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秋田県能代市で作庭を行う福岡造園のブログです。 日々の仕事や活動等の最新情報を載せていきます。

正しいことは続き、進化する

2023年08月12日
戯言
隣町で仕事をしていると、向かいから鋏の音が聞こえてきた。
手慣れた感じだなと思っていると、やはり同業。
一服の時に挨拶すると、こちらのことを知っているようだった。

いろいろ話をしていると、「能代で透かしを初めてやったのは福岡さんですよね?」と問われた。
いやいや、透かしは30年以上前からやっているけれど、自分より先に採り入れていた方はいて、刈り込みが主流だったあの頃、本質的な手入れをする人がいたことに大きな共感と勇気をもらった。
自分がやったのは、公共でなかなか理解されない透かしの技法や概念を行政に紹介し、公共剪定で実施されるきっかけを作ったことかなと、そんな話をした。

透かしは昔からある日本の技術で、いつ誰が始めたのかはわからないけれど、日本全国で行われている。
技術が残り、広まっていくのは、それが本物だからだ。
裏を返せば、ブツ切りが蔓延している現代は、技術と呼べないものが広まっているのだろう。

15年前、行政向けの勉強会を企画した時、当時の役人さんからは、透かしという特定技術を強要することはよくない、と言われたものだった。
そんな時代もあったけれど、今はそれが特別ではなく、スタンダードになっている。
刈り込み主流の当地でも、こと、公共剪定をやる植木屋さんたちは、明らかに技術が向上したように思う。

能代の落ち葉掃除に「木々の恩恵に感謝して」のキャッチフレーズが付いたのが2011年。
10年後、掃除の開会式でこの言葉を発した担当さんと偶然出会い、今もこのフレーズが続いていることに感謝した。
返ってきたのは、「正しいことは続くんです」という言葉。
こんなことを言えるのは、この人が本物の心を持っているからで、、正しいことを始めた人の誇りと信念があるからだろう。

能代の透かしにはその後、「自然樹形を保つ」という意識に、『樹木を腐朽させない』というやさしさも加わった。
正しいことは続き、そして進化する。
それが当たり前になっていけば嬉しい。

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※添付は2008年12月の新聞記事。
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FUKU
Author: FUKU
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