木の身体は根と幹でできていますが、植物が育てる環境をつくるということは、デザインよりも大切な『庭づくりの根幹』です。

※参考例1 枯れそうになった木に、同様の工法を施して復活したナナカマド
参考例2 グライ化した土壌の改良
それぞれ、文中のリンクから施工状況をご覧いただけます。

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