杜の木漏れ日

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蹲踞のある庭

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先週から取りかかっていた、能代市内の庭がほぼ完成しました。

既存庭の改造ですが、現場で蹲踞を組んだのは数年ぶりになります。
9月の山形茶室研修や、先週の市民茶会への参加など、しばらく遠ざかっていたお茶の世界が、また身近なものになってきたようです。

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手水鉢は、玄関前の飾りとしてありました。
鳥海石ですが、形も大ぶりで水穴もゆったりとし、なかなかに姿のいい水鉢です。
せっかくなので、向きや扱いを少し変えさせていただき、茶事に使える蹲踞として蘇らせたいと思いました。

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改造前のアプローチは大きな自然石の飛石でしたが、落雪のことを考えて、方向を少し変えることになりました。

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アプローチは、落雪の影響を受けないように、大きく迂回させます。
歩行性を高めつつ除雪作業を容易にするため、既存の大谷石をランダムに敷いて、少し道幅も広げました。

正面に植えたドウダンの生垣の間には飛石だった石を二つ立て込んでいますが、ここにひとつ、この庭の楽しさが隠れています。

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門からは、直接蹲踞が見えないようにしてありますが、透かし戸を開けると、この二つの石と枝葉の間から、手水鉢の水面が見えるという仕掛けです。
二つの石の間には小さな細い石もありますが、これは、大きな石が二つに割れ、さらにもう一個の石から細い石が滑落してできたという物語です。
立て石の下には小さな石が散乱していますが、これも、石が割れた時にこぼれたという設定。
造形的な扱いのようですが、山に行くと、時々こんな光景を目にします。

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リビングから見た蹲踞の姿。
前石も飛石だったものですが、大きなものを二つ寄せて、岩盤を降りていくような雰囲気にしてみました。

この庭は中門なども設けず、一重露地として使えるようにしていますが、この手前の飛石のあたりが、迎付の場所になります。

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茶室となる部屋から、門までのアプローチを振り返ったところです。
今回は、砂利を少し補充しただけで、木も石も瓦も苔も下草も、全て既存の物を利用しています。
そこにあるものを活かせるということ、庭師冥利に尽きますね。


今回は、珍しいことに、一日も雨に降られることなく、スムースに庭づくりを行うことができました。
これも、お施主さんの日頃の行いと、いい水鉢を選ばれた庭師さんのおかげです。
どうもありがとうございました。

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