杜の木漏れ日

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「緑の先進地に学ぶ木に優しい剪定法」北羽紙寄稿文

hokuukeisaibun1.jpg IMGP5113.jpg (クリックで拡大できます)

本日付の北羽新報文化欄に拙文が掲載されました。
先月開催した剪定見学会の時のことを書きながら、CODIT理論による剪定法を紹介したものです。

以下に、原文と掲載写真(図も含む)をご紹介いたします。

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緑の先進地に学ぶ木に優しい剪定法

2月27日、「緑の先進地に学ぶ樹木剪定の基本」をテーマに、剪定見学会を開催させていただきました。
市県の関係課の方々をはじめ、たくさんの皆さまにご参加いただけましたことに、あらためてお礼を申し上げます。

この見学会は今年で2回目ですが、昨年は弘前公園の桜剪定法を紹介しました。
今回は、1月に視察した横浜市の街路樹剪定法に弘前方式との大きな共通点を見つけたことから、街路樹や公園樹に特定せず、施設の樹木や個人の庭木、畑の木など、広く樹木全般に応用できる剪定の基本を紹介できればと企画したものです。

弘前と横浜に共通していることは、木を腐朽から守り、剪定によってできる傷口を早期再生させるための対処を行っているという点です。
弘前公園の桜は、伝統的なリンゴ栽培の剪定法に最新の樹木医の剪定理論を融合させたものですが、腐りの入りやすい桜の木を剪定によって管理し、大きな成果を上げています。

この、樹木医が採用する理論は、アメリカの植物学者シャイゴ博士によって提唱された「CODIT理論」という科学的論理ですが、それほど難しく考えることもなくて、自然状態の木の枝枯れの様子や、剪定後の切り口などを観察すれば理解できます。

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写真①は、見学会の会場となった文化会館のケヤキですが、木の内部には日光が当たりにくいため、自然淘汰により枝枯れを起こしたものです。
この時の、生きている部分と枯れている部分の境目に注目して見てください。
幹の盛り上がった部分で枯れが止まっていることがわかりますが、このことは、この盛り上がりの部分までが幹であることを示しています。
従来の剪定法では、この盛り上がり部分も切除していましたが、この盛り上がりの下に木を腐食から守る防御層(ブランチカラー)があることから、木を腐らせないためにはここを傷付けずに剪定する(図1のライン)ということが肝要になってきます。

hokuukijisyasinn 2

街路樹などは、木の傾倒や枝枯れ、電線支障などにより樹高を低くしなければならない時もありますが、この理論はこのような場合にも役立ちます。
写真④は、樹高を下げるために幹の芯を切り詰めたものですが、水平に切った切り口から斜め下方に枯れてきていることがわかります。
図②は弘前公園の桜剪定講習会の資料ですが、写真④は、ここに記されている3の角度で枯れが止まっています。
このことからも、剪定時にはこの枯れ下がりを予測して、写真⑤のような角度で切るということが重要になります。
この、水平位置から枯れた部分をそのままにしていると、この枯れて残った部分がカルスの速やかな巻き込みを阻害し、再生を遅らせてしまうのです。(カルス:樹木が傷を受けた時に、傷口をふさぐために増殖する組織)。

枝は、深く切り過ぎても幹の組織を傷付け、切り残してもカルスの再生を阻みます。
いずれの場合も幹に腐朽が入りますから、この仕組みを理解し、日頃から意識して剪定を行うことが大切です。
そして、剪定した後のカルスの巻き込み具合を観察することにより、自身が行った剪定の良否がわかり、適正な剪定位置や角度が理解できていくように思います。
樹形再生は木を美しく見せますが、木が健康であることが第一です。
「樹形再生=樹勢再生」となるような再生の仕方ができれば、本当の意味での木の生理に配慮した剪定になるのではないかと考えています。

横浜市の街路樹管理の共通仕様書にはこの理論が採用されていますが、現在、能代市に対しても、このCODIT理論による剪定法の導入を提案しています。
この剪定法は幹や枝の付け根で切っていくやり方ですが、この理論そのものがブツ切りの禁止を意味します。
剪定による腐朽で木が衰弱すると、倒木や枝折れなど事故の元になります。
街の木を健康状態に保つことは市民の安全を守ることにも繋がりますので、樹木管理に携わる方々には、このことにも留意いただいて、緑美しい能代の創生に努めていただければと思う次第です。

5年間に渡った本紙への寄稿も、本稿をもって最後となります。これまでのご精読、誠にありがとうございました。

二ツ井町 緑の景観を考える会 福岡 徹

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ご精読ありがとうございました。

緑の景観を考える会の活動も、この寄稿を持って終了となります。
街路樹のブツ切りをなんとかしたいとの思いで始めた活動ですが、市の強剪定見直しや市県の連携促進等、7年に渡る活動も一定の成果を収めることができました。

本稿でも紹介しているCODIT理論による剪定法の導入や落ち葉掃除のフォロー体制、行政による市民への啓蒙等はまだまだこれからですが、今月、あらためて担当課別に要望を行ったところ、善処のお返事をいただいています。
行政の今後の取り組みに期待して、会としての活動を終えたいと思います。

今後は、このブログの「緑の景観を考える会」のカテゴリーを「緑の景観を考える」に改め、一市民として、一植木屋として、街の緑のことを勉強していきたいと思います。

これまで北羽紙をご精読いただいた皆さま、活動でお世話になった皆さまに、あらためてお礼を申し上げます。

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