大館市に参考書を寄贈
2022年01月05日

暮れに、大館市内で見掛けた小学校の木。
大きなケヤキが丸刈りとなっていました。

2014年の姿。
校庭にこれほどの大木があるのは珍しく、おそらく、創立前からあったものでしょう。
もしかしたら、お寺などの名残りかもしれないと、2018年に訪れた際、市役所や学校に由来を訊いていました。
事情があったのだろうと思いますが、何とも残念なことです。


一昨年は、同じ市内にある他の小学校の大イチョウが枝切りされていました。
隣接するイチョウ並木もブツ切りで、沿道には中学校もある。
校庭の木も通学路の木も、イチョウがイチョウらしくいられないのは気の毒。
子どもたちにも、あまり良い影響を与えないのではないかと心配になります。
自分の街であれば、市役所なり教育委員会なり学校なりに行って話をしますが、他市のことに口をはさむのもおこがましい。
かといって、樹木を専門とする者が見て見ぬふりをするのも違うだろう。
お前はそれでも植木屋かと、ケヤキのことですが、松の内は寝ても覚めてもそんな葛藤に悩まされ、悶々とした正月を過ごしました。
それでもやはり後者が勝って、他市民としてどんなアプローチができるのかを考えてみる。
結果、ダメ元で市長さんに手紙を書き、参考書を贈ることにしました。


寄贈したのは、この中の「まちなかdeセンス・オブ・ワンダー 」と、「庭暮らしのススメ」。



この2冊には、大きくなった木を自然樹形で縮小する方法や、ブツ切り後に荒れた木への対処の仕方、正しい剪定をすれば切り口がどうなるかなどが紹介されているからです。

そして、能代市が参考資料としている剪定のテキスト。
この三部作を手紙とともに寄贈しました。




市役所では広報広聴係の職員さんが対応してくれましたが、話の中で、昨年は秋田県議会で全県の県道街路樹を適正管理する方針が示されたことと、県は国の道路緑化技術基準に沿って進めること、その基準の解説書には「ブツ切りを行ってはならない」ことや「適正な剪定位置」が示されていることなどをお伝えし、能代市ではすでに行われていることなどを「景観文化」の誌面でお知らせしました。

また、二ツ井小学校などでは、校庭樹木が後々まで大切にされるよう、樹木の由来を示した看板を設置していることなども、併せてお話ししました。
多少、厳しい話もさせていただいて、
切ることを頼む人も切る人も、子どもたちに見られていることを意識すること
ブツ切りが子どもたちの記憶に残り、これが当たり前だと思われてはいけないこと
切り過ぎると樹木の養分生成に影響が出るのは、光合成の役割を知る理科教師ならわかること
生き物にやさしく接する必要性は、道徳を教える先生ならわかること
剪定は木の身体を切る外科手術で、化膿しないよう、傷口が塞がるような手当てをしてあげることは、保健師さんだったらわかること
樹木剪定を発注する先生や教育委員会だけで決めずに、学校の中で知識のある人たちの意見も取り入れればいいこと、
などをお話してきました。
担当部署にお伝えいただけるとのことで、良かったです。

帰り掛け、庁舎にある大きなケヤキと石碑が目に留まりました。
天皇家が休憩した所だそうです。
学校のケヤキも同じぐらいの樹齢だと思いますが、もし天皇が行っていれば、きっと大事にされたでしょう。
天皇は有り難い存在ですが、人の何倍も長く生きる木も有り難いもの。
鋸や鋏を持つ時、剪定を頼む時に、心の片隅にその有り難さを持っていただきたいと思います。
市役所では、手紙と本をどこに持っていけばいいかわからず、市民相談センターという所に相談。
親切にも、そこから担当の課に繫いでいただきました。
他市民のお節介に対応いただいたこと、感謝申し上げます。
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