移り変わる庭

正月気分も抜け、一昨日から仕事を始めています。
今冬は初雪が早かったものの、元旦は雨が降るなどして、積雪もまだ10㎝程度。
例年、今頃はすでに屋根の雪下ろしをしていますが、今年は毎朝の雪かきも、かなり楽させてもらってます。

今月は、お天気を見ながら落葉樹の剪定に回ったり、ご依頼いただいている庭の落雪状況を見て回りながら設計作業を行っています。
これから雪が本格化すれば、雪寄せや雪降ろしの作業にも出動することになるでしょう。
ご入用の際は、どうぞお声がけください。

ということで、昨日今日とプレゼン用の資料を作っていますが、参考写真を探していたら、いろいろと興味深い写真が出てきました。

Y邸2008

この庭は9年前に作らせていただいた庭ですが、作庭後5年経過した時の5月に撮影したものです。
作庭した翌年、フキやアイコ(山菜)が自然に生えてきて、庭の景色として残しました。
少しずつですが、石に苔も乗ってきています。

Y邸2013

それから4年経ち、昨年の9月に撮影したもの。
苔が、石やゴロタを覆うように広がってきました。

Y邸2013UP

上の写真のUPです。
筧を差し込んでいる石の囲いが随分と苔むしてきました。
そして、石の隙間からはシダが生え、なかなか面白い景色になってきています。
4年前の写真を見るとわかりますが、これは、この石囲いの脇に添えて植えたものが広がってきたようです。
増えるということは、この庭の土や日あたり、風や湿度などの気候に適しているということです。

O邸 2009

こちらは、5年前につくらせていただいた、土地に自生する山の木と草を植えた庭です。
曲がりのある自然木を植えたため、作庭時でもある程度の落ち着きがありますが、まだ作り立ての硬さを感じます。

O邸2010

1年後、枝葉が少し増えたせいか木陰ができるようになりました。
植えた下草も増えてきましたが、木の根や搬入した土に入っていた種、あるいは、この庭は野鳥を呼び込むための庭なので、鳥が運んできてくれた草なども生えてきています。

O邸2011

さらに一年経ち、枝葉も順調に茂ってきています。
起伏のある庭のため、土が流れないようにと張った苔が砂利道に侵入、山道らしく、ランダムなラインになってきました。

0邸2013 2

そして、作庭から5年後の昨年。
木陰の量が増したせいか、林床部への日照具合が変わったのでしょう。
植えた草や自然に生えた草の中でも淘汰されるものが出てきて、かなり足もとがすっきりしてきました。
地際の苔も。作庭当時に張った日当たりに強いものから、この庭の気候に合う地苔に変わってきたようです。

環境の変化に伴って植生が移り変わっていく様子を「遷移」と言いますが、除草など、ある程度の人手は加わっているものの、剪定などは極力控えているため、枝葉が作り出す環境の変化に、庭の林床が適応してきているということだと思います。

 ktei

こちらは作庭9年目の庭ですが、低いコニファーの中に、いつのまにかドクダミが生えてきました。
ドクダミは薬草でもあり、茶花としても使われますが、一般的には「雑草」として抜かれることが多い草です。
でもなにか、淡いコニファーの中からポッポッと顔を出す白い花がとてもチャーミングで、いい感じなのです。

世の中に、「雑草」という名前の草は無く、「害虫」という虫もいません。
「生き物が住むようになったら本当の庭」と言われる方もおりますが、必要で庭に植えたものでなくとも、草でも虫でも小動物でも、そこで暮らす家族と共生できるものは、できる限り生かしてあげたい。

地苔のように、お金を掛けて張ったものが自然に生えた苔と取って代わることもありますが、それがその庭の中の許容範囲で、庭の雰囲気を損なわないものなら、「遷移」に任せてもよいと思っています。

庭は、つくった時が完成ではなく、経年変化と共に味わいを増していくものです。
同じ姿のまま維持することも植木屋の技術なのですが、あえてその技術を使うことを怠けてみたい。
時と共に移り変わる様子を楽しむのもまた、庭の魅力だと思っています。

ということで、写真を見ているといろんなことが思い浮かび、作業が全くはかどりません。
でも、ぜひブログでご紹介したい事柄だったので、新年に免じてお許しを(笑)。


0 Comments

Post a comment