杜の木漏れ日

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パネルディスカッション「これからの庭を楽しむ」

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10月13日に上京、日本庭園協会のパネルディスカッション「これからの庭を楽しむ」に、若衆と共に参加してきました。
写真は、会場となった日比谷公園。
東京は前日に30度を超えるなど秋とはいえ暑い日が続いていましたが、こんな時こその木陰です。
見上げると、幹や枝の線がとてもきれいで、思わず写真を撮りました。

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さて、このイベントは、全国の作庭家や造園家、建築家の方々が集まり、職域を越えて、これからの庭を考えるというものです。
パネラーは、高水 謙二さん(実業家)、中山 章さん(建築家)、正木 覚さん(環境デザイナー)榊原 八朗さん(ランドスケープ・アーキテクチャー)、金綱 重治さん(作庭家)
コーディネーターは、隔月刊誌『庭』の元編集長、豊蔵均さんがつとめられました。

内容はというと、話の次元が高く情報量が多すぎて、いまだに頭を整理しきれきません。
心に残った言葉をメモしていたので、それを少しだけ紹介します。

「・(庭づくりを考える時の留意として)庭を周囲の景色に合わせる。
 ・視点を変えると、これまで裏だった所が実は表になることもあり、そこが見所になることもある。
 ・朽ちていくところに日本の美がある。」。(高水さん)

「今を生きていれば必ず今の庭ができる。時代で庭のスタイルは変わるが、変わらないのは日本人の美意識や自然観。」(金綱さん)

「・(若い人へ)全てを学ぶ必要は無く、自分にとって必要なものを学び、活かしていけばいい。
 ・庭側の人の話は、庭の世界の人にはわかるが、他の世界の人にもわかるように説明することが大事。」(中山さん)

「(自然との対比として)庭づくりは、安全な場所をつくること。緑には微気候をつくる力がある。」(正木さん)

参加された方で、「もっといい言葉があったよ」、という方がおりましたら、コメントでお知らせください^^。

ディスカッションは、パネラーの議論が盛り上がり、途中でタイムアップとなりました。
その後の質問タイムでは、ありがたいことに質問者2人の中の一人として、発言の機会をいただきました。
内容はこちらです。
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パネルディスカッション「これからの庭を楽しむ」 質問

秋田県の福岡と申します。庭誌213号より「街路樹礼賛」という連載記事を担当させていただいております。住まいの庭は個人のものですが、庭も街を彩る景観の一つです。最近は「街歩き」などのイベントも行われ、街を歩きながら庭を見て歩く機会も多いようですが、街並み景観としても庭を楽しめるようになれば素晴らしいと考えています。こうした観点から、2点ほど質問させていただきます。

①日本の庭には、周囲の自然景観などを庭に取り込む『借景』という技法があり、古くから内と外を繋ぐ工夫がなされてきました。しかし、開発の進んだ現代の日本では、街なかで借景を取り入れるのはとても難しいものがあります。借景は「内から外を繋ぐ」ものだと思いますが、これからは逆に、「外から内に繋げる」といった視点で、街なかにある街路樹や公園の緑に庭を合わせていくといったことも求められてくるように思います。たとえば、街路樹がケヤキなら庭にもケヤキを植えて同じ木で景色を繋げていくとか、ケヤキと同じ里山の雑木を植えて雰囲気を繋ぐといったことや、街路樹が自然樹形なら庭の木も自然樹形にして雰囲気を合わせる、など、街並みの緑と庭を一体化させるような景観をつくれないかと考えています。また、庭に大きな木があり街なかの景観を高めている所なども時々見かけますが、それほど支障になっていなくても、道路にはみ出しているからと切られることも多く、素晴らしい景観は個人のものでも景観として保全できないものかとも思っています。街並み景観と庭を調和させた例などをご存じでしたらお知らせください。 
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※イメージです。ケヤキの街路樹に面したホテルに雑木の空間がある(京王プラザホテル)

②庭誌が組んだ「街路樹は泣いている」という特集は造園界の先駆けとなり、業界の意識も高まったように感じています。しかし、今なお全国各地でブツ切りは続いており、そのブツ切りを行っているのは、ほかならぬ造園業界です。私たちは、このことをもっと重く受け止めなければなりません。先にあげたように、外部空間との調和を考えて作庭したはずが、肝心の街路樹がブツ切りにされてせっかくの景色が楽しめなくなったり、もしかしたら、自分がつくった庭の前の街路樹を、自分の手でブツ切りしなければならなくなるといった事態も起こらないとは限りません。街並み景観としての庭を守るためには街路樹を良くしていかなければなりませんが、そのためにはどうしたらいいでしょうか。私たちにはどんなことができるでしょうか。実例紹介なども含めて、アドバイスをお願いいたします。

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参考になるお答えをたくさんいただきましたが、ここでも時間が足りず、②の質問まで行くことはできませんでした。
ディスカッション、質問タイムとも、もう少し時間がほしかったところです。

あらためて「これからの庭を楽しむ」を考えてみて、何を楽しむのか、誰が楽しむのか、どう楽しむのか。
庭の楽しみ方は人それぞれであり、楽しむのはそこに住まう家族。
家族と話をし、家族が楽しむための提案をし、家族が楽しめるためのお手伝いをする。
今の自分にとってはそれがすべてで、そんなことを確認した1日です。

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懇親会の席で。
街路樹でいろいろとご指導いただいた富山県の新樹造園・河合さんと、ようやくお会いすることができました。
お隣のお二人は、緑を取り入れた住まいを提案されている、さいたま市のオーガニックスタジオの三牧さんと木下さん。
私のブログや専門誌の記事を読まれたとお声がけいただき、本当に驚きました。

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翌日は、三牧さんのモデルハウスにもご招待いただきました。
初めから大きな木を植えられたとのことで、いかに緑の効果を考えられているのかが解りました。
素敵な空間で楽しくお話させていただき、時間が経つのを忘れてしまいました。
三牧さんは街路樹にも非常に思いがあり、「街なかで、豊かな緑に囲まれて暮らせていることが財産と思えるようになれば、街路樹はもっと良くなるはず。家と庭と街路樹がつくり出す一つの景観から街路樹が抜けたら、財産的価値も無くなる。家に街なかの緑の景観が付属していることが付加価値として認められるようになれば、街路樹の価値ももっと高まるのかもしれません。」
そんなふうに言われていました。
建築側にこんな方がいれば、庭も街並みももっと良くなります。
思いもよらぬサプライズな出会いでしたが、素晴らしい方と出会えました。


本当に、いろんな収穫があったイベントでした。
全国の庭仲間とも久しぶりに会え、新たな人とも交流できました。
コーディネーターの方から、「来て良かった!という感情がお土産となるでしょう。」との言葉がありましたが、本当にその通りになりました。

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