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植樹

大海も一滴の雫から

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秋晴れの下、恒例の白神山地の植樹に参加してきました。
今年は家族&スタッフの6名で参加、県内外から集まった植樹ボランティア150名の皆さんと共に、ブナやミズナラなど450本の苗木を植えてきました。
開会式の会長さんの挨拶では、団体参加されている企業や団体の紹介もあります。
名だたる大企業の中に混じり、人数的には一般参加のご家族と変わらない小所帯の福岡造園もまた、大観衆の前で紹介されました(笑)。
なんともお恥ずかしい限りです・・・。

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              (今年はかなり高い所に植樹)

この植樹は八峰町(旧八森町)を中心に活動する「NPO白神ネイチャー協会」の主催で毎年行われている事業ですが、今年で9回目を迎えます。
「山の森を増やすことで海の森も豊かにする」という主旨の元、杉林で隔てられた里山と白神山地を落葉樹林で繋ぎ、緑の回廊を作ろうという100年計画の壮大な事業ですが、私が参加したのはこの活動を知った2005年、ちょうど40になった年でした。

私たち庭師は木や石などの自然素材を使って庭をつくるのが仕事ですが、常日頃から、自分は庭づくりをすることで自然破壊をしているのではないだろうかという自己嫌悪が絶えず付きまといます。
いくら素材を大切に扱っても、切り取られた自然は元には戻らない。
いくらいい庭をつくれてお客さまに喜んでいただけたとしても、ちゃんとお金を払って材料を買ってきてはいても、庭をつくることのために山が削られ、自然環境が壊されているという現実は歴然としてある。
自然素材を扱う職人として、これでいいのだろうか。
40才を境に、自然の復元のために何か無償で報いることもしていかなければならないのではないだろうかという気持ちが高まってきていたのですが、そんな時に、この活動を知りました。

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       ( 建築資料研究社 「庭」123号 より)

偶然とは重なるもので、ちょうどその頃、本棚の整理で何となく手にした庭誌のバックナンバー(http://www.ksknet.co.jp/book/search_detail.asp?bc=05002123 )に、「山に樹を植える漁民たち」という記事を見つけました。
この記事は、宮城県でカキ養殖業を営む畠山重篤さんが、近年の魚介類の減少が川の上流部の森林伐採によるものであることに気付き、森を元に戻すために仲間と一緒に山に木を植え始めたという事業の紹介でしたが、たった一人で始めた活動が、漁民だけではなく山に住む人々や全国各地の人々の心を打ち、活動10年目には500人もの人々が集う植樹会へと成長したのだそうです。
川が海と山を結んでいるように、木を植えることで海と山の人々の心も結び付いていったという話を読み、胸が熱くなったことを覚えています。

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           (植樹祭のテーマは「森は海の恋人」 庭123号より)

この号の発刊は10年前でしたが、恥ずかしながらこの当時の私は、庭の写真や作庭者の皆さんのお話しか見ておらず、この記事に気付いたのは発刊後5年も経ってからでした。
思い立って、この記事を取材された方にお話を聞いてみたのですが、その時に一番心に残ったのが、「残念ながらこの植樹には、造園関係者は1人も参加していなかった。」という一言。
口では環境を作るとか自然を守るとか言いながらも、利益になることのためにしか動かない造園業界の実態を突きつけられたようで、自分もそんな業者の1人であることを無性に情けなく思ったものでした。
幸か不幸か根が単純な私、「よしっ!それならオレが行ってやろうじゃないか!」と思ったことが、このような植樹に参加してみようと思ったきっかけでもあります。
ホントに、単純ですみません(笑)。

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(ドングリから育てた苗木)

