庭誌199号
長いようで短かったこの2カ月、いろんなことがあったけれど、まずはこうしてこの本を手に取り読めることを喜びたい。
今号の見どころは(私にとってです)何と言っても、「作庭家 金綱重治 復古創新」。
金綱さんは、20代の頃、庭誌の「茶庭二人集」で目にして以来の憧れの人だった。
作庭論を読み、「若いうちから儲けることを考えてたらいかん。」と自分の求める庭づくりを徹底されていた姿勢に、自身の師匠から「お前を信用してくれる施主と出会えたら、手間も要らないと思って頑張れ。」と教えられたことを重ね合わせ、本物の庭師とはやはりそうなのだと共感したことを思い出す。
自分が使う素材は、とことん自分の目と足で探し出すという姿勢にも感動した。
そして何よりも、多くの植木屋が茶庭をつくるためにお茶を習うのとは違い、お茶が好きで、お茶の世界から庭に入って来られた方であるということに感動を覚えた。
庭の写真(技術)ばかりを見ていた若い頃、庭と向き合う純粋な精神に心打たれたのは初めてだった。
6年前、お弟子さんを通して、実際にお会いするご縁をいただいた。
ご自身のことを謙虚に「植木屋」と呼び、二回り近く若い私にも丁寧な言葉で話しかけてくださる姿勢には、本当に感激した。
今でも忘れないのが、「木は切られることを望んでいません。」という言葉。
美しい樹形に仕上げることばかりを考えていた私の目を覚まさせてくれた言葉だ。
木を切ることをなりわいとする植木屋の罪深さを知り、物言わぬ1本の木と真剣に向き合うことの大切さを学んだ。
木が命ある生き物であるという当たり前のことを肝に銘じたのもこの時だ。
誌面をめくって驚いたのが、今号に掲載されている庭が、あの時直接ご案内いただいた所だったこと。
作庭私論にも、多くの深い言葉が込められている。
大きな感謝を込めて今、今号を読ませていただきたいと思う。
そしてもう一点。
「作庭に役立つ本」というコーナーに、葉画家である群馬直美さんの「街路樹葉っぱの詩」が紹介された。
書評の最後には、「この本が街路樹の応援歌となりますように。」とある。
これを機会に、皆さんにもぜひ読んでいただきたいと思う。
作庭技塾、ニューウエーブ、緑の窓掲示板等、今号も見所満載の庭誌です。
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