杜の木漏れ日

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山茶花(さざんか)

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大切な方が旅立たれました。
20代の頃、駆け出しの若造に庭づくりの全てを任せてくださった、かけがえの無い方。
いざ事に向かい力不足を実感、全国の露地を見て歩いたり、いろんな方に教えを請いに行ったのもこの頃でした。


若いんだから、思い切ってやりなさい。
作庭前にそう言ってくださった言葉が、今でも昨日のことのように思い出されます。
目指す庭づくりを初めて試させていただいたのもこの庭。
雪に強い庭を模索していた私の原点です。

庭師として、どのようにお送りしたらいいのだろう。
私に出来ることは何だろう。

冬場は仕舞われる、玄関前の陶器の水鉢。
代わりに、凍りで割れない石の鉢を持ち込み、紅い山茶花の蕾を添えました。

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昨夜来から降り続いた雪で、今朝は水鉢もすっぽりと埋もれていました。
雪で隠れないよう、風で飛ばされないように、わら囲いで守ります。
せめてもの、私に出来ること。


山茶花の花言葉は、「ひたむきさ。困難に打ち勝つ。」。
厳しい冬の寒さに打ち勝ち、ひたむきに咲く山茶花。
白い雪の中で紅く、健気に咲くからこそ美しく、心に残る花です。
思えば、職人として、ひたむきに仕事に打ち込むことの大切さを、こちらの庭づくりから学ばせていただいた気がします。

これからもひたむきに、一筋に、庭づくりに生きていきます。
育てていただいたご恩はけして忘れません。
本当に、ありがとうございました。合掌。

Comments 8

紅の葉  

すずちゃんさんへ

すずちゃんさん、優しいお言葉をありがとうございます。
庭師は自然に生かされ、施主に育てられ、庭を作る中で庭から育てられています。
人生、至る所に師あり、と言いますが、本当にそうですね。
庭づくりの可能性は無限で奥深いものですが、学ぶ気持ちや挑戦する気概がなければ、目指す所に到達することはできません。
これは何の仕事でも同じだと思いますが、こちらの方からは、そんな人として大切なことを教わったような気がします。

庭師がお施主さんと接する機会は、春の囲い外しに始まり、剪定、雪囲いと年3回ぐらいですが、自分の作った庭はやはり可愛くて、今頃あの花が咲いているだろうなぁ、紅葉はどうなっているだろうかと思うと、つい足が向きます。
庭師が庭に寄りたくなるということは、それだけ庭師にとって思いのある庭であるということもありますが、その庭の持ち主がいつでも気軽に立ち寄れる雰囲気を作られているということでもあります。
すずちゃんさんのお庭も、きっとそのようなお庭なのではないかと思っています。

>庭の冬囲いの藁
こちらの庭には山茶花は無いのですが、お施主さんの生き方と山茶花の花言葉を重ね合わせ、せめてもの気持ちとして庭に添えさせていただきました。
藁で囲わなくてもいい庭を作る私が、この時ばかりは、山茶花を守るために藁囲いをしました。
藁の色や質感って、独特な温かみがありますよね。
雪の中の藁の温もりに癒されている自分に気付き、お施主さんの心の温かさを思い出した私です。

2009/12/21 (Mon) 08:32 | EDIT | REPLY |   

すずちゃん  

毎年、春や、お盆前、冬の前に造園屋さんが入ってくれています。それが当たり前のように思っていたのですが、紅の葉さんのブログを拝見して、庭作りの世界の奥深さを感じております。心の支えとなる大切な師を亡くされたとのこと、どんなにかご傷心のことかとお察しいたします。これからの紅の葉さんのご活躍を天国から見守って下さる事と思います。
寒さの中で咲いてくる山茶花、強く健気ですね。
秋田も雪です。庭の冬囲いの藁の上に雪が積もっています。両親から譲られるこのお庭を大切にしていきたいと思っています。

2009/12/20 (Sun) 12:36 | EDIT | REPLY |   

紅の葉  

兄の弟の嫁さんへ

山茶花を添えてからご家族に挨拶、庭先の様子を見てもらったのですが、その時は私も、涙が出てきました。
感謝してもしきれない方、人間として尊敬できる方でしたので、生き方からも多くのことを学ばせていただきました。
山茶花を見ると、この日のことを思い出しそうです。
本当に素晴らしい方でした。合掌

2009/12/20 (Sun) 11:10 | EDIT | REPLY |   

紅の葉  

しんぼうさんへ

何ができるのだろうと考えた時、頭に浮かんだのが、しんぼうさんがお施主さんを送るために庭を清められ、灯籠に明りを灯されたというお話でした。
しんぼうさんのブログの記事は「庭が魂を繋ぐ」でしたね。
私も、お施主さんの魂宿るこの庭を守り、育てていきたいと思います。
今回のことは若い衆と二人でやりましたが、彼にも山茶花の意味がわかったようです。
庭が魂を繋ぐ。時間を人を心を。
私も身を持って感じました。

2009/12/20 (Sun) 10:44 | EDIT | REPLY |   

紅の葉  

キタさんへ

東京時代の師匠から「若い庭師を信用して任せてくれる人というのはそういるものではない。そんな人がいたら、手間も要らないと思って頑張れ。」と言われたことがありました。
駆け出し時代に認めてくださった方というのは本当に有り難いですね。
師匠やお施主さんに育てていただいたご恩とご縁を忘れず、次代にも、庭師の心意気を伝えていきたいと思います。

2009/12/20 (Sun) 10:06 | EDIT | REPLY |   

兄の弟の嫁  

山茶花を読んで涙が出ました。兄の弟の嫁は今更ながら紅の葉さん『何だかすごい!』と思いました。

大切な方のご冥福をお祈りいたします。

2009/12/19 (Sat) 00:27 | EDIT | REPLY |   

しんぼう  

紅の葉さんならではの送りかた、さぞや優しい笑顔の仏様になられたことと思います。我々も厳寒の中咲く山茶花のように逞しくそして優しく生きなくては…
故人のご冥福をお祈りいたします。合掌

2009/12/18 (Fri) 21:03 | EDIT | REPLY |   

キタ  

素晴らしいご縁でしたね。
私も、その方のように懐の深い人になりたいです。
カタチを貫いて、なお巡る命。ありがたいです。

合掌。

2009/12/18 (Fri) 18:15 | EDIT | REPLY |   

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