地下の環境改善
2022年11月29日

先月に行った浸透改善。
黒土を30㎝ほど掘り下げると、硬い砕石層が現れました。
試しに注水をしてみると、水がたまります。

砕石は転圧されているため、ここで重機と交代。

砕石層はおよそ50㎝で、その下は礫層。
再度注水をして、浸透具合を確かめます。

今度はすぐ引いていきました。
こうした状況は2015年にも経験していますが、砕石層は宅地造成時の埋め立てで、その下がもともとの地盤でしょう。
黒土層にグライ化は見られないため、水は少しずつ浸透しているようです。
ただ、厚い転圧砕石は岩盤と同じ。
根はその下に降りていけないので、できるかぎり解します。

植栽をする時、石ころや砕石は取り除かれますが、樹木には無害。
転圧砕石も、解せば礫層同様の浸透効果があります。
無理に出して捨てず、粗目の軽石と混ぜて締まらないようにします。

広めに掘ってみると、今度は黒土層が厚い。
建築の安定のため、建物周囲の地盤は砕石で締固め、離れた部分は土になっているのでしょう。
この辺りがその境目のようです。

こちらは黒土が深い分、保水性が高く、土が湿っています。
黒土層の下は同じ礫層なので、木炭粒と細軽石を漉き込んで浸透を助けます。


地中に土壌改良材と浸透管が入り、耕運すれば空気も入る。
必然、土の容量が増しますが、余ったら捨てるのではなく、盛る。
ということで、この作業を十数回繰り返します。

今回工事を行った部分には生垣があり、一度解体をして、土壌改良後に植え直します。
支柱材はまだ使えるので、通気管の泥漉しとして再利用します。

通気管にも改良を加えて、今回は大小のダブル。
有孔列をずらして泥の侵入を少なくします。
通気通水の効果がより長持ちするでしょう。

仕上がり。
有孔加工したボイド管には軽石を詰めていますが、これは、砕石暗渠を縦にしたのと同じ理屈。
ボイド管が融ければ、軽石が泥漉しの役を果たします。
軽石そのものも通気通水をするため、浸透管と言うよりも浸透桝。
施工直後は少し目立ちますが、やがて芝生や下草で隠れます。

これが、約10mの植樹帯に十数個入っています。
将来、踏圧や自然圧等でまた締まるかもしれない土を、通気管の空気が解していきます。

土壌改良と併せて、柿の木も移植。
4隅に通気管を埋設し、黒土層の浸透改良もしているので、根も深く広く張れるでしょう。
この鳥居支柱は生垣の柱だったもの。
使える物は使います。


解体前の生垣と移植後。
並列植栽だったものをランダムに植え直しました。
土壌改良は地下に空間を作る作業ですが、枝抜きをして木同士の間隔も広げて、地上部にも空間を作ります。
刈り込まずにこのまま伸ばし、成長とともに下枝を外していけば、やがて疎林のようになっていくでしょう。
今後が楽しみですね。
昨年、植物が健全成長できる条件として城の土塁の話を書きました。
その中で、同様の形態や効果を持つものとして畑の畝のことも書いていますが、毎年耕して空気を入れる畑と違い、樹々が植わった庭は全体を耕運することができません。
それを補うのが、通気通水を助ける浸透管と言えるでしょう。
地上の手入れとともに、やってあげたい手入れです。
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