杜の木漏れ日

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街路樹観察日記 ―緑の防災効果と樹木の生理を考えるー

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本日付の北羽新報文化欄に拙文が掲載されました。
タイトルは「街路樹観察日記 ―緑の防災効果と樹木の生理を考えるー」です。
掲載は上・中・下の三部となります。

以下に原文をご紹介いたします。
(写真は新聞記事に添付しているものと同じ写真です)

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街路樹観察日記 ―緑の防災効果と樹木の生理を考えるー   上

梅雨も明けて夏本番、街なかの緑も深まってきました。
節電が求められる今年の夏は、緑の木陰が一番のクーラーになります。
街なかの木陰といえば街路樹や公園の木ですが、さわやかな木陰を作る樹木のほとんどは、人の手があまり入っていない木や、人手が入っていることを感じさせない、健康的な自然形の木です。

自然形の樹木は木陰もさわやかで美しい(文化会館のケヤキ)
          自然形の樹木は木陰もさわやかで美しい

能代の街路樹の多くは大火による防火対策として植えられたものですが、この防災効果もまた、木が健康な状態にあってこそ発揮できるものです。
あの阪神大震災の時も、街なかのイチョウの木が延焼を食い止めたり、歩道への建物の倒壊を防いだりと、多くの人命を救ったことは記憶に新しいところですが、能代の街の木もまた、そのような大役を持って植えられたものです。
東日本大震災でも、押し寄せる津波の中、公園の木の上に登って助かった方もおられたと聞きます。
これも、その公園の木が津波に負けない丈夫な木だったからではないかと思います。

能代の街の木は、これまでの強剪定の影響から内部が空洞化している木も多く、このまま木が衰弱していけば、倒木の危険が出てくるものもあるでしょう。
防災のために植えた木を人為の剪定で弱らせ、防災効果を果たせないままに二次災害を引き起こすのでは本末転倒です。


剪定位置が深すぎるため樹皮が再生できず、腐朽が進んで空洞化を起こしたプラタナス(市道)
剪定位置が深すぎるため樹皮が再生できず、腐朽が進んで空洞化を起こしたプラタナス


能代ではまだ、木の生理にそぐわない時期外れの剪定が行われる時もあり、時期に即した剪定でも切り残しや切り過ぎなど、木を腐朽から守り樹皮の早期再生を促すような剪定法への理解は浅いように感じています。
市民の安全のためにも、管理者である市や県は、木に負荷を掛けない適正な管理法を早急に学んでいただきたいと思います。

今年は6月だというのに全国各地で真夏並みの猛暑となっていますが、暑さも自然災害だとすれば木陰を作ることもまた防災対策ということになります。
街路樹や公園樹の木陰は、暑さを和らげ涼を提供するための避難場所になりますが、強剪定を受け続けた能代の木々たちは、市民の避暑地になりうるほどには回復しておらず、市内には緑陰の豊富な場所が少ないというのが現状です。

昨秋、電線支障による大掛かりな強剪定が行われたことを受け、市県や関係諸団体が集まり、市内の街路樹管理のあり方について連携会議が持たれたそうですが、電線と共生するためには木にかなりの負担を強いることになりますから、そんな中で、いかに木を健康状態に保ち、役割を果たせられるか、そんなことも併せて検討していただきたいと思います。

また、能代の街の木には、木に巻かれた看板や張り紙、針金、釘、ビニールテープ、不要となった支柱など、木の健全な生育を妨げ、景観を損なう物などもかなり目に付きます。
街路樹には剪定以外にも様々な問題があることを頭に入れて、樹木と共生できる美しい街並みづくりを行っていただきたいと願います。

先日参加した風の松原の学習会では、現地を歩きながら植生学の教授の解説を聴くことができ、とてもわかりやすく勉強になりました。
能代の強剪定は、緑の街づくりのビジョンや、木に関する知識や関心が欠けていたことから起ったことです。
出来ればこの連携会議にも、緑化管理や景観、樹木医学などの専門家を招き、講演や学習会などを一般公開してもらえれば、市民の緑の啓発にも繋がるのではないかと期待しています。

この連携会議の開催については2月の本紙記事でも触れていますが、記事には「市が景観や樹木の生理に配慮した街路樹管理を進めている」というくだりがあり、興味深く拝見しました。
木に防災効果を果たさせるための適正な管理を行っていくためには、この「木の生理」を知ることが不可欠です。
人為的な剪定が木にどのような影響をおよぼすのか、木に影響を与えない管理を行うにはどうしたらいいのか、梅雨空の街を歩きながら、能代の木を観察してみました。


風による枝折れと枝下がりを起こしたイチョウ
                風による枝折れと枝下がりを起こしたイチョウ

街なかを歩くと、木の葉がチリチリになっていたり、折れた枝が赤く垂れ下がっていたりと、今年は街路樹に異変が多いことがわかります。
これは、芽出しの頃に吹いた強風の影響だと思われますが、通常、健康状態にある自然形樹木の枝は強く、少々の風で折れることはありません。
風で折れるということは、芽や枝が軟らかく枝の強度が不足しているということで、これらの原因は剪定により引き起こされることもあります。
能代の街路樹は度重なる強剪定により樹勢が弱まっていますが、回復途中の木に電線支障の枝切りが行われるなど、そんなことがダメージとして蓄積し、残された枝には風に耐えうるだけの力がなかったのではないかと思います。

二ツ井町 緑の景観を考える会 福岡 徹

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