杜の木漏れ日

ARTICLE PAGE

街路樹現場説明会

一昨日のことですが、先月からお願いしていた二ツ井地区の街路樹剪定についての現場説明会がありました。
説明を求めた街路は「緑のトンネル」の提案をしていたイチョウ並木ですが、今年度の冬期剪定対象地区になっていたことを知り、どのような剪定を行うのか、仕様の確認をお願いしていたものです。

しかし、市からの返事を待っている間に工事はすでに終了、事後説明となってしまったのは残念でした。

IMGP5012.jpg 

今回の剪定では大幅に芯止めが行われ、樹高もかなり下げられました。
地元紙でも報道されたように、木の伸び過ぎや日照不足、落ち葉掃除の苦慮などが住民から指摘され、それに配慮したとのことです。

樹高の決定には電線支障の有無や街並みの景観バランス、地下部の根の状態なども関係してきますが、そんなことよりも苦情が優先されてしまうことを悲しく思います。
行政も、ただ苦情を受けるのではなく、なぜ苦情が出るのかを考えなければなりません。

何のために街に木が植えられているのかを知ることにより、減る苦情というものもあります。
苦情が出るのは市民に緑の役割や恩恵が伝わっていないからだということを深く認識し、啓蒙に努めてほしい、今回、行政にはあらためて、そんなことをお願いしました。

IMGP0655_20120316120642.jpg

剪定された木を見ていきます。
樹冠(木の輪郭)を揃えるために枝の芯が止められ、残した枝が両端に開いています。

枝先を止めて輪郭を揃えていくやり方を落葉樹に対して行うと、自然味がそがれます。
枝の長短があってこその自然樹形。目安とするおおよその輪郭はあっても、多少の枝の出入りが無いと自然には見えないのです。
車道側や歩道側には制限がありますが、それほど制限が無く比較的空間を広く取れる樹間(木と木の間)には枝を伸ばしてもいい。
それが、街路に対応するということで、木の生理に配慮するということです。
こんなところにも、能代がまだ、「枝は同じ長さに揃えなければならない」という固定観念から抜け切れていないことがわかります。

ennsuikei.jpg 数本の芯を抜き枝張りを残した姿

今回の剪定で一番極端だったのがこの木です(左)。
市の説明ではイチョウの樹形を「円錐形」としていましたが、あまり円錐形という形にとらわれると、せっかくのイチョウの持ち味を殺してしまいます。

右写真は同じ木に対し、前回、私が行った時の剪定ですが、実はこれでも切り過ぎで、5月末にはたくさんの不定芽が発生しました。
この時から5年経ち、枝も太く樹高も高くなっていますが、もう少しやり様があったのではないかと思います。

itibitoori suiheigiri

幹から太い枝を切った跡です。

水平切りの枯れ 剪定会2

水平切りをするとどうなるかは、その後の切り口を観察するとよくわかります。
また、この現象は、自然状態での枝枯れの様子を見てもわかります(写真右)。
この間の剪定見学会では、幹と枝の付け根がどこであるかを学び、的確な剪定ラインの勉強を行いましたが、街路樹管理ではまだこれが活かされていないようで、この理論をぜひ剪定仕様に採用してほしいとお願いしました。

今回の剪定では、比較的樹高の低い木に対しては極度の切り詰めは行われなかったので、それが救いです。

市の剪定仕様書も見せていただきましたが、以前と比べて内容に専門性が増していたことは高く評価したいと思います。
しかし、いくら立派な仕様書ができても、実際の樹形に反映されなければ意味がない。、
仕様と現実の開きを埋めていくためにも、行政側が業者を指導できるぐらいの「見る目」を持つことと、剪定者が意識を持ち、技術とセンスを磨くことが大切です。

IMGP5015_20120316123258.jpg

現場説明の後、担当課長さんから私のやった実例があれば見たいとのことで、先日行った桜の剪定現場にご案内しました。
先月の剪定見学会では、腐リが入りにくく傷口が再生しやすい剪定法を紹介しています。
せっかくなので、現場での実践例を見ていただきました。

sakuira1.jpg sakura4.jpg

隣地越境や通行支障があるのなら、支障がある方の枝を切り、無い方を伸ばしてあげればいい。
細かく剪定しなくとも、ある程度放任しておけば、木は自分がなりたい姿に自分でなっていく。
サクラは枝先を切らないのが常識だけれど、イチョウにもそんな常識がほしい。

イチョウは本来、斜め上方に枝を伸ばす木。
枝垂れ柳に「枝垂れる」特性を活かしてあげるように、イチョウにもそのような配慮がほしい。
水平にならない木を水平に強制しようとしても、また上向きに伸びるのだから。

街路樹も公園の木も庭の木も同じ。
サクラもイチョウも同じ。
そのことを理解すれば、能代の街路樹はもっと良くなると思う。

そんなことを感じた、今回の現場説明会でした。

Comments 0

Leave a reply