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作庭紹介

吾唯足知

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能代市で作庭した蹲踞のある庭です。

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座った状態でも部屋から見えるように、水鉢を台石に乗せ、役石も高さのある物を使っています。

IMGP1376.jpg

水鉢は竜安寺の「知足」の写し。
中央の水穴を「口」の字に見たて、上から「吾唯足知(われ、ただたるをしる)」と読みます。
これは禅の言葉だそうですが、「富んで心が貧しいより、貧しくとも心が富んで豊かな方が良い」という意味なのだそうです。
ちなみに、この水鉢の本歌は茶室蔵六庵の露地(非公開)の蹲踞に使われていて、一般の観光客が見れるのは、方丈裏にある写し(複製)の手水鉢です。


この庭は、私が20代の頃につくらせていただいた庭。
当時、既存庭の改造をお願いされた際、お茶を習われているご家族のために、庭として鑑賞しながらも蹲踞の稽古もできるようにと作ったものでした。
この水鉢は、ちょうど作庭前にご家族が旅行で竜安寺に行かれたことから、記念にとお勧めしたような記憶があります。
そんなわけでしたので、水鉢の扱いも竜安寺と同じく砂利の中に埋める形を取ったのですが、あまり奥行きのない庭なので、近寄らなければ見えないという欠点もありました。

考えてみれば、一般客の見ることのできる竜安寺の水鉢(複製)は蹲踞の形をしていませんし、蹲踞としても使われていません。
景色としての手水鉢を蹲踞にしたのはいいものの、敷地の条件の違う所で同じような扱いをすること事態がおかしいのですが、この時は,竜安寺ではこういうふうになっているからということで、それでいいと思っていました。
その場所と役割に合わせて作るということが大事なのだということに気付いたのは、ずっと後になってからです。

いつか直したいものだと思いながらもなかなかタイミングが合わず、いつのまにか15年。
今回、そんな自分でつくった庭を、少し手直しさせていただいたのです。
ようやく肩の荷が下りたというか、胸のつっかえが取れたような思いです。

IMGP1377.jpg

せっかくなので、若い衆も座敷に上げさせていただき、お客様と一緒に眺めました。
間違いは気付いた時に直すもの。
気付いてそのままにしていたら一生後悔する。
若い人たちには、そんな職人の心意気も伝えていきたいです。

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6 Comments

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しんぼうさん

紅の葉  

2008-10-02 07:18

見ておわかりの通り、この庭は真黒石の延段をやりたくてやりたくてどうしようもなくてつくったような庭です(笑)。
この真黒は地元の川石ですが、これで畳むのは3度目の挑戦、これまでの失敗から、石をいっさい加工することなく、深目地で目地幅もキッチリ揃えるということを目標にしたせいか、石探しに1年、1㎡にも満たない石張りに一週間掛かりました(笑)。
昔、修行先の先輩から、「本当の延段は一日張っても30センチ平方しかできないよ。」と言われてましたが、実際にやってみてその言葉を実感しました。

お施主さんからは「もういい加減にしたら?ほら、その石でいいじゃない。」なんてからかわれながらの仕事でしたが、「お金は要りませんから。」なんて言っていた時期です。
でも、、こんな時期があるから今があるんですよね。
現場で思いを形にさせてくれたお施主さんには、本当に感謝です。

ということで、これ以来、こんな手の掛かる延段はもうやっていません。
私の成長は、この時からお腹のほうに向いてしまっているようです(笑)。

PS
今度、私も「飲んべ団」に入れてください(笑)。

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メグスリさん

紅の葉  

2008-10-02 06:46

「つまづいたっていいじゃないか、人間だもの」
は、あいだみつおさんの言葉ですが、
力が無ければ間違うのは当たり前なので、
「間違ったっていいじゃないか、職人だもの」でいいことにしています(笑)。
先日お越しいただいたお客様からも「失敗したら直せばいいんだから。」という言葉を聞き、かなり安心しました。
そうだよな、間違わなければ創作は生まれないんだよなっ。
ヨシッ! これからもどんどん失敗作をつくり続けるぞっ!
という、ヘンな勇気が湧いててきたところです(笑)。

でも、高いお金を払って未熟な庭師に間違われたお客さんはかわいそうなので、気付いた時に直してあげたいと思っています。
数年後、また直したくなるかもしれません・・・。

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No title

しんぼう  

2008-10-01 22:42

こんな凛とした延段がつくりたくて悪戦苦闘するのですが
いまだに創り上げることができません
やっぱり私は
飲んべ男(ダン)です・・・

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No title

メグスリ  

2008-10-01 19:54

わたしは間違いだらけの植木屋で
もしかしたら間違いすらきずいていないような気がします。
ほんとやばいです・・・

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キタさん

紅の葉  

2008-10-01 08:00

27才ごろの作庭なので18年経ちました。
年に一度手入れに入りますが、雪囲い他、ほとんどお客さまがご自分でやられるので助かっています。
落雪の影響を受けるので中木を植えられないのと苔が少ないこと、時々砂利を補充するせいか、あっさり明るく見えるようです。

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No title

キタ  

2008-09-30 19:41

15年たっても、こんなに楚々としてあるものなのですね。
お客様が日々手入れされているのでしょうか。
そんな庭を創れるのが素敵ですね。

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