杜の木漏れ日

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街なかに夢の並木を創る~二ツ井町市日通り・緑のトンネル創生ビジョン~上

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今日の北羽新報には、緑の報告展の記事と合わせ、私の寄稿も同時掲載されています。

原文はコチラです。

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街なかに夢の並木を創る ~二ツ井町市日通り・緑のトンネル創生ビジョン~上

2月1日付本紙にもありますが、先日、能代市に「二ツ井の銀杏並木を緑のトンネルに」という提案をさせていただきました。
現在、この並木は、市の強剪定見直しに伴い、二ツ井地域局から本庁管理へと移行しています。
能代の街路樹改善は二ツ井から起り、この並木に行われた自然樹形剪定と、ここを会場に開催された街路樹勉強会、そして、二ツ井地区の市議による能代初の街路樹一般質問などが契機となり、市が方針の見直しに着手したという経緯があります。
この動きは全国誌でも取り上げられ、首都圏の自治体では今、この並木の剪定法を参考に再生が行われるなど、全国的な評価も高まっています。
このような機運の中、能代の街路樹再生発祥の地として全国に影響を与えているこの並木を、日本に誇れる「緑の特区」として位置付けてはどうか、二ツ井のシンボルとして、景観形成や地域おこしにも繋げていけないだろうか、そんな思いで考えたのが今回の提案です。

景観形成は街路樹の果たす大きな役割ですが、緑のビジョンを持たない自治体などでは管理のほとんどが苦情処理として行われています。
住民の要望で対処するといった姿勢が示すように、街路樹行政には受け身的で消極的なイメージがつきまといます。
苦情で切るといったレベルでは街の緑が良くなるわけもなく、緑があることへの夢や希望も持てません。
庭を持ち、庭で暮らすことは家族の夢ですが、市民の庭である街路樹に夢を持つ人はどれだけいるでしょう。
空気や水同様、街の木はそこにあることが当たり前のもの、ともすれば誰にも関心を持たれないさみしい存在ですが、人知れず頑張っている街の木たちに光を当てながら、それを街の活性化に繋げていく。
そして、この街に暮らす人々が身近な緑の成長に夢を持てるようなイメージで積極展開していく。
街路樹も公園も、いまだにブツブツと切られてしまう能代の街なかには、緑陰のトンネルを形成できる場所はまだありません。
能代に、新しい夢と希望をもたらしていくためにも、街路樹再生発祥の地の二ツ井がモデルとなっていくのです。

1-1景観重要樹木に指定される日本大通りのイチョウ並木(横浜市)日本大通りの銀杏並木(横浜市)

緑のトンネル構想は以前から温めていたものですが、今回、緑の先進地視察を行ったことがきっかけで、より具体的なイメージが描けました。
横浜市には日本大通りという、自然樹形の素晴らしいイチョウ並木があります。
この通りは、市が街のシンボルとして保全していくことを目的に、景観法に基づく「景観重要樹木」に指定されています。
景観維持には明確な管理ビジョンが必要ですが、横浜市では街路樹の共通剪定仕様書を定めていて、その中には樹皮の早期再生を図る剪定法なども盛り込まれています。
木の生理に対する具体的な配慮が仕様書の中に示されているのです。

1-2剪定仕様書に基づき、適正位置で剪定された切り口(日本大通り)樹皮の早期再生と腐朽防止のため、剪定の位置や角度に留意した切り口(日本大通り)

実際に横浜の街を歩いてみると、剪定の位置や角度に細心の注意を払っているのがわかります。
切り口が目立たないように殺菌剤に墨汁を混合したものを塗るなど、木の生理への気遣いが至る所に見られるのです。
これは桜日本一の弘前方式と全く同じやり方で、さすが横浜は近代街路樹発祥の地だけのことはあると、樹木剪定の基本が当たり前に施行されていることをうらやましく思いました
(この方法は二ツ井地区の公共剪定でも行われており、公民館の剪定講座でも講習会が開かれるなど、市民レベルで浸透しています)。

1-3みごとなトンネルを創る田園調布のイチョウ並木 田園調布の銀杏並木

大田区田園調布にもみごとなイチョウ並木があって、並木の枝が向かいの歩道まで伸びていたのには驚きました。
ここでは、歩道側の枝を短く、車道や樹間などの枝はできるだけ伸ばすなど、意図的に緑のトンネルを創っています。
枝が切られることで減少する樹木の養分生成量を最小限に抑えるために、支障のない空間に思い切り枝を伸ばさせてあげているのです。
私はこの姿を見て、奥入瀬のブナ林のトンネルや角館の桜並木を思い起こしました。
緑のトンネルは、一本の木をきれいに仕上げるということにとらわれず、不整形な一本の木の連続が森をつくっているといった様相なのであまり木を切り込まなくてもよく、木のためにもなるのです。

このようなスタイルは「街路対応型樹形」の中の「片枝樹形」というタイプの発展形ですが、この特徴樹形を見ると「木は四方の枝を同じ長さに切り詰めなければならない」といった従来の固定観念は吹っ飛びます。
実際にこの並木の下に立つと、本当に度肝を抜かれます。
カルチャーショックを受けること間違いなしですので、街路樹関係者の方々にはぜひ一見をお勧めします。

    二ツ井町 緑の景観を考える会 福岡徹 

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