杜の木漏れ日

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「緑のトンネルを訪ねて~大都会の市中の森」(地元紙寄稿文)

KITAHANEKIJI

今朝の地元紙に、拙文が掲載されました。
下記に、原文、写真をご紹介いたします。

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緑のトンネルを訪ねて~大都会の市中の森

連休後半に所用で上京、緑の名所をいくつか回ってきました。
肌寒い能代とは一転、東京はすでに初夏の装い。緑の木陰がとても心地のいい季節です。
一昨年、街路樹視察で都内を回りましたが、その時は冬でした。
いつか葉を茂らせた姿を見たいものだと思っていたところ、今回その念願が叶いました。

写真1 ケヤキとクスの木のトンネル (江戸川区南葛西周辺)
写真1 ケヤキとクスの木のトンネル(江戸川区南葛西周辺)

はじめに訪れたのは、江戸川区南葛西地区にある緑のトンネル(写真1)。
夏冬通して緑の効果を楽しめるよう、落葉樹のケヤキと常緑樹のクスの木を混植しています。
江戸川区は公園や緑道が多く、街路樹の本数も23区一。さほど広くない街なかの生活道路にこうした緑濃い姿が残されている所に、緑への関心の高さを感じます。

今回の東京行には小学生の次女も同行しましたが、首都高速で都内に入った途端、「東京って緑が少ないんだね」と少し落ち着かない様子。
田舎はどこにいても緑が見えるので、コンクリートの多い都会は不安に感じるのかもしれません。
それだけ子供たちの目には、緑が安心できる物として映っているようです。
東京は、緑が少ないからこそ緑を増やし、大切にしている。
江戸川区の緑の姿からは、そんな思いを感じました。


写真2 民間施設と街路樹に同じ木を植え、街並み景観の統一を図る(江戸川区西葛西周辺)
写真2 民間施設と街路樹に同じ木を植え、街並みの統一を図っている(江戸川区西葛西周辺)

江戸川区の区の木はクスの木ですが、区内の至る所でこの木を目にします。
西葛西駅前には樹高13m、枝張り10mの大きな木がありますが、クスは周辺の街路樹や民間施設にも植えられていることから、統一感のある街並み創りに一役買っています。
別々の敷地に同じ木を植えることで景色が繋がり、街並みに一体感が出てくるのです。
写真の建物は宿泊施設ですが、行政ばかりでなく民間でも区の木を活かし、景観づくりを行っているようです。


<br />写真3 見事に枝を張らせるイチョウのトンネル(大田区田園調布)
写真3 見事に枝を張らせたイチョウのトンネル (大田区田園調布)

大田区田園調布には、駅から3つのイチョウ並木が放射状に伸び、それぞれが緑のトンネルを形成しています。
この日は日差しが強かったこともあり、並木の木陰は別世界のように見えました。
道路に立って上空を見上げると、左右から伸びる枝は中央線を越えて交差し、驚くことに反対側の歩道まで伸びています。
奥入瀬のブナ林でもこうした姿を見ることができますが、街なかで見ることは本当に希。これが、緑のトンネルの真骨頂であり、市中に森を創る街路樹の理想形です。

写真4 路面の木陰を見ても1本の木の形が識別できない(田園調布) 
写真4 路面の木陰を見ても、一本の木の形が識別できない(田園調布)

森の中の木々は、隣り合う木の枝が入り組み合い、1本1本の木の形がどうなっているのか良くわからないことがあります。
並木は字のごとく樹木が連続する様を言いますが、一般的には個々の形が重要視されがちです。
きれいに整えられた樹形は木陰のシルエットとして道路にその形を映し出しますが、ここでは路面を見ても1本の木の形を識別できません。
実際には1本1本の木の連続でも、並木を森に見立て、全体の雰囲気を大切にする空間では、個々の形などたいした意味を持たないのです。
新緑なのに、圧巻の木陰の量。夏になり葉が落ち着けば、さらに緑が深まることでしょう。

散策中、並木の入口にバスが入っていくのが見えました。
まるで、緑の洞門に吸い込まれていくかのようです。
車内にいれば、さらにその雰囲気を強く感じることでしょう。
いつかこのバスに乗り、緑のトンネルに入ってみたいものです。

写真5 緑の洞門に吸い込まれていくバス(田園調布)

写真5 緑の洞門に吸い込まれていくバス(田園調布)

掛け足で回りましたが、江戸川区、大田区とも、素晴らしい新緑のトンネルでした。
今度はぜひ、黄葉のトンネルを見に行きたいと思っています。

能代市二ツ井町 福岡 徹

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