杜の木漏れ日

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プラタナス巡礼 -学問の木を訪ねて 下

本日付、北羽新報に掲載されたプラタナス巡礼記の下です。

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原文を以下にご紹介いたします。


プラタナス巡礼 ―学問の木を訪ねて ―  下

プラタナス巡礼の終点は文化会館です。ここには3本のプラタナスがあります。ここは、車の通行や電線等の支障の無い公園ですが、数年前に強剪定を受けました。先日、造園修行中の若手の皆さんにより剪定が行われたそうですが、数年の休養期間を経て少しずつ手を入れられていった、現在再生中のプラタナスです。

IMGP1560.jpg → 強剪定後、数年の療養期間を置き、再生してきた図書館前のプラタナス  → IMGP0973.jpg     
     (5年前の5月)          (3年前の夏)           (2011年4月現在)

市立図書館の館報名は「プラタナス」と言いますが、以前、その由来を職員の方に聞いたところ、ここは移転前の能代高校跡地であり、このプラタナスは校庭に植えられていた木が残されたものとのことで、学びの精神を引き継ぐ意味もあって名付けられたようです。私は旧校舎の頃のプラタナスがどんな状態だったのかを知りませんが、きっと、能高生の大志の象徴として、大空に向かい、広々と枝を伸ばしていたことだろうと、ここに来る度に、往時のそんな姿を想像しています。

この木には思い出があります。能代に強剪定が横行していた時代、行政や報道機関に街路樹の惨状を訴えて回る中で、ようやく記者さんと市内の街路樹を見て回ることになった時、待ち合わせの場所となったのがこの木の下でした。能代の文化を伝えるこの地で、文化を報道する記者さんと、この学問の木の下で、街の緑を文化にしたいと訴えたのです。

その時以来ずっとこの木の成長を見守ってきましたが、丸坊主だった木に枝が付きはじめ、3年後には花や実が付くまでに回復、徐々に枝張りも広くなって、昨夏の暑い盛りには市民に木陰を提供できるほどになりました。本当に、よくここまで再生してきたものだと、この木たちの頑張りに心から拍手を送りたい気持ちです。

また、街路樹改善に対して理解者のいなかったあの頃を思うと、緑に携わる若者たちの中に木を思う志が芽生えてきていることを、本当に嬉しく思っています。能代高校から図書館へとプラタナスを通して学びの心が引き継がれたように、若い人たちも大いに学んで、緑を守る使命を次代に繋げていってほしいと願います。


巡礼記の最後に、この木の別名をもう一つ紹介したいと思います。大館市の市立病院には大きなプラタナスがあり、木の下の看板には「ヒポクラテスの木」と書かれています。
プラタナスは病院や大学の医学部などにもよく植えられているそうですが、これは、医療の祖といわれる古代ギリシャの医師ヒポクラテスが、プラタナスの木陰で弟子達に「患者のことを第一に考えよ」と教えたことから、医学の木とされているのだそうです。
プラタナスの木の下で哲学を説いたプラトンと同じく、ヒポクラテスもまた、この木の下で弟子たちに教えたのですね。
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大館市のヒポクラテスの木      由来

私はこのヒポクラテスの木の下に立った時、もしヒポクラテスが木の医者だったとしたら、木の都合を考えず、ただブツブツと切られてしまう日本中のプラタナスを見て何と言うだろうかと考えました。「木のことを第一に考えよ」とまでは言わないまでも、きっと、「木にも痛みのあることを知り、木の生理をもっと学びなさい。」と教えられるのではないかと思います。
そして、「物言わぬ街の木にも慈しみの心を持ち、畏敬と愛情を持って接しなさい。人の立場になり木の立場になり考えなさい。」と教えてくれるのではないでしょうか。
もしプラトンもいたとしたら、「緑の哲学を持ちなさい。なぜ街にその木を植えたのか、その『元』を考えなさい。」と教えてくれるかもしれません。

能代には、学校などの他にも、畠町や日吉町など、県道市道にたくさんのプラタナスが植えられています。能代の街路樹で一番多いのはイチョウで、これは大火の防災対策として植えられたものですが、プラタナスは、能代を文化と教養の香る街にするために、先人が選んで植えたものなのではないかと思っています。
プラタナスは、街路樹の文化とともにヨーロッパから移入された、緑の文化と学びの精神を伝える使者です。能代が緑の文化を大切にする象徴として、子供たちが伸び伸びと学べる故郷の印として、このプラタナスを大切にしていきたいと、この巡礼の旅を終えて思いました。

桜の花が終わり、木々の葉が開きかける頃、プラタナスも可憐な赤い花を咲かせてくれます。桜は「希望」の象徴ですが、プラタナスの花は「学びの精神」の象徴です。どんな時でも、どんな所でも学ぶ気持ちを忘れずにいたいものです。被災地の子供たちにも、明るく学べる環境が一日も早く戻りますように。

二ツ井町 緑の景観を考える会 福岡 徹

Comments 2

紅の葉  

大きなプラタナスはこの公園に合いますね。
子育ては親があまり構い過ぎてはいけないように、木を育てる時も、人の手は最小限にしてあげたいなと思っています。
プライベートが優先される個人の庭は別ですが、パブリックな公共スペースは開放的で潤いのある空間が望ましいですね。
能代に、そんな緑の空間が育って行ってくれたら嬉しいです。
グアムにはどんな木があるんでしょう。
旅行記、楽しみにしています^^。

2011/04/29 (Fri) 18:18 | EDIT | REPLY |   

鈴ちゃん  

プラタナス

図書館前のプラタナス、いつも、図書館に良くマッチしているなぁ、と眺めていましたが、5年前は、ぶつ切りだったのですか!?(涙)今は、立派に図書館の門になり良かったです。今年の夏はまたよりいっそう、緑豊かになり、来館者の気持ちを和ますことでしょうね。

先日、グァムに行った時は道路の両側に見上げんばかりの椰子の木や、南国の木々が、おおらかに葉を伸ばし、在りました。自然の姿で存在する木々のせいで、私たちも開放的な心地よさを感じるのかもしれませんね。

2011/04/29 (Fri) 10:59 | EDIT | REPLY |   

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