ゼニゴケ発生の考察と対処3~土質調査と対策実施~
2021年11月09日

結論が出たら、善は急げ。
翌年までは待てず、翌週に山形まで出掛けました。

午後イチで作業開始。
水をせき止める土留の裏側には溝を掘り、延段周りには縦穴を掘ります。

前回、軽石を詰めた所を更に広く深く掘り、土質を確認。
表層に多少の硬化は見られるも掘削に難儀をするほどではなく、畑土のような茶系土に砂質土が入り混じる状態。
グライ化はしておらず、地下40㎝あたりから拳大の石が出始めて、人力で掘れるのは60㎝程度が限界。

水を入れて浸透具合を確認。
10㎝ほど入れた水は15分程度で引く。


土留裏も土質は悪くなく、こちらは5分もかからずに水が浸透。

掘削状況。
現状の浸透力からすれば暗渠を設置するほどではなく、表面滞水を改善すれば解決するのではないかと判断、浸透管の埋設で対応することに。

最も硬化していた延段と土留の間の狭い部分は、広めに掘って浸透管を入れ、木炭の上に軽石で埋め戻し。
浸透管というよりは浸透桝ぐらいの容量はあるので、仮に土留裏の地下が滞水しても、そちらの水を引き込めるぐらいの力はあるでしょう。

土留の内側には木炭を連続させて暗渠の替わりとし、外側は既存土と粉炭、バーク堆肥の混合土を埋め戻し。
木炭には酸性を中和する効果があり(これもゼニゴケ対策)、それを期待しつつ、この溝部分に樹木の根を通し、下草を植えられるように。

完了。
塀際に長さ4m、深さ50㎝の溝を回し、延段周りには深さ60㎝の浸透管を4か所に設置。
埋設カ所の仕上げについては、次回に持ち越したい。
<まとめ>
今回の考察と対処でわかったのは、
グライ化しているような硬土や過湿土壌でなくともゼニゴケは生え、繁殖の前兆もあるということ
庭の造成時に通気通水の仕組みをしっかり作っておけば予防になること
水はけがいいことを過信せず、通気通水機能の低下を知らせてくれる信号(ゼニゴケ)を見逃さないこと、等々、
ゼニゴケは、縁起のいい名前なのに(銭苔)疫病神とか厄介者と呼ばれてしまう気の毒な苔ですが、ゼニゴケが悪いわけではなく、ゼニゴケが生えやすい環境をつくってしまった庭屋の方が悪いのです。
作り手が気付けなかった土中の通気不全や施工時の不具合を教えてくれたという点では、まさに、銭を出しても買えない経験をさせてもらいました。

地下の改善作業は腰に来る。
腰を伸ばしつつ見上げると、そこには、樹形再生のため、何年も手を入れてきたモミジの紅葉がありました。
この景色と初めて出会えたことにも、感謝感謝。
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