杜の木漏れ日

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私の初夢ー街路樹「日本一」の街を創る― 上  (地元紙掲載記事)

今朝の北羽新報文化欄に拙文が掲載されました。

タイトルは「私の初夢」。
掲載は上・下に分けて2回です。

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(クリックで拡大できます)

原文はこちらです。

私の初夢 ―街路樹「日本一」の街を創る― 上

先日、本紙に掲載された能代市長さんのインタビューを拝見、「日本一」という言葉が印象に残りました。バスケットや木材など能代の誇る日本一はたくさんありますが、隠れた日本一や、もう少しで日本一になれるというものもあると思います。そんな中で、私が常々日本一にしたいと思っているものに能代の街路樹があります。
能代を訪れる方々は市内の街路樹の多さに驚かれるそうですが、中にはヨーロッパの街並みのようだと評される方もおります。能代の緑化に尽力された故西村市長さんは東欧の緑の街並に感動されたそうですから、そのような印象を受ける方もいるのかもしれません。

街路樹の文化は明治期に西洋から入ってきたものですが、日本で一番初めに街路樹が植えられたのは横浜で、馬車道通りには「近代街路樹発祥之地」という記念碑が立っています。最も古い街路樹という点ではここが日本一です。市内には日本大通や山下公園通などの名所もありますが、双方ともイチョウが植えられていて、これは能代と同じく大火に見舞われたことによる防火対策です。

一昨年、旧料亭金勇で環境講演会が行われた際、講師のジュネス・パークさんは能代の街の木が一様に短く切り詰められていることに驚かれていましたが、これは、ジュネスさん自身が母国南アフリカで街路樹の植樹活動を行っていることや、国連の仕事に携わる中で世界中を歩き、木を大きく育てる海外の街路樹事情に精通されているからだと思われます。横浜に大きな木が多いのは、歴史の古さばかりではなく西洋から伝わった街路樹文化の本質を正統に引き継いでいるということがあると思います。その姿には、なぜ日本が街路樹を取り入れたのかという原点を見る思いです。そんな意味でも、海外を視察し、緑陰の街並みを能代に創ろうとされた元西村市長さんの先見の明には驚きます。

この横浜に端を発した日本の街路樹の歴史はせいぜい150年程度ですが、それを考えると、国道101号のけやき公園周辺の巨木の街路樹はどうでしょう。この樹齢300年の木たちは能代が誇るというよりも日本が誇る街路樹ということになります。この並木はお寺の木を残したものですが、国道を曲げてまで木を街路樹として残した市民の思いと合わせても、「日本一」の街路樹なのではないかと思います。街路樹は自然ではなく文化ですから、この街路樹は世界文化遺産に申請したいほどの貴重な景観です。


市が強剪定の見直しを表明してから2年になりますが、全国にはまだブツ切りの害に気付かない所もあれば、気づいてもなす術を知らない所もあります。能代では議会や新聞報道などの世論が高まって改善へと向かいましたが、全国にはトップ自らがそれに気づき、方針を変えた所もあります。このような自治体は担当課も積極的に動きますから、どんどん快方へと向かいます。
昨年、こんなことがありました。ある首都圏の街路樹担当課の方から「強剪定されてきた市の街路樹を木陰のできる本来の姿に変えたい。樹形の再生法を教えてほしい。」という相談を受けたのです。大都市の行政担当者が田舎の一植木屋にまで話を聞くことにとても驚きましたが、やる気のある行政とはここまでするのだなと感心、これまでの私の経験やネットワークなどを提供させていただきました。これまでの研究がこんなふうに活きていくのはとても嬉しいことですが、同時にこのことは、それだけ能代の街路樹再生の取組が全国規模で知られるようになったということでもあります。
再生を目指す自治体にとっては具体的な情報こそ宝。今後、市がネットなどを通して取組の内容を積極的に公開していけば、能代を励みに改善へと立ち上がる自治体も増え、能代の再生法を参考とする所なども出てくることでしょう。能代が再生に向かうことは、秋田や日本の緑の再生にも繋がっていくのです。

昨年、私たちは全国の街路樹事情を紹介する「日本の街路樹を考えるー小さな街路樹サミットin能代ー」という展示を行いましたが、これは一昨年に角館で開催された全国桜サミットを視察した際、街路樹でもこのような場を作れたらとの思いで企画したものです。桜の名所角館は日本一の弘前から学んだとのこと、私が日頃ご指導いただいている東京都江戸川区役所の街路樹係さんもまた、街路樹発祥の地横浜市から学んだのだそうです。
先に上げた首都圏の自治体のように具体的な情報を欲している所はたくさんあるでしょうから、先進地と発展途上の自治体を結び付ける役をこの能代が担い、日本の街路樹を良くするためのステージを創るというのはどうでしょう。日本初の「全国街路樹サミット」の開催です。そうなったら、それこそ能代は名実ともに日本一の街路樹の街になります。能代の街路樹再生に全国の注目が集まっている今、向かうに価値ある大きな夢ではないかと思います。(上の部 終わり)

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※横浜市と江戸川区の街路樹の取り組みは柳さおりさんのHPのコンテンツ「Land-net日本各地の街路樹から」でご覧になれます。→ http://www.jinen.biz/landscape/land04.html

※桜サミットのことは以前のブログでも紹介しています。→ http://konohanoniwa.blog61.fc2.com/blog-entry-147.html
※地元紙に掲載されたレポートはコチラ。→  http://konohanoniwa.blog61.fc2.com/blog-entry-148.html

※小さな街路樹サミットはコチラ →  http://konohanoniwa.blog61.fc2.com/blog-entry-202.html
※ 内容はコチラ → http://konohanoniwa.blog61.fc2.com/blog-date-201002.html

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