杜の木漏れ日

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たろっぺ

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今日の北羽新報に、私の駄文が掲載されました。
この文は、数年前に書いたHPのエッセイ「たろっぺ」http://www.shirakami.or.jp/~niwaya/essay-kokoro01.htm に、7日のブログ「雪明かり」を合わせ、加筆修正したものです。

以下に全文をご紹介いたします。

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「たろっぺ」

子供と風呂に入る。
磨りガラスの外は、屋根から落とした大盛りの雪。
湯桶ですくって手渡すと、待ちかねた子供たちが雪団子を作り始める。
湯船の縁には、小さな雪だるまがいくつも並ぶ。
自分が子供の頃も、こうやって遊んだ。
こんな遊びがあると、風呂に入りたがらない子供たちも喜んで入る。
この雪遊び、子供たちにはたまらなく楽しいらしい。

冬の夜の雪遊びといえば、雪明かりも面白い。
雪寄せついでに盛り上げた雪に穴を開け、ろうそくの火を灯す。
ゲンコツでボツボツと穴を開けるだけでも幻想的な雪蛍ができるが、○や△、星型などにするとより楽しい。
風呂場の電気を消すと、暗がりの湯船から歓声が上がる。
これでまた、風呂に入るのが楽しくなる。

湯船から空を見上げると、屋根からは「たろっぺ」が下がっている。
この透明な棒、お湯に入れると、シューッと融けていく。
雪を盛った湯桶に立てれば、お城も出来る。
そして、その城もまた、湯船に入れて融かす。
そんなことが面白くて、何度も窓を開ける羽目になる。

「たろっぺ」は秋田弁で「つらら」のことだが、子供たちにはこんな日常の遊びを通して、時々ふるさとの言葉を教えている。
「つらら」の由来は氷柱が「連なる」様を表わしたもので、「たろっぺ」は、氷が垂れる様子から「垂れ氷(たれひ)」と言っていたものが訛ったものであることなども話すと、子供心にも納得している。
物を見て触り、たったひとつの言葉にも意味や歴史、地域性があることを知ると、自分のふるさとへの愛情も育つのではないかと、そんなふうに思うのだ。
「たろっぺ」といえば、小学校の頃、同名の詩集に友人の詩が載ったことがある。
確か、その年の優秀作だと思った。
タイトルは、「ベゴのケッチ」。

「ベゴのケッチ」
ベゴのケッチが僕を見ている。
ケッチにはシッポが付いている。
振り子のように動くシッポ。
ベゴはシッポで僕に挨拶している。
僕もケッチに手を振る。
僕とベゴは友達だ。

もう40年近く前のことなので記憶も定かではないが、確かこんな感じの詩だった。
学校帰りのいつもの風景を書いたものだったが、そういえば、あの道の途中には、ベゴがたくさんいた。
そして、草を食べながらシッポを振っていた。
あの頃、こんな光景はどこにでもあった。
詩集はもう手元には無いが、記憶の中の友の詩を読み返す度、当時の田舎の景色が蘇ってくる。
何気ない景色に心を留め、気取らずに書いた友の感性と表現力を、今さらながら素晴らしいと思う。
田舎の暮らしとともにある土地の言葉は、言葉そのものから情景が思い浮かび、いつまで経っても心に残る。
雪遊びとともに、こんなふるさとの言葉もまた、子供たちの記憶に残ってほしいと思うこの頃だ。

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文中に出てくる詩は同級生のY君が書いたもので、富根小学校から羽立への登下校の時のことを書いたものでした。
たしか小学校の高学年の頃のことだったと思うので、今から35年ぐらい前になるでしょうか。
小2の長女に聞くと、「たろっぺ」という詩集はまだあるそうです。
今度、読んでみたいと思います。

Comments 2

紅の葉  

すずちゃんさんへ

子供の話によると、「たろっぺ」はまだあるそうです。
図書館などには置いてあるのかもしれませんね。私も今度見てみたいと思っています^^。

>糞の湯気
吉幾三さんの歌に「東京でベゴ飼うだ~」とありましたね^^。
私は農業大学にいきましたが、キャンパスのあちこちに馬の糞が湯気を上げていました。畜産学科がありましたので、牛もヤギも鶏もいました。東京でも秋田とそんなに変わらない環境で暮らしていたなと、ベゴで思い出しました^^。

すずちゃんさんのご子息の夢、前にブログで拝見しておりました。
素晴らしい夢をお持ちですね。それを見守り応援するお母さんも素敵だなと思いました。
私も二人の子供には好きなことをやってもらいたいです。
自分の人生は自分だけのもの、後悔しないよう、思い切り生きてもらいたいですね。

2010/01/27 (Wed) 08:28 | EDIT | REPLY |   

すずちゃん  

たろっぺ

紅の葉さん、こんばんは。
御無沙汰しております。
忙しくて、PCタイムが減りました。

たろっぺ、懐かしいですね。
毎年、楽しみでした。
今もあるのだろうか。

「べごのけっち」
そうそう、昔はべごも馬もいました。
路に、糞が落ちて、湯気があがってましたっけ。
そんな時代に育ちました。

子供たちに言いたいことはいろいろあるけど、育つ時代が違う、自分たちの価値観を押し付けてはいけないような気がして、子供たちが選んだ道を応援しようと思っています。

ごめんなさい、話が違う方向へ行ったと思いますが。。。

紅の葉さんの、子供さんたちは優しいご両親のもとで、きっと素敵なお嬢さんになることと信じています。

2010/01/26 (Tue) 21:58 | EDIT | REPLY |   

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