京都・西本願寺の「逆さイチョウ」

西本願寺の「逆さ銀杏(水吹き銀杏)」

京都市西本願寺の境内には、「逆さ銀杏」と呼ばれる天然記念物のイチョウがあります。
先日、所用で京都に出かけた際、合間を縫って見てきました。
樹齢4百年ほどの木ですが、まっすぐ上に伸びる通常のイチョウと違い、横に枝を張った珍しい樹形をしています。
根っこを天に広げたような姿をしていることから「逆さ銀杏」と呼ばれているそうです。

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(別角度から)

朝5時半の開門を待って訪れた西本願寺では、広い境内を探すまでもなく、逆さイチョウの堂々とした佇まいが目に飛び込んできます。
そろそろ黄葉が始まろうとしていた時期ですが、早朝から鳴り響くお経の中で、神々しいまでのイチョウの存在感でした。
目測ですが、樹高は10mほど、枝張りは、優に30mは超えているでしょう。
木の高さよりも横幅の方が3倍以上もあるのです。
この驚くべき枝張りを支える幹は直径にして約2m、高さ2m前後の低い位置から、太い横枝を四方に張らせていました。

重厚な佇まいを見せる逆さイチョウの幹
(逆さイチョウの幹)

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(看板)

逆さイチョウは、別名を「水吹き銀杏」とも言い、江戸時代中期の「天明の大火」の際、火の粉を浴びながらも水を吹き出し、お寺を守ったという言い伝えが残っています。
イチョウの樹皮はコルク質でできていることから保水性が高く、高温になると水分を吐き出す性質がありますが、このようなイチョウの特質を知る意味でも、このイチョウはとても貴重な存在です。
イチョウが防火樹として街路樹などに多く植えられるのも、こうしたイチョウの特質を利用してのことですが、残念ながら日本の街路樹のイチョウは、電線支障や落ち葉の苦情により、短く切られてしまうのが現状です。

電線を分けて伸びるように考えた能代市役所前のイチョウの街路樹
(直幹の芯を止め、残した横枝が電線を分けて伸びるように考えた能代市役所前の街路樹のイチョウ)

そんな時、低い位置で横枝を張らせるこの逆さイチョウの樹形は、現在の街路樹事情を考えた時、とても参考になるありがたい存在です。

2 Comments

紅の葉  

脇本さんへ

脇本さん、こんにちは。
逆さイチョウ、イチョウらしからぬ不思議な形をしていますよね^^。
これは、剪定によって作られた人工樹形のようです。
実を採るために植えたイチョウなどは、リンゴの木などのように低い位置で横枝を張らせる果樹樹形をしているものもありますが、逆さイチョウは実採りのために植えられたものではないようです。
昔の人はなぜこのような樹形にしたのか、非常に興味が湧きますね。

私は木本来の自然樹形を尊重した管理をすべきだという考えですが、そんな私が逆さイチョウの樹形に興味を持ったのは、電線の下でブツ切りされてしまう街路樹のイチョウを見て、どうしたらこの木たちを、制限のある街中で生かしてあげられるだろうかと考えていた時、偶然、果樹樹形のイチョウを目にして、この形なら街中で木をブツ切りしなくてもよく、街路樹本来の目的である木陰を作ることができると考えたからでした。
街路樹のイチョウは、どこから見ても円錐形の形にされる場合が多いですが、出来る限り自然樹形を活かすために、通行支障となる道路側の枝だけを剪定したり、歩道側の建物に障る枝だけを剪定したりなど、全体を切らずに支障になる側の枝だけを剪定する場合もあります。
そのような樹形を「都市型自然樹形」というそうですが、上部(電線)に支障がある場合もまた、この都市型自然樹形になるのではないかと、そのような条件下にある街路などでは、逆さイチョウの樹形は効果的な方法ではないかと考えています。
本当は、電線の下に背の高くなる木を植えるのが間違っているのですが、植えた後から電線が設置されるケースもあり、これも一つの方法かなと考えています。
脇本さん、いつか東京に行く機会があったら、ぜひ、田園調布のイチョウ並木を見に行ってみてください。
都市型自然樹形の究極の姿がそこにあります。
今頃行けばきっと、素晴らしい、黄葉ののトンネルが見られるはずです。

2012/11/03 (Sat) 22:36 | EDIT | REPLY |   

脇本  

なんとも形容しがたいイチョウですね。

イチョウとは本来、このような枝張りなのですか?

2012/11/03 (Sat) 20:50 | REPLY |   

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