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秋田県能代市で作庭を行う福岡造園のブログです。 日々の仕事や活動等の最新情報を載せていきます。

音楽階段と石積花壇のある庭

2010年05月13日
作庭紹介 6
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3月下旬から取り掛かっていた三種町の庭、追加工事を残してほぼ完成です。
まだ時折吹雪く時期での着工でしたが、早いもので、いつの間にかソメイヨシノも終わり、庭では今、黄色のヤエザクラが咲いています。

一月半も掛かると、もはや以前の状態がどんな感じだったのかわからなくなってきました。
トジコジと(ボチボチコツコツと)石を積んでいた頃はいつ完成するのかと気が遠くなっていたものですが、いざ完成となるとこの庭が可愛くて、離れがたい思いです。

ということで、作庭を振り返る意味で、少し庭の解説をしていきます。


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階段を挟んで左側は溶岩のロックガーデン、右側は棚田式の花壇です。
こちらには既存の草花がたくさんありましたので、山野草を植えるロックガーデンと、明るい草花を植える石積の花壇をつくりました。
ロックガーデンは、これからご家族に仕上げていただきます。

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このアプローチは、庭と道に一体感を持たせるために、通路としての形よりも庭の形の方を優先した前庭です。
中央の丸いテラスは門から続くレンガのアプローチと玄関へ向う階段の中間点となりますが、円形の花壇と形を呼応させて、道を花壇の形の延長のようにしてみました。

この円形テラスには、門からの道や階段、石積花壇の道、裏庭に続く洗い出しの道、ロックガーデンの脇の砂利道と、5つの道が分岐していますが、そんなことも、このテラスの形と広さに関係しています。

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ここは音楽階段なので、このテラスにもこんなものが♪

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階段右側の石積花壇を別角度から。
曲線の花壇と石張リの道を組み合わせ、棚田式に広げていきましたが、分岐が複雑なので、何段あるかわかりません(笑)。
階段の高さに合わせ、曲線で降ろしてきたらこうなったのですが、秋田県では棚田はあまり見かけませんので、棚田というよりは、山の斜面を切り開いたら岩が露頭していて、花を植えるために岩と岩の間に小石を積んで土留めをした、というようなイメージです。
石積が曲がったり分岐したりする所には大きめの石を配していますが、この石が露頭岩を表わしています。

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ご家族が置かれた人形。
こんなふうに楽しんでいただけると、作り手して、とても嬉しいです。

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裏庭へと続く道。
洗い出しの中には、既存のレンガや漬物石、小石などを入れてみました。
土の所にはこれからご家族が花を植えられますが、花植えや草取りのために、所々に道を付けています。

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最後の仕事は、既存の板を利用してつくった目隠しの板塀。
板は、塀のブロックに合わせて横使いにしましたが、ここは家からも道路からも見えるので大和張りにしてみました。
板塀作りは福岡造園初。
塀に合わせるのは大変でしたが、なんとか納まったようです。
板塀担当のヤングボーイ、お疲れさま^^。

というわけで、一ヵ月半に渡る庭づくりの終了です。
コバ積み花壇、草花の庭、板塀と初めてのことだらけでしたが、今年は春から庭づくりの楽しさを味わえたので幸せです。
ということで、ご家族に楽しさのバトンタッチをいたします^^。



追記

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雨休みに、庭仲間が庭を見にきてくれました。
腹の底から庭が好きな仲間との話が一番の刺激であり楽しみですね。








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FUKU
Author: FUKU
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五感で楽しめる暮らしの庭、創った庭から民謡や童謡が聞こえてきそうな、土地の風土と共にある庭を目指しています。

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Comment(6)

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紅の葉

鈴ちゃんさんへ

こんばんは。
格子戸は和の庭の雰囲気を盛り上げてくれますね。
街を歩いている時にそんなお宅があると、ついつい覗いてみたくなります^^。
こちらのお宅はどちらかというと洋の雰囲気の庭ですが、ちょっと覗いてみたくなるような楽しさも意識してつくりました。
前庭はアプローチが主となる庭ですが、アプローチが通路になるか園路になるかで庭の雰囲気は大きく変わるようです。
通路は目的地に行くための実用の道ですが、園路は立ち止まったり眺めたりしながらゆっくりと歩く道、どちらに楽しさがあるかといえば後者です。
年齢に関わらず、歩くことが楽しくなるような、すぐ近くが玄関なのになかなかたどり着けないような庭の道をつくっていきたいです^^。

2010/05/20 (Thu) 20:04

鈴ちゃん

ご無沙汰しております。
古いお家で、格子戸を開けて、玄関まで至る間に、丸い石などが配置されていると、何となくワクワク、楽しい気持ちになります。
このお庭も、お家のドアを開けるまでが本当に楽しいですね。いろんな遊びもあり、本当に楽しいですね。

2010/05/18 (Tue) 22:36

紅の葉

しんぼうさんへ

八分の創りで八分音符、しんぼうさん、さすがです(笑)。
何事もほどほどにということで腹八分目程度がちょうどいいのでしょうが、食欲旺盛な私はつい満腹感を味わいたくなります。
いつも、そんな満足感を抑えるのに大変ですが、作り手だけがお腹いっぱいになってしまっては申し訳ないので、茶碗一杯ぐらいの楽しさで我慢であります(笑)。

2010/05/15 (Sat) 12:13

しんぼう

私の場合ついつい作り過ぎて焦点の定まらない庭になることが多いのですが、紅さんの庭はいつもながらテーマに沿って優しく流れるメロディーのごとく心地良い空間ですね。

これからお客様が育てていく部分もありますから八分の創りでしょうか。なるほど、タタキの八分音符とつながりました

2010/05/14 (Fri) 12:52

紅の葉

バルフィッシュさんへ

こんにちは。お褒めいただき恐縮です^^。
近ければ実際に見ていただいて、いろいろアドバイスなどいただきたいところです。

作庭仕事、良かったですね。しかも暇な時でいいなんて、こちらを気遣ってくださる、いいお施主さまですね。

この庭は、昨秋に下見させていただいたものの、なかなかイメージが湧かなくて、原案が出来るまで3ヶ月かかりました。
いくら頭をひねっても湧かないものは湧かなくて、自然にイメージが出てくるまで待っていたら3ヶ月です(笑)。
そして、出来上がった庭も、原案とはかなり違っていますので、いつもながら、自分のいいかげんさには呆れるばかりです。
なので、あまり参考にしないほうがいいかもしれません(笑)。

「制約が庭の形を生む」とはよくいわれますが、クリアしなければならない問題の前にいつも頭を悩ませます。
良いデザインが浮かんでも自分にその技術が無かったりする時もありますが、制約は庭づくりのヒントで、今が技術を覚えられる自分が成長できるチャンス、と思えば道が開けてくるようです。
でも、次の庭づくりの時には、また別の制約の前で苦しむ自分がいます(笑)。
「植木屋は、人と木の間で悩み苦しむのが仕事」が持論ですが、庭づくりって、そんなものなのかもしれませんね。

バルフィッシュさんの庭づくり、楽しみですね。完成の暁には、是非拝見させてください。

2010/05/14 (Fri) 07:00

バルフィッシュ

すてきな庭ですね

紅の葉さんご無沙汰しております。

いつもながら紅の葉さんの造られる庭には感心させられてばかりしております。

昨日久しぶりというか、何年かぶりに作り仕事を依頼されたのですが、状況は違えど、何となくイメージが、似ております。

暇な時にと頼まれましたが、なかなか良いデザインが思い浮かばないのですが、参考にさせていただきます。

2010/05/14 (Fri) 00:17