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秋田県能代市で作庭を行う福岡造園のブログです。 日々の仕事や活動等の最新情報を載せていきます。

芝地の水はけ改善(軽石暗渠)

2022年07月20日
土の手入れ
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芝地の水はけを改善する工事。
水がたまりやすい所は芝生が剥げやすく(の辺り)、雨の日にはぬかるみます。
水がたまるということは地下に浸透しにくいということですが、こちらは車が乗り入れる所でもある為、ある程度の硬さが必要。
浸透改善は難しいため、暗渠で水を誘導します。

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水は高きから低きに流れるもの。
スペースに空きがあり、水を誘導できる所といえばこの部分が最適でしょう。
水を通して土を止めるのが柵(しがらみ)ですが、ここに暗渠を通します。
(写真は2015年の植栽時)

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溝を掘って、水勾配の試験。

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有孔管を埋めた所。

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踏圧を受ける部分の施工。
芝生は張り直すので、きれいに剥ぎ取ります。

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約15mの暗渠溝。
始点部分は深さ30㎝で終点部は50㎝、約20㎝の勾配が付いています。
これだけ掘ると残土もかなり出ますが、その土は捨てずに炭とバークで改良し、植栽スペースを広げます。
耕運は暗渠の深さに合わせているので、既存樹周りの水もはけていくでしょう。

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暗渠の構造。
下から、浸透マット→有孔管→軽石→浸透マット→土嚢詰めの軽石→バークと軽石の配合土→芝生の順番で載り、既存土と接する両脇部分にも配合土が入っています。
管内は水だけでなく空気も通る。
空気が通れば根が集まるのが理で、硬土で下に降りられない既存樹の根が管周りに張れるようになります。
砕石ではなく軽石にしているのも、土中に空気層をつくるため。
砕石はただ水を下に落とすだけで、もし、砕石内や管内に泥が詰まれば機能は止まり、暗渠内が水で飽和して地上にあふれます。
多孔質の軽石は水を含むことができるので暗渠内の容量が増し、有孔管で排水しきれないほどの豪雨にも対応できるでしょう。
同時に、軽石はスポンジの役目をすることから、水は軽石から軽石へとゆっくりと伝わり落ちるため、適度な保水力もある。
ある程度の強度があって保水や通気、浸透に優れ、その効果で植物も育てるという、それが、軽石暗渠の魅力でしょうか。

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完成。
地表に出ている軽石部分は通気口で、ここからも空気がもたらされます。
黒い部分はバーク堆肥。
土の流出を防ぎつつ、芝生や下草を植えられるように。

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向こう側は暗渠にせず、浅い空堀にしました。
土から出た小石を護岸に据えて、水の流れを緩やかにしています。

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暗渠と空堀が交差する終点部。
人の出入りが無い所は埋め戻さずに、周囲の剪定枝を載せて仕上げています。
やがて腐食すれば、この中を根が行き来するようになるでしょう。
土も枝も無駄にせず、その場で活かす。
今回も、そんな仕事になったようです。
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FUKU
Author: FUKU
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