偶然とは恐ろしいもので、この植樹に参加する数ヶ月前のこと、同町で開かれたまちづくりのワークショップに参加していた私は、そこで「林道建設や間伐、治山工事などで伐採される山の木をストックし、町の公園や庭に植えてあげたらどうか。森の子供たちの命を生かし、街と里山、白神山地を緑で繋いであげよう。」という提案をしていたのですが、そんな流れの中で、この植樹を主催する会長さんとお会いする機会を得ました。
現在、県内各地ではさまざまな植樹が行われていますが、私がこの会の植樹を選んだ大きな理由は、この会では業者から購入した苗木を植えるのではなく、自分たちの手で苗木を育てているというところです。
この時この会長さんからは、会員の皆さんが地域の子供たちと一緒に山に入ってドングリを拾い、それを育てた苗木を植えることで白神の純潔を守っているということ、また、このようにして育てた苗木の他にも、林道の下刈りなどで刈られてしまう実生の幼木なども大切に活かし、そんな小さな山の命も森に返してあげているということをお聞きしました。

業者が用意した苗木は丈夫ですが、同じ樹種でも、外で育てた木ではなく「その地の人がその地に生える木をその地で育てて植える」ということに意義があり、そんな本質的なところに大きな魅力を感じたのです。

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(下刈りされてしまう幼木の命も生かし、山に返す)

この時の会長さんの話はとても興味深く、植樹には、私の母校でもある東京農大の林学科(今は科名が変わっているはずですが・・・)の学生さんたちもスタッフとして加わっているのですが、彼らの調査によると杉林にはサルの痕跡が無いのだそうで、サルによる農作物の被害が頻発する昨今、里山と白神山地の間を横断する杉林を落葉樹林に変えて緑の回廊を作れば、里に下りて山に戻れなくなっているサルを山に返すことができるという話を聞けたのも目から鱗でした。
植樹を責任感だけでやろうとしていた私ですが、会長さんがあんまり楽しそうに山の話をされるので、[な~んか面白そうだなぁ]、と思ったのも大きな決め手となりました。
何ごとも、楽しくなければ長続きしませんものね。

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(楽しい願いごと?)

記事の中で畠山さんも言っていますが、山と海は繋がっています。
八森側の白神山地には「二つ森」という山があるのですが、海の中にも「二つ森」という岩場があって、ここはハタハタなどの漁場になっているそうです。
植樹の後には毎年、「留山」というブナ林を散策するのですが、その昔、この山が伐採された時、麓の水が枯れて海の幸にも影響が出たことがあるのだそうで、その時から伐採をすることを留めたということで、この山に「留山」という名が付いたというお話です(これは江戸時代の話だとのこと、その後全く切られていないということから、樹齢にして200年以上のブナが育っています。)
山の森と海の森とは繋がっています。
山が枯れれば川が枯れ、海も枯れます。
昔の人はそれを知っていて、海と山に同じ名前を付けて崇めたのでしょう。

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               (立つのも大変な斜面で植え穴を掘る姉妹)

閉会式で、この植樹に初回から参加されているというご家族の方が挨拶をされていました。
遠く青森市から参加しているそうですが、この時生まれたばかりの子が今は小学生となり、今一緒に参加しているそうです。
うちの次女も2歳から参加はしていますが、今年はちょっとだけお手伝いできるようになりました。
長女はもう、かなりの戦力です(笑)。

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                        (留山散策)

「大海も一滴の雫から。」と言います。
留山ではブナの樹幹流の跡を見ましたが、ブナの幹を伝い降りた水は厚い腐葉土の下に蓄えられ、やがて大地から染み出て沢となり川となり、海へと注いでいきます。
私たち家族の力は微々たるものですが、百年後にこの山が立派な森に戻ることを願って、来年もまたみんなで参加します。
今年は、娘たちが留山の山道に落ちていたドングリをたくさん拾い集めてきました。
子供たちとこのドングリで苗木を育て、3年後にここに返しに来るというのが、私たちの新たな目標です。

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 (留山で拾ったドングリ)

漁業組合の婦人部の方が作られたという、ツクネ汁、とても美味しかったです。
早起きしてオニギリをつくってくれたカアサンも、ありがとう。
協会の皆さん、本当にありがとうございました。

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(現地でいただいたツクネ汁とカアサンのオニギリ)
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8 Comments

