杜の木漏れ日

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言の葉葉っぱ暦

先日、帰宅すると、何やら小包が届いていた。

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開けてみてビックリ。
群馬直美さんから届いた新作の著書だった。
郡馬さんは、東京都立川在住の、日本で唯一の葉画家さん。
数年前、偶然秋田市の本屋さんで「街路樹葉っぱの詩」という本を見つけ、あまりの感動にお手紙を書いたことがある。
いただいたお返事には、「福岡さんの考えは正しい。福岡さん流の街路樹が日本全国に広がることを祈っています。」とあった。
またまた感動して、数か月後、東京で開かれていた郡馬さんの個展に押しかけて、感動のお礼を述べた。
この間の街路樹の講演で話した「植物には人の心を善導する力がある」という話は、この時の個展で目にしたものだった。

贈られた新書のタイトルは「言の葉葉っぱ暦」。
1年12か月の季節の葉っぱたちの絵が、群馬さんの思い出と共に紹介されている。
3月まで読み進んで驚いた。
3月18日は「ジンチョウゲ」。
その思い出の中に、なんと自分が出てきている。
個展でお会いした際、群馬さんは江戸野菜の葉っぱを展示していた。
その時私が話したこと。
「実は実家は野菜の種屋で、子供の頃はよく種の袋詰めを手伝わされた。その種の匂いがジンチョウゲの花の匂いに似ていた。植木屋になり、春に花の匂いを嗅ぐと、その時のことを思い出します。」
郡馬さんはこの時の話を覚えてくれていて、「野菜の種はジンチョウゲの香りがした」、「ジンチョウゲ(の蕾)を描いていたら花開き、福岡さんの思い出の香りを堪能した」と書いてくれている。

郡馬さんは、「野菜の種を数えるのが日課だった」と書いてくれているが、子供の頃、野菜の種を袋詰めするために種を数えた部屋は「種の部屋」と呼ばれていた。
この作業をやるのは冬で、真ん中の薪ストーブを囲んで、家族みんなでやっていた。
秋田は雪国なので、冬はいつも吹雪。
しかたなく家でゴロゴロしていると手伝わされる。
その部屋も、今は自分の事務室兼子供たちの勉強部屋。
子供たちは今その部屋を「パソコンの部屋」と呼んでいる。
昨夜、小6の長女と小3の次女に郡馬さんの本を見せながら、種の部屋と呼ばれていた頃の話を教えるとビックリしていた。
久々に楽しく、親子の会話ができた。

郡馬さんの思い出が詰まった本に、自分の思い出も詰められていた。
これから、3月18日とこの本は、忘れられない思い出になるかもしれない。

本の冒頭には、「この世の中のひとつひとつのものは全て同じ価値があり、光り輝く存在である。」とある。
葉っぱの一枚一枚が命であり輝き。
木に付いている葉も地に舞い降りた葉も、その価値は変わらない。
一枚一枚の葉に精神があり、その集合体が樹木。
そして、その樹木の集合体が庭であり森。
季節が巡る度、一枚一枚が違う葉の存在に優しい目を向け、その命の輝きを見届けたいと思う。
そんなふうに思わせてくれる郡馬さんの絵と文、そして葉っぱたちに、あらためてお礼を言いたいと思います。

「街路樹葉っぱの詩」を手にした時もそうでしたが、群馬さんの本を読んでいると、知らずに自分の心が優しくなっていくのを感じます。
あわただしい毎日、時々、この本で癒されたいと思いました。


本と同名の個展が、来月から1か月間、東京立川の昭和記念公園で開催されるそうです。
ぜひ出かけてみてください。
たくさんの葉っぱたちから元気をもらえます^^。
詳細は、郡馬さんのHP「木の葉の美術館」をご覧ください。



Comments 2

紅の葉  

しんぼうさん

ふかふかの落ち葉のベッドで眠れたら気持ちいいだろうと思いますが、郡馬さんの本にはそうした力がありますね^^。

>落葉する葉を母、その葉に守られている幼い芽を子供
河合玉堂さんは、そんなふうに樹木や自然を見ていたんですね。優しさの伝わる、とてもいいお話です。
これから落ち葉は雪の下になりますが、寒気から母子を守る雪は、さながら父ということになるでしょうか。
自然界を家族として見ると、またまた心が優しくなってきます。
落ち葉は子を守る母。そんな目で街や庭の樹木を見てあげると、心が優しくなってきますね。
こちらこそ、素敵なお話をありがとうございました。

2013/11/26 (Tue) 07:02 | EDIT | REPLY |   

しんぼう  

群馬直美さん、素敵です。私は彼女の全ての本を枕元に置いて毎夜読みながら眠りに落ちていきます。新刊もさっそく手配します。
河合玉堂氏が生前、落葉する葉を母、その葉に守られている幼い芽を子供と形容していたとお弟子さんの宇佐美江中氏からお聞きしたことがあります。今日現場でたくさんの落ち葉が舞い散るのを見ていて小さな幸せを感じていました。

素敵なお話し、ありがとうございました。

2013/11/25 (Mon) 18:57 | EDIT | REPLY |   

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