そこにあるもので露地をつくる
落葉樹などは今が移植の適期。
一回目は既存樹の仮寄せと庭の地割までを行う予定でしたが、仕事がはかどったことから予定変更、次回に予定していた植付や石仕事なども併せて行いました。

内露地の伝いです。
飛石は茶庭の命。普段は石選びから現場での据え付けまで厳選に厳選を重ねて行ないますが、今回はそうした石が土の中から湧き出てくるという、とてもぜいたくな仕事です。
飛石を据えることを「打つ」と言いますが、歩きよく、姿良く、しっかりと「打つ」ことを意識したのは久しぶり。
飛石は露地でこそ生きると思いながら、ひとつひとつ、丁寧に据えていきました。

内露地と外露地の間には小流れを。
ここが内と外の結界で、迎え付けの場所になります。
流れをつくることで大量の石を活かすことができ、庭に変化も生まれます。
土中から出てきた小石や小砂利なども選り分け、護岸に積んだり流れに敷いたりしました。
自然素材は全て庭に活かせます。
本当に捨てるものがありません。

庭の高低差を利用した小滝。
低く枝を張り出すヤマツツジが雰囲気を高めてくれます。
木も石も、本当に良いものに恵まれた庭づくりです。
これから下草を植えていけば、さらに趣が増していくことでしょう。

蹲踞。
向鉢式ですが、流れの雰囲気を出すため、半中鉢のような格好に組んでいます。
水鉢は自作ですが、前石、手燭石、湯桶石は現場発生のもの。
今回は裏千家組みですが、蹲踞作法を行えればそれでよしとして、あまり寸法などにはこだわらず、庭の中の石組として組んでいます。
苔も、現場の側溝に生えていたものを使っています。
いつでもどこでも、そこにあるものをそこで活かすことを考えます。

外露地の起点から見た蹲踞。

茶席から見る蹲踞。
庭の構成は、歩きながらの景色や席中からの眺めを意識していますが、席入りや退席の際に、視線の先が枝葉で見え隠れするように配植しています。
通常は、伝いに合わせて庭に合う木を用意、植栽していきますが、今回は全てを既存樹で行うため、先に木を植えて植栽バランスを見る必要があり、それに合わせて飛石を打っていきました。
山道などは、木や石を避け、曲がりくねりながら延びていきますが、山の中に道をつくっていくということはそういうことだと、露地は山里の風情を表すものという侘び茶の精神を考えると、このやり方の方が自然に思えてきます。
まだまだ、掘れば石はたくさん出てきます。
石が出てきてみなければわからないという予測不能な庭づくりは、現場での勘が頼り。
ある程度の動線は決めているものの、出てきた石と相談し、頭をゼロにして臨みます。
そこに有るものを活かしきれば、底無しにいかした庭になる。
庭づくりはまだまだ続きますが、そんなことを思いながら取り組んでいます。
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