庭212号

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庭園専門誌の「」最新号が発売になった。
「庭」は、古庭園から現代の庭、意欲ある若手のコーナーから名人の語録、道具の紹介まで、庭を幅広く捉える情報満載の専門誌だ。

ネットの無い時代、田舎で庭の勉強といえばこの本しかなかった。
ここで紹介される人は雲の上の存在。どうやったらこんな庭がつくれるんだろう、でもいつか自分も載ってみたいものだと、ずっとそんことを夢見ていた。

40代に差し掛かる頃、自分の庭はこれでいいのかと悩んでいた。
そんな時、編集者の人に庭の写真を見てもらう機会に恵まれた。
「もっと地域の特色を生かした、心豊かな庭を創れるよ。」と励まされた。

この時、秋田の素材で京風の庭を作っているだけではないのかと、壁にブチ当たっていた。
既成概念を捨て、自由な庭をつくりたいと思った。
自由を意識すればするほど、何もつくれなくなった。
もがきにもがたあげく、そこから抜けると、不思議なほど自由を意識しなくなった。
土地の地味を生かし、そこにしかない、そこに必要な庭を考えるようになった。
あの時の言葉のおかげだ。

二ツ井と能代が合併した時、財政難で市立図書館から庭誌が消えることになった。
能代から緑の文化を消してはいけない、そんな思いで、二年間自分の本を寄贈し続けた。
取材にきていただいた時にその話をした。
能代に、足長おじさんから本が届くようになった。
能代の緑の灯火はこうして続いた。

庭誌は、能代の街路樹改善も取り上げ続けてくれた。
市県や市議会向けに街路樹勉強会を開いた時も、メッセージをいただいた。
ブツ切りを正当化する行政に真正面から戦いを挑んだこの時、何よりも心強いエールだった。
これがきっかけで能代の街路樹は変わり、全国にも改善に向けた輪が広がっていった。

多くの機会をいただけ、多くの作庭者の方々とも出会えた。
庭でも街路樹でも、感謝してもしきれない。
自分を成長させ、ふるさとを変える切っ掛けをつくってくれた有り難い本だ。

その庭誌が、次号から季刊誌へとリニューアルになり、編集長も変わる。
この本のおかげで、どれだけ全国の庭師が勇気をもらえたことだろう。
こんなに、慈愛に満ちた熱い本は無かった。
次代の若手のためにも、まだまだ今の形で続けて欲しかった。
とても残念だ。
本当に惜しまれる。

「明日の日本の庭を創る」が「庭」誌のテーマ。
この気概を持ち続け、志高い仕事や活動をしていきたい。
それが、せめてもの恩返しだと思っている。

この本から、いろんなことを学んだ。
「庭」から育てていただいた。
リニューアルの報に接し、万感の思いで、これまでの庭誌に感謝の気持ちを伝えたい。

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