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秋田県能代市で作庭を行う福岡造園のブログです。 日々の仕事や活動等の最新情報を載せていきます。

三世の庭~解体古材でつくる見立ての庭(北秋田市 宝勝寺さん)

2023年11月18日
作庭紹介
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宝勝寺さんの境内に、新たな庭が完成しました。
表題にある『三世』は、作庭前にご住職から伺っていた仏語ですが、この三つの世(過去・現在・未来)を繋ぐ時間の流れを「川」で表し、人が川を渡りながら未来へと向かう様子を「道」で表現しています。

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庭は、川の蛇行によって始点(過去)と中間(現在)、終点(未来)の3区画に分かれています。
ここはその始まりで、過去から現在に渡る石橋。
庭に使った素材の大半は、取り置きされていた解体古材ですが、この橋石はおそらく、建物の基礎だったものでしょう。
むくりのある石肌が味わい深く、過去とは違う使い方をしてみました。

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自分という人間が今ここに立っているのは、多くの先祖が三世を歩んできた結果でしょう。
始点の足元に畳まれた無数の小石は、自分に至るまでのご先祖様の数。
そんなイメージでつくっています。

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現在から未来に向かう道。
飛石の周囲には矮性の石楠花を植えていますが、これは落雪対策。
高木は植栽できないので、高木の無い山に咲く、大雪山系の樹種を選びました。

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未来に向かう道すがらには、蹲踞を。

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ベンチから眺められる、ここがこの庭のポイント。

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ベンチは2人掛け。
飛石を配して、「腰掛待合」としても使えるように。

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水を注ぐと、背後にある石楠花の枝葉が映り込みます。
蹲踞は、手水を使うための露地(茶庭)の設えですが、庭の景色としても楽しみたい。
ここに「見立て物(石造品の一部を転用したもの)」を使っているのもそのためで、これは「見立ての庭」のコンセプトに合わせたもの。
方形なのは、直線を多用した伝いとの調和です。

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水鉢の後ろは、石垣に使われていた間知石を、積み方を変えて山なりに。
蹲踞は、本流から分岐した支流の始点にあるので、いわゆる『流れ蹲踞』の様相を呈しています。

茶道は禅の影響を多分に受けていますが、お茶を点てる時、柄杓に汲んだお湯の半分だけを注ぎ、残りの半分を釜に戻すという所作は、千利休が禅の精神を採り入れたものだと言われています。
これは、道元禅師が、仏様にお供えする水を川から柄杓で汲み、柄杓の水の半分を川に戻したという話から来ているのかもしれません。
特に蹲踞を茶事に使わなくても、お寺を訪れた方が仏様のために水を汲み、その半分を流すために川があるということでもよいのかなと思います。

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現在と未来の間にある瓦の造形は、お寺の装飾に使われている雲のイメージ。
瓦と砂利とくれば「雨落」ですが、この部分は雨水や蹲踞の水が流れ込む暗渠になっているという、機能を持たせた造形です。

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蹲踞は未来への入り口。
清めた心身で、現在と過去を振り返ります。

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三世の庭は、月の庭の隣にあります。
ご法事や散歩の合間に、学校帰りに、ぜひ腰掛けて、一休みされてください。


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水鏡になった手水鉢。
庭で活きると、彫った甲斐があります。

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FUKU
Author: FUKU
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