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秋田県能代市で作庭を行う福岡造園のブログです。 日々の仕事や活動等の最新情報を載せていきます。

ひこばえとあがりこ

2022年04月09日
街の緑1(勉強及び視察)
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幹が衰弱していた施設のナナカマド。
昨夏、ついに本体が枯れたために、施設の方が伐採してくれていました。
ナナカマドの交代

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ただ、育成中のひこばえを傷付けずに伐るのは難しく、今冬、隣木の剪定をしたついでに切り直しを実施しました。
幹の切り株はいずれ枯れますが、ひこばえの生長が早いと擦れて傷みます。
伐り跡を目立たせないためにも、生え際まで切り下げました。

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こちらは昨冬に見掛けた、旧東能代中学校跡地の桜の木。
数年前に大胆な剪定が行われていたと記憶していますが、途中で伐った幹から枝が出ていました。

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こちらは鳥海山麓にある「あがりこ大王」。
かつて、炭や薪に使う材を得るための萌芽更新は全国各地の里山で行われていましたが、雪深い地では雪上で伐っていたため、「あがりこ(上がり子:幹の上から子の枝が生えている様子)」という形状になりました。
そのあがりこの中で最も大きいのがこの大王様、今や秋田名物といえるでしょう。

旧東能代中学校跡地の桜は薪炭目的ではないと思いますが、せっかく「あがりこ状」になったこの木を活かせないものか。
『あがりこ女王』にでもなれば、市の花を桜とする能代市の名物になれるでしょう。
などと、この桜の木を見ていてそんなことを思いました。

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校庭には、ひこばえが成長した桜もありました。

hougakousin22 (6) -

幹が傷んできているので、いずれ交代の時期が来るかもしれません。
その時のためにも、このひこばえを残してあげてほしいですね。

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こちらは、大館市にある出川のケヤキ。
幹が根元から5本立ち上がっている様は家族のように見えますが、最も太い主の幹は枯れてしまいました。
他の4本はひこばえが育ったものでしょう。
逞しい子孫が、樹齢700年の命を繫いでいます。


根元から芽が出れば「ひこばえ」で、幹の途中から出れば「幹吹き(胴吹き)」。
生える高さが違うだけで、どちらも、樹木が養分を補うために出す、生きるために必要な枝です。
(断幹後に出た幹吹きが育てば「あがりこ」)。

漢字にすると、あがりこは『上がり子』で、「ひこばえ」は『孫生え』。
幹吹きやひこばえは忌枝として切られる傾向にありますが、字の如く、子孫を残すために出てくるものは残したい。
公共緑化にありがちな「枯れたら取り替える」ではなく、生きようとしている命の枝を見落とさないことが大切。
植え替えによる更新よりも、個体を残す更新のほうが経費も抑えられ、植えた時の思いやお金を無駄にしないことにも繋がる。

『孫生え』や『上がり子』、思いとともに、孫子の代まで生かしてあげたいですね。

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FUKU
Author: FUKU
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