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marumasaさま

紅の葉  

2008-10-14 06:17

いつもブログを見ていただき、ありがとうございます。

植樹の際はお世話になりました。
参加も4年目になると顔なじみの方も出来てきましたが、1年に一度ここでしか会わない方との再会もまた楽しいものです。
開会式でmarumasaさんの姿を探していたら、なんとお隣におられてビックリでした(笑)。
同じく自然素材を扱う建築関係の方が参加されているということは、非常に嬉しい限りです。

思えば、bewellさんが開かれたワークショップに参加したおかげで、私の自然に対する目も開かれたという感じです。
あの時会長さんにお会いしていなければ、この植樹に参加することも無かったかもしれません。
人生、どこで何がどう繋がっていくかわかりませんね。
人の縁もまた、海と山のように繋がっているのだなと、あらためて思う最近です。

植えたブナの成長と共に、毎年のお互いの子供たちの成長を見るのも楽しいものですね。
来年も、みなさんとここで再開できたら嬉しいです。

ブログ、早速拝見させていただきます。
コメントいただき、ありがとうございました。

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先週はお疲れ様でした

marumasa  

2008-10-13 22:25

ときどき、ブログ拝見しています。
いつも感心させられます。
私も、建築の仕事しながら絵を描いたりして
ブログをやってます。
よろしくです。
bewellのstuffでした。

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紅の葉  

2008-10-08 18:56

現地にはバスで行くというのが遠足気分を盛り上げてくれて、子供心をくすぐるようです(^ー^)。
植樹の他に食事もあるというのもまた楽しいです。
これにビールがつけばいうこと無しですが(笑)。
福島にも、家族みんなで楽しめる植樹があればいいですね。

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No title

メグスリ  

2008-10-08 18:22

日記を読んでほんと楽しそうだな~って感じました。
わたしも植木屋の端くれとして植樹祭に参加してみようかな~
って思います。
秋田はちっと遠いんで近場で検索かけてみます。

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しんぼうさん

紅の葉  

2008-10-08 06:19

ホントに、天気が良くて最高の一日になりました。
植木屋家族は普段の罪滅ぼしをかねての参加ですが、一般の方は純粋に自然を守るために来られているのですごいです。
自発的に来られている方がたばかりなので、皆さん本当に楽しそうでした。
やはり、基本は楽しく、ですね。
楽しく頑張ると、お酒も美味しいです。
夜の乾杯で、楽しさと祝賀会の達人のしんぼうさんを思い出していたところです(笑)。

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よっちゃんさん

紅の葉  

2008-10-08 06:05

遠足気分で楽しく行ける植樹なので、いい家族サービスにもなります^^。
自然とのふれあいは子供の情操教育にもいいですね。
午後からの自然散策は毎年同じコースですが、毎年違う発見があるので楽しみです。
山や家族への罪滅ぼしの他に、自分の勉強にもなるという、なんともありがたい企画で助かっています。

庭誌で読んだ畠山さんは宮城県の方でしたね。
私の参加する植樹も、この畠山さんの影響を受けているようです。
記者さんが取材で港を訪れた時、漁師の人に挨拶したら突然帆立貝をもらい、どうしていいかわからずにいたら別の人が来て抜き身にしてくれたという話が編集後記に載っていて、宮城の方の心の温かさを感じました。
よっちゃんさんの活動も素晴らしいですね。
宮城県の方の心の温かさ、志の熱さ、見習いたいと思います。

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No title

しんぼう  

2008-10-07 21:49

ごくろうさまでした
いい天気で最高の気分でしたね
誇り高き秋田のサムライ一家ですね
すばらしい行動力に乾杯です!

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よっちゃん  

2008-10-06 22:18

心をうたれました…

実に素晴らしい活動ですね 
緑を植える仕事なのに 

同時に自然破壊もしているところもありますね。 

この素晴らしいお話は 私の仲間たちみんなに 話したいとおもいます。

行動に移す 
これが 一番大事なことかもしれませんね 



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