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街の緑2(緑の提案と啓蒙:地元紙・専門誌掲載記事)

イチョウのお話

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青空に映える黄金のイチョウと実(能代市官庁街)


黄葉(紅葉)が美しい季節になってきましたね。
イチョウの黄葉があんまりきれいなので、地元紙にちょこっと書いてみました。

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今朝の北羽新報の7面、文化欄です。

原文はこちらです。
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「イチョウのお話」

木々の彩りが美しいこの季節は、ちょっと車から降りて、街なかの公園や街路樹を散策してみたくなりますね。
今年ものしろ産業フェアに出かけ「街なか景観写真展」を覗いてみたのですが、今回一番人気だったのは「日傘のいらない木陰歩道」と名付けられた写真でした。この一枚は市立体育館脇の公園の桜と市道のイチョウの街路樹に挟まれた緑濃い歩道を写したものでしたが、この写真が断トツで選ばれていたことなどからも、市民の皆さんが夏場の木陰のありがたみを感じ、緑の街並みを美しい景観として意識されていることがわかります。

このような写真を見ると、こんな景色を探しに街なかに出かけてみたくなりますね。
早速、会場(市総合体育館)を飛び出して周囲を見回すと、目に飛び込んできたのが市民プール前のイチョウの黄葉です。ここのイチョウ並木はあまり人の手が入っていないせいか、イチョウがイチョウらしい自然な姿をしています。ちょうど、街路樹となっている市内のイチョウと同じぐらいの大きさですから、イチョウはむやみに人の手を加えなくても、自然形のままで街なかに存在できるということをこの木の姿が示してくれています。ここは能代の街路樹のお手本となるような理想的な景観なのです。

イチョウの黄葉や落ち葉を見ているとなぜだか神々しい気持ちになってくるのですが、それは、この木が古くからご神木として崇められてきたことなどもあるのかもしれません。二ツ井の銀杏山神社には樹齢1300年と言われる大イチョウがありますが、この木の下に立つと、子供の頃に歴史の教科書で見た、荒波を越えて大陸に渡ったお坊さんの姿が目に浮かんできます。イチョウは中国原産の木ですが、その昔、遣隋使として海を渡った留学僧が持ち帰って広めたといわれていることから、イチョウを見るとそんな絵が頭に浮かんでくるのです。この銀杏山神社の川向には市日通りがあり、この街路にもイチョウが植えられていますが、私はこの並木が銀杏山神社に続く参道に思えて、この木の剪定作業を行った時などは大変に緊張したものです。ご神木だけに、バチバチ切ったらバチが当たりますから。

イチョウはまたの名を「公孫樹」とも言いますが、これは、イチョウは実付きが遅く、お祖父さんの代に植えた木に実がなるのは孫の代になってからということが由来となっているようです。能代の街路樹にはイチョウの木が多いのですが、これはイチョウに延焼を防ぐ防火樹としての効果があり、能代が何度も大火に見舞われたことから、能代にはこの木が多いと聞いています。第一次大火は昭和24年だそうですから、能代のイチョウは終戦と大火の復興を目指す能代市民の希望のシンボルとして植えられたわけです。ちょうど昨年が大火から60年目とのことでしたので、この時植えられた木は今、還暦を迎えたということになります。もしかしたら、60年前、当時二十歳だったお祖父さんたちが植えたかもしれないイチョウに付いた実を、孫の私たちが今見ているということになるのかもしれません。戦後の能代を守ってきてくれたこの能代のイチョウたち、大切にしていきたいですね。

もうすぐ落ち葉の季節、今年も官庁街の落ち葉掃除が行われます。早朝の静けさの中、舞い降りたばかりの黄金の落ち葉を見ると心が洗われるようです。こんな幸せを残してくれた先人への感謝と、大役を果たして落ちた葉と木々たちに労いの気持ちを込め、今年もホウキを動かしたいと思います。11月7日の朝7時、皆さんも街なかに現れた黄金のじゅうたんを眺めに、官庁街まで足を運んでみてはいかがでしょうか。                                   二ツ井町  福岡 徹
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