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庭づくり

庭のもと

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  砂利の織り成す縞模様(十和田湖)

庭づくりは何もない所に形や雰囲気をつくり出していく仕事ですが、どんな庭にも、その形の元になるイメージというものがあります。
そして、そのイメージにもまた、その元になる原型のようなものがあります。
知人の庭や各地の名庭、あるいは本などの写真で見た庭の雰囲気が元になっていることもあるでしょうし、子供の頃に遊んだ懐かしい景色や旅先で見た美しい光景などが元になっていることもあるでしょう。

故郷の田んぼのあぜに咲く野の花、小川のせせらぎ、裏山の林の中の木漏れ日、沢の苔むした石やシダ、波打ち寄せる夕日の海岸、子供の頃に過ごした家の大きな木など、心に残る光景は人によって様々ですが、そんなお客さまの心にある「元」をお聞きし、少しでも、その雰囲気に近づけるようにと、我々作り手は努力します。

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           沼の護岸

ありがたいことに、「全てお任せします。」というような場合もあるのですが、そんな時は、ご家族の暮らしぶりや現場の地形、建物との関係、周りの景色などとの調和を考えながら、作り手の心の中にあるさまざまな「元」の中からそこに合うものを選択し、組み合わせ、形にしていくということになります。
そんな時のためにも、我々作り手は、普段からアンテナを働かせて、なにげない身近な所に潜む隠れた美を探し、自分の心の中の引き出しに入れておきます。

仕事のためにそんな美を探しているというわけでもなくて、何気ない日々の暮らしの中でも、感動や喜びを感じるような美は至る所にあって、そんなものが蓄積されて、それがいつか庭の中で形になると言った方がいいでしょうか。

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       古民家 (八峰町 手這坂集落)

感動の対象は自然の風景だけではなくて、心に響く音楽だったり、あるいは詩や俳句、映画や小説だったりする時もあるかもしれません。
「春の小川はさらさら行くよ~♪」
「垣根の垣根の曲がり角~♪」

なんて、日本的な情緒が感じられていいですね。
秋田には、こんな歌もあります。
「春になれば、しがこも溶けて~♪」 (「どじょっこ、ふなっこ www.hi-ho.ne.jp/momose/mu_title/dojyokko_funakko.htm」)

庭は暮らしとともにあるものですから、土地の童歌や民謡、民話など、その地に根ざした文化から得られるものもたくさんありますね。
実体験の伴う懐かしさは人の心の中で美しさに変わり、そんな情景が庭の中に活かされるということもあるのではないかと思います。

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    庭の小流れで遊ぶ子供

また、歌と同じように、心に残る一枚の絵が作庭意欲をかきたてるということもあります。
以前、自分以外の人が描いた庭の絵を見て、「これを形にしてみたい!」と思ったことが一度だけありました。
普段の仕事では、設計から施工、管理までを一貫してやりますから、他の方の設計図面で庭をつくるということはまずありません。
庭づくりは現場でのインスピレーションで変わることが多いので、自分の思うイメージは自分の手によってしか形にできないと思っているからです。
それが、不思議なことに、この時だけはなぜか、この絵の庭をつくってみたいという衝動に駆られました。
でも、この時の思いも、その時そう思っただけで終わり・・・となるはずでしたが、今回、ひょんなことから、この絵の雰囲気を庭にするという機会を得ました。

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実は、この庭は、先日、夏休みの自由研究でつくった庭です。http://konohanoniwa.blog61.fc2.com/blog-entry-37.html
遊びでつくった庭ですが、この庭にはそんな物語?が隠されていました(笑)。

遊びでつくる庭でも、作り手のつくりたい欲求だけでは、なかなか形として表現することはできません。
その時の自分の技術、感性、素材、気持ち、暇(笑)、いろんな条件が重なって始めて形になるものなのですが、今回はそんな意味で、いろんなタイミングが合ったということになります。
この絵と出会ってから、もう数年立ちました。
いい思い出として心にしまっていた絵ですが、偶然見つけた素材との出会いが、あの時の思いを再燃させてくれました。
こんなことがあると、「庭って、出会いの集大成だなぁ。」なんて、あらためてそんなことを思わされますね。

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      水のある庭は楽しい

ということを、この絵を描かれた方にお知らせしたら、なんと、サイトで紹介してくださいました。
コチラです。http://www.jinen.biz/landscape/niwa/pran/wapran/wa18.htm
この絵を描かれた方は、松本市在住の庭園設計士さんで、ジネンさんです。http://jinen.biz/index2.htm
 
ジネンさんは、作庭は現場での感性が大切という信念から、キッチリした図面を書くのではなく、夢や雰囲気を伝える絵を描かれます。
図面通りの仕事は作庭者の創作意欲をそぎますから、職人が思う存分力を発揮できるように、現場での変更に余裕を持たせた絵を描かれるのでしょう。
施主に夢を与え、職人にやる気を持たせる絵。
ジネンさんの絵には、施主や職人へのそんな優しさを感じます。
距離は遠いですが、いつか一緒に仕事をさせていただきたたいと思う、そんな方です。

(参照「美しい絵と現場の感性http://jinen.biz/yomoyama/yomo.frame.htm」)。


今回つくった庭はまだ試作で、世に出ていないものですが、さらに改良を重ね、いつかこんなふうな庭を望まれる方がおられたら、形にしてみたいと思います。

ということで、今日は「庭のもと」というお話でした。
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4 Comments

There are no comments yet.
しんぼうさん

紅の葉  

2008-08-25 18:08

足モトを見つめることを忘れず、モット上を目指して頑張る。
それが私のモットーです(笑)。

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しんぼう  

2008-08-25 09:07

素晴らしい想いですね、感動しました。
私もモットモット庭のもとを探さねば…

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メグスリさん

紅の葉  

2008-08-25 06:39

「もと」という字を変換してみたら、元、基、本、素・・・。
みな大切なものばかりでした。。
ということで、ダメで元々、失敗は成功の素、今日も本気で、元気を出して行ってみよー!って感じです(笑)。

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No title

メグスリ  

2008-08-24 16:03

庭の元。いいお話ありがとうございます。
同じ作り手として紅の葉さんの域には到底
及びませんが、少しずつ刺激を形に変えていければと
思っています。

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