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秋田県能代市で作庭を行う福岡造園のブログです。 日々の仕事や活動等の最新情報を載せていきます。

植木屋の悩みは尽きない?!

2010年03月31日
庭づくり 6
一昨日は吹雪と化した天気も上がり、ようやく花壇の石積に入ることができました。

IMGP7241.jpg

建物の外壁は、このような石積みを模したような模様になっていますが、これは「布(ぬの)積み」とか「整層(せいそう)積み」といわれるやり方です。
使う石の色合いも外壁に合わせていますが、今回はその模様も合わせてみようということで、整層積みの発展型といわれる「整層乱(らん)積み」をさらに発展させ、壁面をカーブさせながら積んでみることにしました。

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ということで、悪戦苦闘しております。
巷の私に対する印象は、「真っ直ぐな男」とか「四角四面」というような硬いイメージがあるそうですが、そんな私にはおあつらえ向きの石積です。
が、真っ直ぐな使い方に向くものを曲げてみたり、斜めに合わせていこうとするのですから、かなりの「へそ曲がり」であります(笑)。

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真っ直ぐの組み合わせは簡単なように見えて、素材の吟味に時間を掛けたり、完成度を高めるためには相応の材料を持ち込んで厳選しながら積まなければならないので、結構大変です。
整層乱積みの名のごとく、四角く整った石を乱れさせながら積んでいくのは本当に難しいと、あらためて感じます。
それを曲面にしていくのだからなおさらですね。

石がなかなか合わない時など、「なぜ自分は、このような面倒な積み方をしているのだろう?」と思ったりしますが、
「それは石が好きだからだ。新たなやり方に挑戦しているのだ。難しいからこそ、やり甲斐があるのだ。」、
「では何か?お前は自分の満足感のために石を積んでいるのか?」、
「いやいや違う、この積み方がこの庭に一番相応しいからだ。」、
「わざわざ曲げる必要はあるのか?」、
「曲げることで庭に柔らかさと広がりが出てくるのだ。」、
「もっと簡単なやり方で早く作れば儲かるのではないか?」、
「それではどこにでもある庭になる。家族に愛される、たったひとつの庭を創らなければならない。」、
「こんなに石を使って、自然破壊しているのではないのか?」、
「大切な資源を生かせるよう、心を込めて積みます!」

などなど、黙々と積んでいるように見えて、このような自問自答が頭の中を駆け回っていたりします。
我がことながら、植木屋とは、なんと悩み多き仕事なのでしょう(笑)。

悩むのは仕事に対して真剣だからです。
仕事で悩めることは幸せ、悩める仕事があることに感謝しようではないか、ということで、この庭には、この石積をあと3箇所つくります。
真っ直ぐな私ではありますが、この花壇が出来る頃には、悩みと腰痛で、腰が曲がっているかもしれません(笑)。
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FUKU
Author: FUKU
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五感で楽しめる暮らしの庭、創った庭から民謡や童謡が聞こえてきそうな、土地の風土と共にある庭を目指しています。

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Comment(6)

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紅の葉

TELさんへ

仕事中はいろいろ考えてしまいますね(笑)。無心で目の前の石と対峙しなければと反省です。
私がTELさんと同じ年代の頃、庭誌で「茶庭二人集」という特集があり、そこに登場されていた金綱重治さんの記事を見て感動したことがあります。記事には金綱さんと一緒に仕事をされた方の金綱評が載っていて、「金綱さんは恐ろしい人だ。こんなに丁寧な仕事では採算が取れないのではないですか?と聞くと、『若いうちから儲けることを考えちゃいかん!』と、朝早くから暗くなるまで仕事をしていた。」とう所を読み、本物の職人とはこうなのだなと感銘を受けました。
私の師匠からも、「信頼して任せてくれるお施主さんは本当に有難い。もしそんな人と出会えたら、手間も要らないと思って頑張れ!」と教えられ、今もそれは守るようにしています。お金は大切ですが、もっと大切なのは職人の心意気や、施主や自然、素材、道具などへの感謝の気持ちではないかと思います。うちの若衆もTELさんと同世代ですが、植物に対する愛情や庭への思いがとても純粋で、そんな彼の姿から、自分が忘れかけていたことを思い出し、もっと仕事に対して純粋にならなければと自戒することもあります。変動する世の中に対応していくためには我々も変わらなければなりませんが、変わってはいけないものもありますね。社会に順応しようというあまり、職人として大切なものを見失ってはいけないなと、街路樹のブツ切りなんかを見る度に思っています。
中年世代ともなると頭が硬化してくるので(笑)、若い人と話すのはとても刺激になります。そんな意味でも若衆とはいろんな話をします。
TELさんも、庭師を志した純粋な思いをいつまでも忘れず、親方の下で精進されてください。それでは今日も張り切っていきましょう!

2010/04/03 (Sat) 08:31

TEL

おつかれさまです。
俺も仕事しながら同じようなコト色々考えてしまいますわ(笑)


利益も大事だし
金だけの仕事はしたくない。
色々考え学んでます。

でも結局は親方次第の
下っ端ですけどね(笑)

2010/04/02 (Fri) 21:03

紅の葉

キタさんへ

この現場は石積、石張り、洗い出しと続くので、最後まで腰が持つかどうか心配です。
これから石仕事は若衆に任せて、後ろから、あーしてコーシてと、指示する仕事に専念しようかと。
でも二人しかいない小所帯なので、これからは毎食ウドンを食べて、コシを強くしなければと思っているところです(笑)。

2010/04/02 (Fri) 08:23

紅の葉

しんぼうさんへ

この石積は層積み、とも言うんですよね。
これまで、整形的なものにはあまり魅力を感じてきませんでしたが、やってみたらソウ像以上に難しくて、ソウ定外の手間にコバっております(笑)。
整層乱積、整っているものを乱れさせる、ということに新たな魅力を感じていますが、この「乱れ」はデザインだけではなく、石積の強度を高めるためということもあるのですよね。
現場でこの石積をやるのは初めてで苦労していますが、庭の奥深さを知るいい機会となっています。
ソウこうしているうちに雨が止みました。ということで、現場へ向います。

2010/04/02 (Fri) 08:21

しんぼう

層積み、なかなか大変ソウですね。悩みながらのソウ造は苦労が多いですがその分いい庭ができソウですね!

2010/04/01 (Thu) 08:43

キタ

写真を見ているだけで、腰が痛くなりそうですね。
最近は、腰と集中力が続かなくて。年ですね。
腰、気を付けてください。

2010/04/01 (Thu) 08:26