街路樹と自然、庭の共通点

悪天候をいいことに、専門誌に連載中の原稿を書いています。
この10年ぐらいで見た各地の街路樹の写真をテーマ別にピックアップしながら、どれとどれをどう組み合わせてどんなふうに繋いでいくかを考えています。
1話完結の4回連載ですが、前後の記事との関連性も考えながら。
一軒の家に、4つの庭をつくっていくような感覚でしょうか。
前庭と中庭ができ、いよいよ主庭づくりに取り掛かったというところ。
作家でもライターでもないのでこうした経験は初めてですが、文章を書くのもまた、庭づくりと共通したものがあると感じています。

共通と言えば、写真をいろいろと見ているうち、街路樹と自然林と庭との意外な共通点を見つけました。
この3つを「自然樹形」という共通項で見るとして、はじめに自然樹形の意味を考えてみます。

自然樹形=樹木固有の樹姿。樹木の種類、樹齢などにより異なる。
自然=人間の手が加わらない、そのもの本来のありのままの状態。そのものに本来備わっている性質
樹形=樹木の幹や枝などがつくりだす外形、外観。樹木の種類によってほぼ決まっているが、「環境条件」により変化がある。

それぞれを辞書引きするとこのように出てきます。
野山に自生する樹木は、同じ樹種や樹齢でも、平地と斜面、森の外側と内側、高地と低地、風向きや日当たりなどで形が違いますが、こうしたことを考えると、自然樹形とは、自然界の制約(環境条件)に樹木が適応した姿であると言えるでしょうか。
街路樹は、電線や車、舗装、建物、人の生活など、自然界以上に厳しい制約の中で生きていますが、野山の木が自分で姿を適応させるのに対し、街路樹や庭は人によってそこに合う姿に導かれます。


奥入瀬ブナ林
江戸川区ケヤキ バス

写真は、青森県の奥入瀬渓谷から八甲田山に向かう途中のブナ林と江戸川区のケヤキ並木です。
雰囲気がとてもよく似ていますね。
このブナ林は国立公園内にあることから樹木はできるだけそのままの形で維持されています。
こうした林の中では、木は空間のある外側に枝を伸ばし、日照の弱い内側の下枝は徐々に枯れていきます。

街路樹と自然林と雑木の庭3

写真は雑木の庭ですが、雑木の庭は、こうした林の様子を映すように片枝の木を使って寄せ植えをしていき、隣り合う木との調整や林の雰囲気を出すために下枝を払ったりすることもあるかと思います。
板塀が隣地との境で、そちらに向く枝も元から払い、支障が出ないようにしていますが、林の中の木は下枝を出さないので、それと同じことを人が行っています。

江戸川区ケヤキ並木2

こちらも江戸川区の『片枝樹形』型のケヤキ並木ですが、隣地に越境しそうな枝は元から外されています。

IMGP4914.jpg

こちらは、昨年手がけた地元の公園の桜並木。
やはり同じように、隣地に向かう枝は元から外し、伸ばせる方向の枝を残していきました。

こうしてみると、雑木の庭の空間づくりと街路樹を片枝樹形に維持することとは同じことで、制約のある街なかの木や庭と自然林には共通するものがあるということがわかります。
街路樹の緑のトンネルは、自然林の中にその理想形があり、その管理法も、自然の生態系から学べることがたくさんある。

公共造園の管理と個人庭の管理とでは行う業者が違うことが多く、お互いが別物と思っているところも感じます。
しかし、山でも街でも庭でも、木はどこにいても木。
元は山に生えていたのだから、庭や街に木を植える時でも、自然に学ぶ必要があるということかもしれません。

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