fc2ブログ

秋田県能代市で作庭を行う福岡造園のブログです。 日々の仕事や活動等の最新情報を載せていきます。

気掛かり解消

2024年03月21日
庭づくり
2403maeisi (2)

昨秋、作庭させていただいた三世の庭
背景のさみしさが気掛かりでしたが、ここには萩が芽吹くので春までの我慢。
そう思っていたところに、今回、その背景にある夏椿を剪定するという機会があり。

2403maeisi (1)

この枝を使わない手はない、ということで、石組の間に夏椿の粗朶垣ができました。
粗朶垣は萩が生えれば見えなくなりますが、見えなくなっても役はあり、庭に前傾する萩の枝を、この垣根が抑えてくれます。
木の枝ですが、そうなれば一石二鳥。
これで気掛かりがひとつ無くなったわけですが、ひとつ解決すると二つ目が出てくるもので。

2403maeisi 5

二つ目は、蹲踞の前石。
このコーナーは、石敷と前石、蹲踞の台石と、直線の気勢を効かせているポイントなのですが、完成後に写真を見た時、海をもっとゆったり見せたいという気持ちがふつふつと。
角形ではなく円形、面積の都合上、半円の物が合うのではないか。

24maeisi.jpg

思い出したのが、割れた碾き臼でつくった道
こんな感じで、ちょうどよく半分に割れた石がほしい。
しかも新品ではなく、古材感のあるものがいい。
農家や石屋さんの片隅に転がっていそうですが、そんなに都合よくもいきません。

2403maeisi (4)

そこで登場したのが、この石。
自然石ですが、昔々、どこかの庭から引き取ってきたであろう古材の飛石が、置き場の草むらから湧いてきました。
寸法も形もちょうどよく、加工していないので味があります。

2403maeisi (7) 
2403maeisi (6)

手直し前と手直し後。
石の厚みもちょうどよく、前側面の凹凸も面白い景色。

2403maeisi (5)

前石前の敷石は当初、既存古材の形を活かして、石橋の途中に蹲踞があるというイメージでつくりましたが、露地の中の直線の道は、早く通らせたい所につくるというセオリーがあります。
ここはゆっくり歩いてもらいたい所なので、古材で統一しながらも、石質や形状の違いで変化を出せたら。
そんな、作者のわがまま?に適う石が見つかって、二つ目の気掛かりが無くなりました。

二つの気掛かりは、よりよくするための気付きで、ミスではなく感覚の問題。
それでもそのままにしておくと、その気掛かりは作り手としての後悔に変わる。

思い出すのは、『経験を重ね場数を踏み、作る度に後悔する部分が減っていき、同時に高い次元での悩みも増えてくる。』という名人の言葉。

これは一生続くことだと思いますが、気付いた時に直し、後に悔いを残さない。
そんな気持ちを持ち続けることができれば、前に進めるのかなと思います。
良い経験をさせていただきました。

08-maguro_11.jpg

15年経ってから直した蹲踞。
足るを知りつつ、現状に満足しない。
関連記事
FUKU
Author: FUKU
福岡造園HOME
福岡造園のfacebookページ

五感で楽しめる暮らしの庭、創った庭から民謡や童謡が聞こえてきそうな、土地の風土と共にある庭を目指しています。

※記事中の写真や図の二次使用はご遠慮ください。