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秋田県能代市で作庭を行う福岡造園のブログです。 日々の仕事や活動等の最新情報を載せていきます。

のしろ産業フェア閉幕

2011年08月28日
庭の会 2
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フェア最終日、今日の庭の様子です。
上から見るとこんな感じに見えます。

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水受けの石。
水は、苔むした石積みの中から滲み出てきます。

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今日もたくさんの方々に、庭を見ていただくことができました。

庭の横に座っているのはメンバーですが、暑くて、ほっかむり無しでは居ることができません。
日焼けした私たちを見て、「それは日焼けですか、お酒焼けですか?」という質問もいただきましたが(笑)、そんな私たちに、昨日のブログを見たという方から生ビールの差し入れをいただきました。
ありがとうございます。
これで晴れて、お酒焼けになりました(笑)。

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そんな中ですが、今日はこんなお客さんも。

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あんまり暑いので、水鉢にジョウロで水を落としていると、子供たちが集まってきました。
迎えに来られたおばあさんに女の子が、「水がきれいだから見ていたの。」
嬉しい一言ですね。
「そんな感性を、いつまでも大切にしてください」と、心の中で思いました。


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今回は、会場にギャラリーも併設、様々な庭を楽しんでいただきました。
暑くて大変でしたが、天気が良くなければできない写真展でした。
空の神様に感謝です。



ということで、今回の総括。
今回の作庭では、潮風、真夏、という制約の中で、いかに樹木を使わずに庭をつくるか、ということに挑戦してみました。
木を植えられないということは木が育てないということと捉えて、樹木が育てない高山の源流の雰囲気を表現、下草も使わずに、苔だけで仕上げています。

シンプルということは全てが見えるということで、ごまかしが効かないということ。
これは、つくり手にとっては大変なプレッシャーで、そんな庭を、価値観の異なる不特定多数の方々に見ていただくこともまた、ものすごい緊張感でした。

造園の資格試検には、決められた時間で決められたものをつくるという試検がありますが、それとは逆に、時間や素材、予算、形の自由が与えられた中で、どんな思いで何をつくるか、つくり手の創造力や作庭観が試されるこのような機会はとても貴重です。
こんな緊張感もまた、つくり手としての自分を育ててくれるのではないかと、仕事以外の時間の中で、自分を高めてくれる機会をいただけたことに感謝しています。

2日間の展示でしたが、今回は、構想に1週間、準備に2日、現場での制作に2日掛かりました。
これが少ないのか多いのか、壊すことが前提の庭をなぜつくるのか、誰のためでもない庭をつくるのはなぜ?

これは、イベントの庭をつくる時にいつもつきまとう葛藤ですが、創造者としての修練ということ以外にも、庭づくりは自由なのだということの発信や、そんな庭をつくる植木屋という存在を知ってもらえることが、なによりの幸せであり喜びです。

反省点、課題、いろいろありました。
次回に活かしたいと思います。

最後になりますが、機会を与えて下さった主催の方々とご来場いただいた皆さま、そして、共に汗した仲間、見に来てくれた庭仲間に感謝です。
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FUKU
Author: FUKU
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五感で楽しめる暮らしの庭、創った庭から民謡や童謡が聞こえてきそうな、土地の風土と共にある庭を目指しています。

※記事中の写真や図の二次使用はご遠慮ください。

Comment(2)

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紅の葉

鈴ちゃんへ

鈴ちゃん、ご来場ありがとうございました。
あの水たまりの石は寒風山の自然石ですが、今春、山に石を買いに行った際、荷積みを終えてさあ帰るかという時に、偶然目に飛び込んできた石です。
いつか庭に使いたい、どう使ったらこの石が生きるだろうかと思っていましたが、こんなに早く出番を迎えることができ、それを目に留められた方がおられたことを喜んでいます。

あの柿の木の垣根は、先月やむなく伐採した木の枝を使いましたが、ただ切って捨てるのではなく、何かに使ってあげたらこの木の供養になると思い、使いどころを探していました。
この垣根のおかげで庭に野趣的な雰囲気を出せたので、この柿の木には感謝しています。
皆さん、「柿を垣根に!?」と驚いて下さったので、そんな意味では成功したといえるでしょうか(笑)。
記事の中で、庭は自由だと書いていますが、創る側の意識の持ち方次第では何でも素材になります。
そんなことを形として表すことで、庭の可能性を知ってもらえたらと思っています。
それと、誰も気づいてくれませんでしたが、柿は夏季でもありました・・・(笑)。

>垣根の後ろの色々な物
やはり気になりましたか(笑)。
樹木で柔らかく隠せればとも思いましたが、この暑い盛り、土の無い風の強い所に木を持ってくるのは可哀想なので断念しました。
ススキなどは風情があっていいかなと思いましたが、やはりこの暑さなので。
というよりも、山の源流を表した庭では、背景は岩か空しかありません。
ということで、空が見えるように「透かし垣」にしたという次第です(笑)。

>『お水がきれいね。』
この女の子の一言で、苦労が報われた思いです。
今回の反省点の一つは、子供が楽しめる庭では無かったということです。
見ることに主眼を置いてつくったので、子供たちには物足りなかったことでしょう。
渋柿の枝を使っただけに、今回は渋い庭となりましたが、この暑さの中、植物に不適な環境でどんな庭をつくるかという、苦渋の庭でもありました。
来年の開催がいつになるかわかりませんが、制約が工夫や知恵を生み出してくれますから、そこから逃げずに、作庭者としての表現や発信をしていけたらと思います。

2011/08/31 (Wed) 07:32

鈴ちゃん

暑い中、お疲れ様でした。
昨年は、大きなお山が突然出現で驚きましたが、今年はぐっとシンプルで渋く、でも、つくる方も、ご苦労された課題だったと思います。

水を貯める石、がとても面白いと思いました。
柿で枠をつくられたのも良かったですが、枠の後ろの色々な物が見えるのが、個人的に気になりました。

子供たちは、紅の葉さんが書かれてましたが、すぐ遊ぶんですね!(笑)大人にはない感性ですね。
『お水がきれいね。』と言う女のお子さん、天使みたい。新聞記者さんも、『お、なんか、面白いものがあるな!?』と一枚、撮ってもよさそうなのに、感性が鈍ってるのでは!?(笑)餅拾いばかり気になるようじゃ困りますね。面白い企画にも気がついて欲しいですよね。
味わいのある出展、有難うございました。

2011/08/29 (Mon) 23:28