杜の木漏れ日

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銀杏ロードのイチョウ

先日、寒風山まで石探しに行った際、大潟村の銀杏ロードを通りました。

銀杏ロード1

通りの両側には、延々とイチョウの木が植えられていますが、ここに植えられているイチョウは、京都・西本願寺の逆さイチョウと同様に、銀杏らしからぬ面白い形をしています。

銀杏ロード2

よく見ると、高さ1mぐらいの所から枝分かれしています。
おそらく、若い頃に芯止めされたのではないかと思いますが、リンゴやウメなどの果樹によく見られる樹形です。
植えられている木はほとんどが雌木で実が成っていますので、実を採りやすくするために、このような樹形に仕立てられたのではないかと思います。

電線を分けて伸びるように考えた能代市役所前のイチョウの街路樹

これをヒントに、地元の街路樹剪定で試行したのが、能代市役所前の街路樹のイチョウです。
銀杏ロードのイチョウは、一度芯止めされて樹形が作られた後は、ほとんど剪定されていないようでした。
樹木には、一番高い位置にある芽が一番伸びるという「頂芽優勢」という性質がありますが、電線の下に植えられたイチョウは、切られても切られても電線を目指して伸びていき、電線に当たっては切られるという繰り返しになります。
この試行樹形は、この頂芽優勢の性質を逆手に取り、直幹の芯を留めて横枝を張らせるように考えたものです。
残した横枝も、頂芽優勢に従い、やがて上方へと伸びていきますが、電線の真下ではないことから、線を分けて伸びていくのです。

dennenncyoufu

東京都田園調布にはイチョウの並木があり、見事なトンネルが形作られています。
写真を見ればわかると思いますが、歩道側の枝は短く、支障にならない車道側や木と木の間の枝はそのまま長くしています。
これは、切られることで減少する樹木の養分生成量に配慮し、残せる枝はできるだけ残し、養分の確保をしてあげるといった、木の生理に配慮したやり方です。
このような、支障となる側の枝を剪定し、出来る限り自然樹形を活かすやり方を「都市型自然樹形」というそうですが、上部の支障のみを剪定した街路樹の樹形もまた、都市型自然樹形に当てはまるのではないかと考えています。

逆さイチョウの樹形は少し極端かもしれませんが、ただブツブツ切られるイチョウよりははるかに木に優しく、その場所で木を生かしてあげたいという人の思いやりを感じます。
自然本来の木の姿にしてあげることが一番ですが、植えられた場所の条件によってはそれができない場合もあり悩みます。
ここで、「自然樹形」ということについて考えてみましょう。

gaien.jpg

写真は、有名な神宮外苑のイチョウ並木ですが、この木もまた人工樹形です。
4年に一度剪定が行われますが、この特徴的な円錐形を維持するため、上部の枝などはかなり強く切られていて、どちらかというとブツ切りの部類に入る剪定によって管理されています。

本願寺イチョウ2

こちらは、逆さイチョウのある西本願寺の境内にある別のイチョウです。
ほとんど無剪定ですが、イチョウは放任するとこのような樹形になります。
公共剪定では、イチョウは円錐形が自然樹形と思われているところがありますが、どちらかというと、外苑のイメージが強く影響しているように感じています。

木をその場所に適した姿にしてあげるのが我々植木屋の仕事ですが、できるのなら、剪定しなくても良い所に植えてあげたいものです。
子育てと同じように、広い場所で伸び伸びと育ててあげたいものですね。

Comments 2

紅の葉  

脇本さんへ

脇本さん、街路樹の役割や目的等を紹介したサイトがあります→http://www.jinen.biz/landscape/land_net.html

私も、ここでいろいろと勉強させていただきました。
全て信用できる記事ですので、お手すきの時にでもご覧ください。
街路樹も庭の木も同じ木なので、樹木の生理を学ぶという点では勉強になるかと思います。

2012/11/05 (Mon) 19:51 | EDIT | REPLY |   

脇本  

なるほど、街路樹にも気をつけて見てみたいと思います。

私はまだ日が浅いので、本来、街路樹種のあるべき姿がよくわかりません。
よって、今、目の前にある街路樹が正しい姿だと言われても納得してしまうかも知れません。

『知らない』とは恐ろしいですね。
もっと勉強しなければなりません。

是非、田園調布にも行きたいと思います。

2012/11/04 (Sun) 21:16 | EDIT | REPLY |   

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