杜の木漏れ日

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庭空間の創造展 in青山

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東京は青山の善光寺で開催中の、越智将人さんの個展を見に行ってきました。

越智さんは愛媛県の庭師さんですが、日々の作庭の傍らに石造品や版築塀などを自作し、各地で庭空間の個展を開かれています。
越智さんの個展は、3年前の京都の時もご案内をいただいて見に出かけていますが、今回は開会が私の作庭展と重なってしまったことから、満を持しての上京となりました。
(京都個展の様子はこちら→ http://www.shirakami.or.jp/~niwaya/niwa-kai-07-1002.htm

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この雰囲気。
独立したものとして作製された石造品や石積みたちが、木や下草、水と相まって、絶妙のバランスでそこにあります。
「庭空間の創造」と言われるだけあって、個々の造形物をただ納めているのではなく空間を創り出している、そんな庭です。

既存の桜の木も効いています。
この木があることでやわらかな木漏れ日ができ、光の加減が生まれていました。
ここは善光寺だけに、この庭にはとても善い光が差し込んでいますが、そんな光を呼び込むような越智さんの庭です。

そこにあるものを取り込み、活かしながらの空間構成は本当に素晴らしい。
ここは表参道の駅のすぐ近くですが、こんな都心の中でもゆったりとした時の流れを感じさせてくれる庭空間でした。
 
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そしてこれが、今回のテーマである『石舞台』。
畳10枚分ぐらいはあるのではないかという石のテラスですが、なんとこの石、元は一枚の石なのだそうです。
私が訪れたのは夕暮れ時でしたので、石の隙間から漏れてくる灯りが、辺り一面に幻想的な雰囲気を漂わせていました。

舞台と言えば、以前に越智さんと話した時のことを思い出します。
「私はガーデンショーなどの人が作った舞台に乗るのではなく、自分の舞台は自分で創る。」
制作に5か月掛け、四国からトラックでこの石たちを運び、東京に場所を探して庭を創る。
それも、創ったものを売るためにやるのではないのです。
こんなこと、他に誰ができるでしょう。

東京や京都の庭師ではなく、地方の庭師がこれをやる。
事を創り出す勇気とやり遂げる根気、庭に対する熱い思い、まさに、庭師の気概を感じる男の中の男、越智さんはそんな方です。

「いつまでも建築の下請けではなく、庭師が住空間の全てをプロデュースできたら素晴らしい。」
越智さんはこんことも言われていました。
全国には、こんなにも凄い庭師がいる。
秋田の田舎植木屋にもなにかできることはあるんじゃないか。
地元では、相も変わらず建築業界からは下請けとみられ、植木屋がモノづくりと呼ばれることはない。
なにをやっても造園業者と呼ばれて終わり。
これでいいのか。
変えるためには何をすればいい。
変わるためにはどうすればいい。
越智さんは地方でも頑張っているじゃないか。

そんなことを思って始めたのが今の作庭展なので、越智さんには本当に感謝。この石舞台に立ち、もっと頑張ろう!という気持ちが湧きあがってきました。

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反対側から見たところです。
何気に散策していたら、この白い石積み越しの景色にひかれて思わず写真を撮りました。
本当に、どこから見ても見られるようになっています。
ご本人にお聞きすると、この庭には背景が無いので、表裏一体となるよう気を遣われたそうです。

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石舞台の周辺にも庭が散在します。
これは、京都の時にも出展されていたものですが、石のかみ合わせ方がインカの石積みを思わせるようで好きです。

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この木漏れ日模様。
これも既存の桜のおかげですが、石に差し込む光を計算してのこの場所です。

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このうねり。
この稜線のライン。
地こぶのような苔の盛り上がり。

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イメージが生まれて石が選ばれる時間、石が刻まれて積まれる時間、この石がまだ岩で地球の一部だった時の時間など、静かな境内にたたずむこの石積みを見ていると、そんな「時」を感じます。

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石積みの裏側です。
この苔の斜面の小石の扱いに惚れぼれします。

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そして、版築土塀。
土ってこんなに美しいのかと思わされます。


作品はまだまだありますが、百聞は一見にしかず、残りはぜひ、実物をご覧ください(会期は今日までですが・・・)。


今回は、11,12日と二日に渡って個展を拝見、越智さんはじめ、庭誌の豊蔵さんとも再会でき、とても充実した旅になりました。
豊蔵さんは、5年前、「作庭者の十字路」という企画で私を取り上げてくれた恩人です。
あれが無かったら今の私は無く、旧態依然の庭を作り続けていたのではないかと思います。
作る庭から創る庭へと、意識を変えるきっかけをつくっていただいたお二人には本当に感謝です。

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夜は学生時代に通った東京農大近くのお店に集合、農大柔道部同期との再開。
宴会の前には、先輩のお使いに走った商店街をしばし散策、思い出に浸りました。
苦楽を共にした仲間と酌み交わす酒はことのほか美味かったです。

越智さん、豊蔵さん、農大の仲間たち、この人たちがいたから今の自分がいる。
そんな、人のありがたみや繋がりの大切さを、あらためて感じた旅でした。













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Comments 4

紅の葉  

鈴ちゃんへ

本当に、芸術的な庭でした。
庭の完成度もさることながら、こんなことをやるということが素晴らしいです。

かのイチローが言った言葉に、「この仕事が好きかどうかが一番大事。」というのがありました。好きなら上手になりたい、強くなりたいと思うのは当たり前で、それが向上心の元になる。
この庭師さんの庭からは、庭が好きで好きでたまらない、という気持ちがビンビンと伝わってきました。

2010/10/16 (Sat) 20:17 | EDIT | REPLY |   

鈴ちゃん  

芸術

お庭作りもここまでいくと『芸術』になりますね。

2010/10/15 (Fri) 22:44 | EDIT | REPLY |   

紅の葉  

しんぼうさんへ

遅ればせながら、越智ワールドを体感してきました。
あまり体感しすぎて自分の小ささを大感、という感じであります(爆)。

越智さんの素晴らしさは、ドンドン出ていくことですね。チャンスを待つのではなくチャンスを自分から創っていく。そして、チャンスの機会を我々若手にも創ってくれる優しさがあります。作品の数々を見て、応援部隊の皆さんの素晴らしさも実感しました。この人のためなら、そう思わせてくれるところも男の中の男、男が惚れる男なのかもしれませんね。

自分の舞台を創るのは夢ですが、「稽古不足を幕は待ーたない♪」、
自分の舞台で芝居を演じるにはまだまだ稽古不足の私です。これから夕食、とりあえず、ちゃブタイの上で稽古初めであります(笑)。

2010/10/13 (Wed) 19:07 | EDIT | REPLY |   

しんぼう  

越智さん、本当にすごい方ですね

秋田で自分の舞台を創る紅さんも男の中の男です

次回の紅さんの舞台ではぜひ応援ブタイに参加したいです

2010/10/13 (Wed) 15:46 | EDIT | REPLY |   

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