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街の緑1(勉強及び視察)

CODIT記念日

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先日の北羽新報の寄稿で初めて、「CODIT理論」や「カルス」という言葉を使った。

一般の方々に専門用語は難しい。
わかりやすく説明しなければ、ただでも関心の低い街路樹の記事など誰にも読んでもらえない。
そんなわけなので、馴染みのある身近な例を出し、生活の中で使っているような言葉を使うようにしていた。

CODIT理論はアメリカで生まれた理論だから、もともとが英語。
CODITは「コディット」と読み、「Compartmentalization Of Decay In Trees」の略。
Compartmentalization は「区画する」、 Decayは「腐る」、 Treesは「木」。
まとめると、「樹木腐朽の区画化」という意味になる。

カルスは「callus」で「癒傷(ゆしょう)組織」。
わかりやすく言うと、「樹木が傷を受けた時に傷をふさぐために増殖する組織」。

英語だとさっぱりわからないし、日本語にしてみても難しい(笑)。
でも今回が地元紙への最後の寄稿。
言葉足らずは写真でカバーすることにして、本当の言葉を知っていただくことにした。
わかりやすかったという声もあり、胸をなでおろしているところです。

以前、地元紙でこの剪定法を紹介した時、読者の方が自分の庭で試したことを知り、とても嬉しく思ったことがある。
もしかしたら、この言葉を検索して調べたりする人もいるかもしれない。
一人でも多くの方が、樹木の生理に興味を持ってくれたら嬉しい。
次に繋がっていくことが一番の願いです。


そんな中、記事が掲載された昨日、能代市長さんからメールが届いていた。
寄稿の最後にも書いているけれど、「CODIT理論を市の剪定仕様書に導入できないか」という提案を「市長への手紙」で市に行っていたところ、返事が届いたのだ。
提案には「公園や施設の樹木も含めて、市のすべての樹木に対しての統一仕様にしてほしい」とも付け加えていた。

いただいた返事には
「CODIT理論による剪定法については、市が行う街路樹剪定の中ですでに一部実施しているところもあります。結果を検証するためにはもう数年かかると思われ、その結果に基づき仕様書に採用するか検討していきたいと考えています。 さらに市の統一仕様として街路樹や公園樹、施設等の樹木に関する発注などにも適用するとなると、それぞれの樹木を管理する各担当部署との協議が必要になってきますので、今しばらく時間をいただきたいと思っております。」とあった。

CODIT理論による適正位置での剪定法のことを、「ナチュラルターゲットポイント:自然の理にかなった位置」というそうだ。
剪定結果を検証していくことも大切だが、この自然の理を観察し、街路樹に限らず公園や庭木など、これまで剪定した切り口がどうなっているかをよく見てみてみれば、ある程度のことは理解できる。
そんな意味でも、北羽紙には、成功例や失敗例、自然状態の枝枯れの様子などを載せた。
これまで何度も何度も説明して、ここからまたさらに時間をかけるのか、とも思うが、これが専門職がいない役所の悲しさ。

もし、本気で木のことを思い、木の生理に配慮したやり方をする気があるのなら、専門家に聞きに行くとか、先進地に視察に行けばいい。
横浜や江戸川区まで行けとは言わないけれど(私は行った・笑)、弘前や角館など、専門職の樹木医がいる自治体が近くにもあるのだから、ただ結果を待つのではなく、自ら動いて調べてみようという気概が欲しい。
人から言われてしかたなくやるからこうなる。
必要だと思ったら、自分で考えて自分で動かなければダメだ。

しかし、この、『CODIT理論』という言葉を自治体の長が使ったということは大きい。
原稿は担当課の方が書かれているのかもしれないが、専門職ではない役人が「CODIT」と書いていること自体が凄いことだ。
意識してこの言葉を使い、そして書いたということに、大きな意義と前進を感じる。

5年前までブツ切りしていた行政が、当たり前のように「CODIT」と書いているこの事実。
ブツ切りを正当化しようと必死だったあの能代が、よくここまできたものだと思う。

実は一昨日は、弘前城公園まで出かけ、桜管理の樹木医さんと、このCODITやカルスについての話をしていた。
一般職員の方に話す時は説明にかなりの時間を要するが、専門職との話はいきなり本題に入れる。
普段は1か2まで降りて話をしなければならないことが、6ぐらいの話から始めて、8か9レベルのことを教えてもらえる。
専門用語だけで話ができるということは、ある意味、技術職にとってはとても幸せで気持ちのいいことだ。
業界では純粋に技術論を話せる機会が少ないので、自分の向上心や好奇心を満たせるこんな時間はとても楽しい。


でも、もしかしたら今後は、能代の行政ともそのような話ができる時代が来るのかもしれない。
行政が業務発注するということは、業者を指導監督し、適正な仕様書に基づいて検査を行える力量を持っているということだ。
行政に指導提案し続けてきたこの7年だったけれど、いつか、逆に指導監督される日が来るに違いない。
そんな日を心待ちにしている。
そして、そんな時こそ、能代の街の緑は文化になっていることだろう。

思えば、2008年に開催した街路樹剪定勉強会の時に、初めて行政に対して「CODIT」という言葉を紹介した。
その時に資料配布させていただいたのが、福島県いわき市の「植吉」さんのHPで紹介されている「理想的剪定法(CODIT理論)」だった。
資料配布について快諾してくださった植吉さんにも、ようやく恩返しできたような気がする。
本当にありがとうございました。

たしか、オバマ大統領が就任したのが、街路樹剪定勉強会をやった頃だったと記憶している。
演説で、「アメリカよ」と言っていた言葉が今でも心に残る。

3月29日を、「CODIT記念日」と命名したい。
能代よ、この「CODIT」という言葉を使った日のことを、いつまでも忘れないでほしい。
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