祈り鶴
2022年05月13日

久しぶりに菩提寺ヘ。
仏事の合間に、蓑虫山人が手掛けた庭を眺める。
境内には大ケヤキが林立し、樹齢は優に300年を超えるだろう。
林床には新緑の木漏れ日が降り注ぎ、山野草やヤマツツジが咲いている。
特に目を引くものはないけれど、これで十分。
作為を感じさせないから、心静かに佇める。

本堂を降りると、舞鶴草が咲いていた。
無数の花穂は、人々が手を合わせているかのよう。
ここで見送る人たちには、祈り鶴のように見えるかもしれない。
この草花がお寺にあると、そんな姿が目に浮かぶ。

家に帰れば、ギボウシが迎えてくれる。
つい先日、先代が育てた一鉢に替えたばかり。
斑入りが好きだったから、この葉も別れ花として添えた。

ギボウシの向かいでは、カエデが天を目指す。
愛した花や孫たちに送られて、安らかに天へ。
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