黒松の透かし

黒松の透かしを行いました。
この松は手を入れさせていただいて2年目の木ですが、ここは寒潮風を受ける海岸地方のこともあり、昨年は剪定の程度を加減、多少の枝抜きを行って様子を見ていたものです。
今冬は例年より風が寒かったようで、能代市内でも黒松の葉が赤く焼けている姿を多く目にしました。
夏以降に混んだ松を急に枝抜きしたりすると、薄くなった枝葉にまともに寒潮風が当たり、このようなことが起ります。
黒松は潮風に強いと言われていますが、過信は禁物です。
しばらく手を入れていない松などに透かしを行う場合は、枝葉の濃淡や時期、剪定の加減に気を付けたいところです。

剪定前、木の内部から枝を見たところです。
透かしの基本は枯枝外しですが、枯枝や枯葉は昨年に外しているので、今年はすぐに枝抜きに入ります。

枝抜きが終わったところです。
空が少し見えるようになってきました。
なぜ木の内側から写真を撮っているかというと、枝抜きは外からではなく木の中に潜って行っているからです。
枝葉の込んだ外側からは枝の流れが見えないので、木の中から枝を抜いていきます。

枝抜き後、今度は外から伸びた芽を抜いていきました。
全体の軟らかさを出すために、多少の絡み枝や古い葉は残しています。

外から見るとこんな感じです。
芽摘みを少なく、芽抜きで仕上げていくことで、樹冠の雰囲気が軟らかくなるようにしています。
風の強い地方でも、枝の混み過ぎは病虫害の元になりますから、適度な通風や採光を確保してあげることが、美観ばかりでは無く、木の健康に繋がります。
この時に気を付けていることは、枝の内部にある小さな芽はできるだけ残しておくということです。
枝葉が薄くなると風の影響を受けやすくなるので、もし芽が枯れた場合の保険として、幼芽を残しておくのです。

ということで、こんな感じに仕上がりました。
又幹の松なので、芽摘みだけで1日、古葉を外せば2日はかかる木です。
昨年は枯枝外しと芽抜きで1日、今年は枝抜きをしたので1日半掛かりました。
枝数の少なくなった来年は1日掛からないでしょう。
このぐらいの透かしだと雪吊りも要りません。
木の健康や美観を保ちながらも、出来るだけお客さまの経費を抑える、そんな手入れが理想ですね。
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